レビュー

ファイルサーバーの移行は小さな組織でも扱いやすいQNAPのNASにお任せ

社内で便利にデータをやり取りしつつ古いデータを整理しよう

 2019年1月、Windows 7のサポート終了と同じタイミングで、Windows Server 2008 R2/2008のサポートが終了する。このタイミングで社内のファイルサーバーをQNAPのNASに置き換えてみてはどうだろうか? “ファイルサーバー”という限られた用途であれば、むしろファイル共有に特化したNASの方が、管理も楽になるしコストも低く抑えられる。そうしたメリットを実際に見てみよう。

Windows Server 2008 R2/2008のサポートは2020年1月に終了する

小さな組織でもNASならできる!

 Windows Server 2008 R2/2008のサポート終了に伴って、サーバーのリプレースを検討している組織も多いことだろう。

 しかしながら、大規模な組織や中小規模でも基幹業務などの重要なサーバーであれば、十分な予算や人手が確保できる一方で、なかなか予算も人手も確保できないといったえケースも少なくない。

 その代表が、小さな現場で稼働しているシンプルなファイルサーバーだ。中小企業や小規模な教育機関、個人事務所といった組織で導入されていたり、部門単位に個別に管理されていたり、チーム内で過去の担当者が構築したままの状態で使い続けられていたりと、サポート終了時期が間近に迫った今でも、現役でファイルサーバーとして使い続けられているWindows Server 2008 R2/2008は意外と多い。

 小さな組織であれば、ITの運用管理に人手も予算も割けないという状況が多く、「そのまま使い続けたい」というのが本音だろうと思う。だが、OSのサポートが終了すれば、セキュリティ更新プログラムが配布されなくなり、重要なデータが危険にさらされる可能性が極めて高くなる。

 このため、何とか2019年中にWindows Server 2008 R2/2008のファイルサーバーの入れ替えを実施しなければならないが、ハードウェアの選定やOSのインストール、初期設定、データ移行など、その手間を考えると、小規模な企業や部門単位、チーム単位といった組織では大きな負担だ。

 そこで注目されているのがNASだ。

 専用のハードウェアに、ファイルサーバーに特化したOSを搭載したNASは、購入後、HDDを装着して簡単な初期設定をするだけで、すぐにファイルサーバーとしての運用を始められる。

 厳密な意味でのWindows Serverからの移行となれば、それなりのノウハウが求められるが、シンプルなファイルサーバーであれば、極端な話、共有フォルダーの設定と、データの移行だけでも何とかなる。

 シンプルに「今まで通りにデータが共有できればいい」というのであれば、思い切ってNASに移行してしまうのは、実はカシコイ選択と言える。

Windows Serverのファイルサーバーからの移行に適したNASの例、QNAP「TS-453Be」

QNAPのNASならこんなに簡単

 それでは、実際にWindows ServerベースのファイルサーバーからNASへ移行した場合に、どのようなメリットがあるのかを見ていこう。

 一口にNASと言っても、さまざまな製品があるが、今回はQNAPが提供するNASを例として取り上げよう。国内でも、もはやNASの定番とも言える地位を築いた印象もあるメーカーで、NASとしての性能や信頼性には定評がある。

 今回は、そんなQNAPのNASから、中小の現場に最適な「TS-453Be」という製品を紹介しよう。実売価格は5万円前後なので、組織で導入する際に経理処理がしやすいというメリットもあるが、4ベイ構成で大容量を実現しやすく、クアッドコアCPUで複数ユーザーからのアクセスを快適に処理できる性能も備えている。

 本体には拡張用スロットも用意されているので、用途によってはネットワークを10Gbpsへとアップグレードしたり、SSDキャッシュを使って高速化することもできる。将来的な拡張性にも優れたモデルとなる。

正面
背面
側面

 このTS-453Beを中小企業の現場や部門単位で導入したときには、以下のようなメリットが考えられる。

移行コストを抑えられる

 Windows ServerからWindows Serverに移行すると、サーバー用PC+HDD+サーバーOS+CAL(クライアントアクセスライセンス)が必要になる。一方、NASへの移行であれば、本体+HDDの料金のみで利用でき、CALは必要ない。接続する端末やユーザー数に関係なく、低コストで導入可能だ。

 TS-453Beなら、本体が5万円前後、2TBのHDDを4本購入したとして、1万円×4で4万円と、トータルでも10万円以下で構築できる。

本体とHDDで10万円前後から導入可能。余計なライセンス料もかからない

初期セットアップが簡単

 Windows Serverの場合、構成によってはOSのインストールや初期設定、ファイルサーバーとしての構成が必要になるが、TS-453Beであれば、こうした手間を大幅に削減できる。

 TS-453BeでもOSのインストールは必要だが、NAS専用のOSがクラウド経由でほぼ自動的にインストールされる上、ウィザード形式の設定をいくつか進めるだけで、すぐにファイルサーバーとして利用できる。

 古いファイルサーバーから移行する場合は、今までと同じユーザーを登録し直したり、同じ共有フォルダーを作成する必要があるが、GUIの設定画面で直感的に操作できるので、初めてでも迷わず設定できるはずだ。

OSのインストールはインターネット上のウェブページから簡単にできる
GUIの画面で簡単にNASの初期設定ができる

今までと同じ使い勝手を実現

NASだからといって特別な使い方は必要ない。今までのWindows Serverと同様に、共有フォルダーへアクセスできる

 Windows Serverから移行しても、普段のファイルの使い方は、今までとほとんど変わらない。同じサーバー名を付けたり、同じ名前の共有フォルダーにデータを移行すれば、組織内のユーザーは、迷うことなく今まで使っていたファイルにアクセスできる。

 もちろん、フォルダーごとにアクセス権限を設定することもできるので、個人用フォルダーを用意したり、特定の部署しかアクセスできないフォルダーを作ることも可能だ。

移行が楽

 実際の移行に際しては、次のような項目を手動で設定する必要がある。

  • サーバー名
  • ワークグループ名
  • ユーザー
  • グループ
  • 共有フォルダー
  • 共有フォルダーのセキュリティ

 しかし、中小の現場なら、登録するユーザー数や作成する共有フォルダーも少なくて済むので、数時間もあれば作業が完了するはずだ。

 データの移行は、ネットワーク経由で実施するのが簡単だ。「File Station」と呼ばれるNAS用アプリの「リモートマウント」という機能を使えば、ネットワーク内のWindows Serverの共有フォルダーをNASから参照できるので、共有フォルダーのファイルをそのままコピーしてしまえばいい。

ユーザー登録も簡単。小規模環境なら手動でアカウントを登録しても苦にならない
共有フォルダーも以前と同じものを作成しておけば簡単に移行できる

運用管理に手間が掛からない

電源のオン/オフなども簡単に制御可能

 NASは、ハードウェアとOSが一体となって提供されるため、電源の制御も簡単だ。スケジュール設定で夜間や休日に自動的に電源をオフにしたり、オフィスの停電などのタイミングに合わせて、電源をオン/オフすることもできる。

 ファームウェアの更新も簡単だ。インターネット経由で簡単に最新ファームウェアに更新することができるし、システムのステータスやログの参照も簡単にできる。

保守に悩まされない

稼働状況やログも簡単にチェックできる

 HDDが故障したときも簡単に交換ができるし、場合によっては、容量も簡単に増やせる。さらに、本体が故障したとしても、HDDを取り出して新しい本体に装着すれば、以前のデータや設定をそのまま引き継げる。

 スマートフォン向けのアプリを使ってNASの稼働状況をチェックしたり、ファームウェアをアップデートすることも可能だ。

機能を拡張できる

アプリで機能を追加できる

 QNAPのNASは、さまざまなアプリをインストールして機能を追加していくことが可能だ。クラウドストレージとのデータを同期をしたり、WordPressなどのCMSツールをインストールしたり、Pythonなどの開発者向けツールをインストールしたりと、ファイルサーバー以外の用途にも活用できる。

移行のタイミングでファイルを整理しよう

 このように、QNAPのTS-453Beを使えば、小規模な環境でもファイルサーバーとして使っているWindows Server 2008 R2/2008から、NASへ無理なく移行できる。

 しかも、さらに便利なのは、移行のタイミングでファイルの整理もできてしまう点だ。

 長年使ってきたファイルサーバーなら、あまり使われなくなったファイルが保存され続けていることも多いだろう。場合によっては、移行のタイミングでこうしたファイルを整理してしまうのも1つの選択だ。

 QNAPのNASには「Qfiling」というアプリが用意されている。これを利用すると、一定条件のファイルを探し出し、自動的に別のフォルダーにコピーしたり、圧縮することができる。

 例えば、古いWindows Server上の共有フォルダーをソースフォルダーに指定し、2014年1月1日以前のデータを条件としてファイルを圧縮するレシピを作成すれば、古いファイルサーバー上から5年間更新されていないファイルを探し出し、自動的に圧縮することができる。

 同様に、画像ファイルだけを抽出して特定のフォルダーへ移行したり、画像にウォーターマークを追加したり、画像をPDFに変換したり、ファイルを暗号化することなどができる。

 ファイルサーバーをNASへ移行するタイミングで、こうした機能を活用することで、ファイルサーバーの中身を棚下ろしし、データを使いやすく整理し直すことができるわけだ。

「Qfiling」を使えば、古いファイルを自動的にアーカイブすることなどが可能
さまざまなレシピを作って、ファイルを自動的に整理できる

NASへの移行ならまだ間に合う

 以上、QNAPのTS-453Beを例に、小規模な環境でのWindows Server 2008 R2/2008ファイルサーバーからの移行について紹介した。

 OSのサポート終了と言うと、後継バージョンへのアップグレードが一般的な考え方となるが、ファイルサーバーなど用途が限られているのであれば、ファイル共有に特化したNASに移行した方が、むしろ効率的な場合もある。

 特に移行に豊富な予算が確保できなかったり、社内にWindows Serverに詳しい人材がいなかったりする場合は、NASへの移行を検討してみるといいだろう。

 シンプルな構成のNASであれば、思った以上に簡単に移行できるので、今から検討を始めても年明けのサポート終了(2020年1月)までに間に合う可能性が高い。

 豊富なアプリでいろいろな用途に活用できる上、Qfilingでファイルの整理もできるので、この機会に検討してみるといいだろう。

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(協力:テックウインド株式会社)