インタビュー

打倒「ギガ泥棒」!「メッシュWi-Fiを家庭に導入すべき理由」をネットギアに聞いてみた

 そろそろ新生活シーズン。引っ越しや入学はもちろん、単なる「環境の見直し」も含め、家庭の通信環境に手を入れやすい時期になってきた。

 家庭での「固定ネット回線とWi-Fi」は、家族のスマートフォンの「ギガ不足」対策として、あるいは家庭のインフラとして、導入されていることも多いだろう。そのポイントの1つと言えるのが、Wi-Fiルーターの選び方だ。

 電波はどこまで届くのか? 初期セットアップや接続の設定は難しくないのか? 子どもにも安心して使わせることができるのか? などなど、家族での利用を考えると、いろいろ悩むことがある。

 そこで今回、「なぜ家庭にWi-Fiを入れるといいのか」というそもそもの理由もあわせて、Wi-Fiルーターのメーカーであるネットギアジャパンにお話を伺った。同社によると、“メッシュネットワーク”と呼ばれる新世代のWi-Fiに対応した「Orbi」こそが「最も家庭向き」といえるルーターなのだという。

ネットギアジャパン社内には家庭へのWi-Fi導入をイメージした展示ブースが設けられている

Wi-Fiが弱いとどこかで「ギガ」を使いたくなる………「お風呂は圏外」「部屋では遅い」

 「いかに自宅のWi-Fi環境を快適にするか?」は、もはや切実な問題だ。

 スマートフォンは、すでに生活に欠かせないアイテムの1つとなっているが、Wi-Fiがなければ、すぐに「ギガ不足」とも呼ばれる通信容量不足に陥って、SNSも動画も思うように楽しめなくなってしまう。

 しかしながら、一般的な家庭であれば、通信事業者などからレンタルで提供された設計の古いWi-Fiルーターを使っているケースが意外と多いもの。これでは、「お風呂は圏外」「自分の部屋では遅い」など、いざWi-Fiを使おうとしても快適に使えないことも珍しくない。

 せっかく、家に固定ネット回線とWi-Fiがあっても、うまく活用できず、月末についつい追加でスマホのギガを買ってしまったり、子どもが勝手にギガを買ってしまったりする状況を悩んでいる人も少なくないだろう。

貧弱なWi-Fi環境は、ほかのデバイス利用にも悪影響

「Amazon Fire TV Stick」

 しかも、このような貧弱なWi-Fi環境は、スマートフォンだけでなく、ほかのデバイスでのWi-Fi利用に対しても思いがけない制限をもたらす。

 例えば、タブレットやPCでの通信に苦労している人も多いだろうし、「Amazon Fire TV」などの動画デバイスや、スマートスピーカーといった機器の設置場所に苦労したり、エアコンや照明といったスマート家電の導入に踏み切れない、といったこともある。最近では、Wi-Fiへの接続が前提となるゲームやおもちゃまである。これでは、子どもをはじめ、家族の不平や不満も高まるばかりだ。

「家中どこでも安定した通信」が必要ならば、「ハイパワー1台」から「メッシュ×複数台」?

 そこで注目されているのが、“メッシュネットワーク”と呼ばれる新世代のWi-Fiだ。これまで一般的だったWi-Fiルーターは、1台で電波を遠くまで飛ばすことで家中をカバーする「ハイパワー」系が主流だった。これがメッシュの登場で、流れが一変。

 メッシュでは、家中のポイント、ポイントに基地局を設置するようなイメージで、複数台のアクセスポイントを設置して、より広いエリアをカバーできるようになっている。

 メッシュWi-Fi製品をいち早く日本に導入し、その性能とコストパフォーマンスの高さで、現在に至るまで他製品を圧倒し続けているネットギアジャパン合同会社でプロダクトマーケティングを務める曽利雅樹氏は、こうした状況を次のように見ている。

 「今までは、Wi-Fiの用途はPCをインターネットにつなぐことでしたが、最近では、スマートフォンの利用にシフトしてきました。スマートフォンは、家中のいろいろな場所で、家族それぞれが個別に使うので、Wi-Fiはより広いエリアをカバーしなければならなくなっています。一方で、ゲーム機は当然として、家電などさまざまなデバイスがつながるようになり、インターネットが、より身近で、あって当たり前のライフラインになりつつあります。このため、家中のどこでもWi-Fiにつながることが、今では何よりも重要なことになってきています。」

 ちなみに、家庭にWi-Fi環境が必要な理由として挙げてもらったのが以下の項目だ。これらを見ると、確かに「家中どこでも安定した通信」の重要性が上がっていると言えるだろう。

家庭でWi-Fiルーター導入が必要な7個の理由

  1. スマホのギガがすぐ減っちゃう
  2. スマホだけじゃなく家でもタブレットやパソコンでネットを使いたい
  3. ChromecastやFire TV Stickなどのデバイスで動画を楽しみたい
  4. スマートスピーカーを置きたいところに電波が届かない
  5. ゲーム機をネットにつないで使いたい
  6. IoT家電を買った/もらったけど使えない
  7. 子どものネット使いすぎが心配。どれくらい使っているのか知りたい

メッシュなら「Wi-Fiが必要なところに足せばいい」家庭向けのおススメ導入法は「機種選択不要」?

 とはいえ、一口に「自宅」と言っても、家の間取りや家族の人数、つなぎたいデバイスの数など、環境はさまざまだ。そんな中で、自宅にぴったりの製品をどうやって見極めればいいのだろうか?

 曽利氏は、この疑問に驚きの一言で答えてくれた。

 「選ばなくていいんです。」

 「メーカーによっては、何人家族向け、何LDK向け、何平米まで、といったように、カタログやパッケージで選び方を説明している場合もあります。これは確かに親切ですが、それ故に選び方が複雑になり、結果的に『Wi-Fi=難しい、面倒くさい』というイメージを持ってしまう人もいます。また、家には個性があります。一軒一軒間取りも違えば使っている資材も違います。周囲の電波環境もそれぞれなので『何LDKだから、何階建だから』と、と画一的にルーターの選択肢を決められるものではありません」。

ネットギアジャパン合同会社プロダクトマーケティングの曽利雅樹氏

 曽利氏は続ける。「一方、弊社のメッシュWi-Fiシステム『Orbi』は、どのような間取りにも対応できます。1台または必要最低限の台数からはじめて、電波が届きにくい場所が見つかったらもう1台追加し、さらに、新たにWi-Fiを使いたい場所が出てきたり通信速度が遅いと感じるようなことがあれば、次々に追加していけます。追加する際もボタンを押すだけなのでとても簡単です。つまり、どのような間取りでも何人家族でも、Orbiを選んでおけば対応できるのです。買い換えではなく追加なので、過去の出費も無駄になりません」。

ルーターとサテライト(中継機)のセットで構成されるメッシュWi-Fiシステム「Orbi」と「Orbi Micro」」

 前述したように、メッシュ対応のWi-Fiルーターは、複数台のアクセスポイント(ネットギアのOrbiはサテライトと呼ぶ)が無線で連携して動作する。3階建ての建物なら、例えば1階に1台目、2階に2台目という構成でスタートし、3階で電波が届きにくいと感じたら3階に3台目を追加する、といったように、アクセスポイントを柔軟に配置できるわけだ。

 他メーカーのメッシュ対応製品は、2台もしくは3台が、はじめからセットになっているものが多い。一方で、例えばネットギアのOrbi Microであれば、1台からでも購入できる。

Orbi Microなら、1台からでも購入・設置ができる

 曽利氏によると「今までは、何台が自宅にピッタリなのか分からないという不安から、過剰にハイスペックな製品を購入してしまったり、値段の高い必要以上の台数セットを購入してしまったり、といったことが起こりがちでした。必要なところに足していくスタイルのOrbiなら、こうした無駄な出費も避けられます」という。

 同じWi-Fiルーター、同じメッシュ対応製品でも、より柔軟な選び方に対応しているのは、ネットギアのOrbiシリーズならではの特徴と言えるだろう。

 ネットギアジャパン合同会社マーケティングマネージャーの前田力氏(以下、前田氏)によると、「Orbiは、発売当初は新しいコンセプトだったので、なかなか理解されにくい製品でしたが、メッシュWi-Fiの製品が他社からも登場した現在、スペック面(筆者注:アクセスポイント間を1733Mbpsで接続できる)や価格面(筆者注:実売価格で競合よりも安価)での優位性が際立つようになり、『Orbi』というブランドも認知されるようになってきました」とのことだ。

 さらに前田氏は、「サテライト間の中継用に専用のバンド(周波数帯)を使うトライバンドのOrbiなら、子機が通信中でも中継も同時に行えるため、子機が増えてもネット接続が遅くなりません。子機と中継が同じバンドを使うデュアルバンドのメッシュWi-Fiだとこうは行きません」とした上で、「」市場には、1台のときはトライバンドでも、中継機と組み合わせるとデュアルバンドになってしまう製品もあるようなので、よく注意していただきたい」と語ってくれた。

ネットギアジャパン合同会社マーケティングマネージャーの前田力氏

 こうした状況を考えても、メッシュの先駆者でありながら、性能面でも価格面でも、今でもトップランナーとして市場をリードしている点が、Orbiシリーズの特徴と言える。

実は日本の住宅環境に合っている?通信エリアを『面』で捉えてカバーするメッシュ

 このように、複数のアクセスポイントで広いエリアをカバーするメッシュだが、中には「日本のような狭い住宅には不向きで、広い欧米向きの製品」とする声も少なくない。

 前田氏は、こうした意見に「実は、日本の住宅事情に合っているんです」とする。

 「日本の住宅は、地震対策などで建物の構造がしっかりしている傾向があります。特に、お風呂やトイレなどは構造的に強くなっていて、電波が届きにくいことがあります。リビングとほかの部屋の間にお風呂やトイレが挟まれるような間取りでは、なかなかWi-Fiの電波が届かない場合があるのです。マンションのように壁が鉄筋コンクリートだったり、壁に断熱材が多く使われている場合も同様です。しかし、こうした環境でも、複数台のアクセスポイントでカバーできるOrbiであれば、電波が届くようになります」という。

 なお、Orbiでは、複数台のアクセスポイント同士を、無線だけでなく有線LANでつなぐこともできる(イーサーネットバックホール)。最近のマンションでは、インターネットの利用を想定して各部屋の間にLANケーブルが配線されているケースもある。こうしたLANケーブルをアクセスポイント間をつなぐために活用できるのも、Orbiの特徴の1つだ。

 「例えば、リビングでネット動画、子ども部屋でゲーム、寝室でインターネットというように、現代の日本では、家族それぞれが、家の中のいろいろな場所で、個別にいろいろなデバイスを使うというスタイルが一般的です。市販のWi-Fiルーターでは、こうした状況を考慮して、最大10台など、接続台数を目安にモデルを選べるようにしていることがありますが、単純な台数では、こうした分散した使い方をカバーし切れないことがあります。複数のアクセスポイントが連携して家全体ををカバーできるOrbiでは、複数台が同時利用されるような、こうしたスタイルでの使い方でも、家の中どこでも、快適な速度でネットを楽しめます」とのことだ。

 このほか、曽利氏によれば、Orbiは、家中のいろいろな場所に設置することを考慮し、見える場所に置いても悪い意味で目立つことのない、インテリアに馴染むデザインになっているという。

「メッシュ世代」は複数設置の設定も簡単外出先でも自宅をリモート管理可能

QRコードで情報を読み取って簡単に初期設定できる

 広いエリアをカバーできるだけでなく、設定が簡単なのもメッシュWi-Fiシステムの特徴の1つだ。「複数台のアクセスポイントを連携させる」というと、設定が難しそうなイメージを持つかもしれないが、実際は電源を入れてアプリや設定画面から新しいアクセスポイントを追加するだけで、自動的に設定ができるようになっている。

 スマートフォン向けの「Orbi」アプリでは、インターネット越しにリモートからOrbiの各種設定を管理できるようになっている。例えば、会社にいるときに家族から「インターネットにつながらない」と言われたら、スマートフォンでアプリからルーターの設定をチェックしたり、設定を変更できる。

 場合によっては、実家のWi-Fi環境もOrbiにしておけば、実家のWi-Fi環境を快適化できるだけでなく、いざというときにリモートから管理できるわけだ。

子どもがいるならペアレンタルコントロールも重要「ご褒美」で時間を追加できる独自機能も

 また、メッシュとは離れるが「家庭で重要」という視点で、曽利氏が強調していたのが、米Disneyのペアレンタルコントロールサービス「Circle with Disney」を搭載している点だ。

 子どもがいる家庭では、「子どもが安心してインターネットを使わせることができるか」も重要なポイントだが、メーカーによって機能やできることの差が大きい部分でもある。興味がある場合は、この点をよく比較して製品を選ぶことが大切だ。

完成度の高いペアレンタルコントロール機能「Circle with Disney」

 ネットギアのOrbiシリーズが搭載する「Circle with Disney」は、非常に完成度の高いペアレンタルコントロール機能で、曽利氏はその特徴を「子どもを単純に『管理』するための機能ではなく、家族でインターネットを安心して使うための機能」と説明する。

 「フィルタリング機能で不適切なサイトを遮断したり、Wi-Fiにつながる時間をコントロールできるのは当然ですが、例えば、子どもがお手伝いをしたときに、アプリからご褒美として利用時間を延長する機能が搭載されています。これにより、親子でネットの利用に関する会話が生まれるなど、家族がいっしょにネットの利用について考える機会を提供できるのではないでしょうか」との語ってくれた。

 親として「使い過ぎ」というネガティブな考え方をしなくなるのは、とても斬新なアイデアだ。

「速度重視ならNighthawk、オンラインゲーム重視ならNPG」

 一方、家全体をカバーすることより、通信速度が速いことを重視するのであれば、「Nighthawkなど、ほかのシリーズもお勧めしたい」(曽利氏)という。

 Orbiの接続速度も866Mbpsで十分高速とはいえるのだが、例えば、Nighthawkシリーズの上位モデル「Nighthawk X6S R8000P」であれば、最大通信速度1625Mbpsの5GHz帯×2、同750Mbpsの2.4GHz帯×1のトライバンドに対応する。

 また、より高性能な位置付けで、遅延に敏感なゲームに最適化されたNighthawk Pro Gaming(NPG)シリーズもラインアップしている。ゲームでの対戦相手から、遅延の大きいユーザー排除する「ジオフィルター」という機能も搭載する点もNPGの特徴だろう。曽利氏は、「家全体を広くカバーし、どこでも安定して通信できることを重視するならOrbi、カバー範囲よりむしろ通信速度を重視するならNighthawk、(家庭での利用であっても)オンラインゲームを重視するならNPGを選ぶといい」とした。

より高速なNighthawkシリーズの上位モデル「Nighthawk X6S R8000P」
IEEE 802.11ac/n/a/g/b対応のゲーミングWi-Fiルーター「Nighthawk XR500」
IEEE 802.11ac/n/a/g/b対応のWi-Fi中継器「Nighthawk X6S EX8000」

 仮に、これらのシリーズを購入した場合も、ルーターを買い換えずに、後からでもメッシュ環境に移行できる点がネットギア製品の特徴だ。ネットギアでは、メッシュに対応したNighthawkシリーズの中継機として、トライバンドに対応するメッシュWi-Fiエクステンダー製品として「Nighthawk X6S EX8000」、「Nighthawk X6 EX7700」をラインアップしている。

 メッシュWi-Fiエクステンダーについて曽利氏は「メッシュ対応ではないWi-Fiルーターもメッシュに対応させることができ、ゲーム向けの機能などを使いつつ、家全体を広くカバーして、どこでも安定したWi-Fiの環境を実現できます」という。

 他メーカーの場合、通常、ゲーミングとメッシュは排他の関係で、購入時にどちらかを選択しなければならない。しかし、ネットギアの製品であれば、ゲーミングとメッシュの両方を同時に実現可能となるわけだ。

 以上、新生活を迎えるにあたって、どのようなWi-Fiルーターを選べばいいのかをネットギアに聞いた。

 「Orbiなら選ばなくて(悩まなくて)いい」という発想や「面で捉える」という考え方、「実はメッシュは日本向き」という点など、なかなか斬新な考え方を聞くことができた。これから、家庭でWi-Fiルーターを購入する場合の参考にするといいだろう。

(協力:ネットギアジャパン株式会社)