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テレワークで使える“おすすめ”代用品、在宅勤務でもパフォーマンスを発揮できる仕事環境を構築してみる
急に必要になった機材は売り切れ……そんなときの回避策
2020年5月7日 11:00
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を防ぐために「3密(密集、密閉、密接)を避けろ」と呼び掛けられるようになったため、多くのオフィスワーカーにとって「まだ先の話」と思われたであろう在宅勤務が急に現実になった。
日本経済団体連合会が4月14日~17日に行なった「緊急事態宣言の発令に伴う新型コロナウイルス感染症拡大防止策 各社の対応に関するフォローアップ調査」では、有効回答のうち397社(97.8%)がテレワークや在宅勤務を実施していると回答している。また、全従業員のうち「8割以上が実施している」と回答した企業は82社に上った。
日本企業の生産性は低いと言われて久しいので、テレワーク実施でさらに生産性を下げるわけにはいかないだろう。テレワークならば本来のオフィスと同等以上に環境の整ったスペースも使えるが、在宅勤務でオフィスよりも快適という人は少ないはずだ。また、在宅勤務で急に必要になった機材がすでに売り切れと言う話もよく聞く。オフィスワーカーが在宅勤務になったことで必要となるPC以外の機材やパフォーマンスを上げるためのアイテムをいくつか紹介したい。
ウェブカメラが売り切れならスマホを代用、固定用のスマホスタンドもおすすめ
在宅勤務でのコミュニケーション手段といえばウェブ会議が現在の主流だろう。ところが最近の“テレワーク特需”でウェブカメラは品薄が続いており、名の通ったブランド製品が軒並み品切れている。
ロジクールに問い合わせてみたところ「通年よりも多くの注文をいただいており、弊社としてもテレワークや在宅勤務のニーズが高まったことは認識しています。製品は入荷次第、順次出荷しており『製品出荷が止まった』と言う事はありません」とのことで、ニーズの高さに出荷が追い付いていないという感じだ。米国のAmazon.comでも同じ状況なので、世界的に需要が高まっているのだろう。
多くのノートPCにはウェブカメラが備わっていると思うが、情報漏えい防止の観点からウェブカメラ非搭載の企業向けノートPCも存在するので、困っているユーザーも多いと思う。
PCを使ったウェブ会議と言う観点で代案を考えてみると「手持ちのスマートフォンをウェブカメラ」として使う方法がある。現在のスマートフォンのカメラはフロント、リアともに並のウェブカメラよりも高画質だ。
スマートフォンアプリ「DroidCam」(Android専用)や「iVCam」(Android/iOS両対応)をインストールして、さらにPC側にドライバーソフトを入れるとウェブカメラの代用として使える。ただし、無料で使うと機能に制限があったり、画像にウォーターマーク(透かし)が入るので、本格的に使うならば課金が必要だ。
大抵のウェブ会議システムはスマートフォンアプリも用意されているので「ウェブカメラが手に入るまでウェブ会議をスマートフォンで行う」というのも手だろう。
スマートフォンをウェブカメラとして使う、スマートフォンアプリでウェブ会議を行うどちらのケースでも端末を手に持って会話すると映像がブレやすくなるため、端末を固定するスマホスタンドを用意することもおすすめする。量販店だけでなく100均でも取り扱われていることがある。
ノートPC内蔵のウェブカメラについてもキーボードの打鍵などで映像が多少ブレやすく、顔もアップになりがちなので、外付け用のウェブカメラを用意する意義はある。
明瞭な音声のやり取りにはヘッドセットも欲しいところ、そこで狙い目なのがゲーミング製品
ウェブ会議にしろ音声会議にしろ、コミュニケーションである以上、相手の声が明瞭に聞こえ、こちらの声も明瞭に伝えることが重要だ。
筆者の最近の経験で言うと、やや小規模の説明会で説明を行う登壇者がノートPCのマイクを使っているケースがあったが、キーボードの打鍵音や冷却ファンの騒音という雑音を拾ってしまってやや気になった。ノートPCに標準で搭載されるものも十分に使えるが、在宅勤務中であればこれらの騒音に加えて、ユーザーの家の周りの環境音(例えば犬の吠える音やお昼のチャイムなど)も余計に拾ってしまうこともあり得る。
会議に集中するという観点で言うと、こうしたノイズを軽減できるヘッドホンは不可欠だろう。また、発言を明瞭に伝えるマイクも選びたい。
その辺にあるヘッドホンやマイクを用意しても良いが、可能ならばこれらが一体になったヘッドセットが欲しい(コールセンターの写真でオペレーターがよく装着しているアレだ)。ただ、日ごろの需要が少なめなのかビジネス用ヘッドセットも品薄が続いている。
ビジネス用のヘッドセットの代案としてはe-Sports用製品として売られている「ゲーミングヘッドセット」が個人的にはおすすめだ。
筆者は以前、Logicoolの「G231」と言うゲーミングヘッドセットを愛用していた。これでインタビューなどの声を聞くとかなり明瞭に聞こえて、聞き直し作業の効率を上げることが出来た。
G231は酷使の結果壊れてしまったが、現在は「G633s」というさらに音の良い製品を使っている。ゲーミングヘッドセットは派手でごつめの見た目が気になる一方、意外と装着感はよく、長時間付けていても気にならない。
ヘッドセットを装着するメリットとして、周囲の雑音が減るので作業に集中でき、BGMを聞きながら仕事もできる。また、在宅勤務ならば「ヘッドセットを付けている時は仕事中なので話しかけないで」と家族にアピールすることもできる。製品によってはマイクを跳ね上げると自動的にマイクがミュートになる「フリップミュート」という機能があり、不用意な音を出すことがない(前述の製品で言うとG231はフリップミュートに非対応で、G633sは対応している)。
ゲーミングヘッドセットは、ゲームの音を聞き取りやすくするだけでなく、人の声をより良く伝える。これはゲームにおいて複数人数での協力プレーでは声によるやり取りが重要だからだ。製品選びの際は、マイク性能について書かれたレビューも参考にすると良いだろう。
なお、コミュニケーションをより円滑に行うのが目的なので「ノートPC内蔵のカメラやマイクでは一切ダメ」というわけではない。複数のマイクを使うことで話者の音をよく拾う製品もある。そのため、製品を買いに行く前に現状と問題点を把握するべきだ。
YouTuberやゲーム配信者のように高いカメラに加えてライティングまで入れろとは言わないが、ウェブ会議中の状態を試しに録画してみて、あとで背景、ライティング、音質などの状態がふさわしいか判断することができるだろう。その上で改善できる製品を購入すれば良い。もしもチーム内に良い画質・音質でウェブ会議をしているメンバーがいたら、その人が利用している製品を聞くのも良いだろう。
ゲーミングデバイス関連で作業性を上げるものといえば、ゲーミングチェアもありだ。大手のエルゴノミクスチェアはかなり高価だが、ゲーミングチェアはそれに比べれば安い。
生活感のある部屋を見せたくないので生地屋で安価な「グリーンバック」を調達
在宅勤務でのウェブ会議で問題になるのが、生活感が同僚や取引先に分かってしまうという問題だ。本人を大写しにしても背景はどうしても見えてしまう。
大手のウェブ会議アプリでいうと、Microsoft Teamsには背景をぼかす機能がある。また、Zoomには仮想背景機能があり、普通のウェブカメラでもクロマキー合成で単色の背景布に好きな画像を合成することができる。映画やテレビ現場だけでなく、最近ではYouTuberも使っているという。
専用のグリーンバックも売られているが、それなりの価格だ。そこで、今回の騒動になってから必要性を感じて筆者は生地屋に行ってきた。緑の生地でそれなりに安いものがあればそれを使えばいいだろう、ということでチョイスしたのはポリエステル素材のものだ。店舗では1m500円だったので1.5mのものを買ってきた。
自室は背中側に戸棚があり、あまり見えてほしくない。そこで戸棚の上の荷物で布を押さえるようなかたちで吊り下げてみた。グリーンバックと言うにはやや均一さに欠けるものの、Zoomで試してみたがほぼ問題ない。昼間だと窓からの光が透過しており、うまく背景と判断されない部分があったが、ブラインドを調整して対処した。
Zoomを使用する場合は「バーチャル背景」という設定を使用する。背景は緑色以外も指定できるが、色によってはトラブルを起こす。例えば、白バックにすると白シャツが背景色と同様に合成されてしまう。過去のリモート会見でもそういうハプニングがあった。
仮想背景は著作権フリーの画像をダウンロードしても良いし、在宅勤務の機会に自社のアピールを兼ねて各社の専用背景画像をを使うといいかもしれない。ちなみに、筆者はレンガの壁を背景に利用している。
会社でZoomを使っていない場合は外部アプリを使う方法がある。たとえば「Snap Camera」はウェブカメラの画像を面白画像に加工するフィルター機能を備えているが、背景変更機能や美顔機能も用意されている。PC Watchではグリーンバックなしで背景を消せる「XSplit VCam」というアプリも紹介している。仮想背景は今後多くのウェブ会議アプリの標準機能になりそうだ。
参考記事:
・グリーンバックなしでも背景を消せる「XSplit VCam」を試してみた
・Microsoft、「Teams」に会議中食事をしても咀しゃく音を消せる機能などを搭載
生産性を上げるなら大きなディスプレイを、タブレットでさらに画面を追加
資料を見ながら作業をするケースでは広い画面がどうしても欲しい。しかし、ノートPCの画面サイズは限られている。
在宅勤務で生産性を上げることを考えた場合、今のオフィス環境と同等以上の環境整備が必要になる。オフィスで24型程度のディスプレイを使っている人が15型程度のノートPCの画面で同等の生産性を上げろというのが無理な話なのだ。
在宅勤務でノートPCを使用している人はPC用ディスプレイを1台買ってくるのがいいだろう。32型以上の4K対応ディスプレイが理想だが、24型のフルHD対応ディスプレイでも構わない。後者ならば1.3万程度から購入することができる。
購入に踏ん切りがつかない場合、家庭のテレビにHDMI入力があればそれをディスプレイ代わりにしてみるといいだろう。これだけならHDMIケーブルの出費だけで試すことができる。
出先でもサブディスプレイを使って生産性を上げようという人達はモバイルディスプレイを使っている。昨年、サイボウズの「バグハンター合宿 2019」の取材を行った際、バグハンターの数名がモバイルディスプレイを使っていただけでなく、優秀者への景品としてモバイルディスプレイをプレゼントしていた。
在宅勤務で働き方が変わる
ガードナーが4月3日に発表したプレスリリースによると、CFOを中心とした調査において、回答者の74%が「少なくとも5%の従業員を永続的にリモートワークにする」と回答したという。新型コロナウイルス対策を発端とした在宅勤務が今後の働き方を変える可能性は高い。
生産性向上策を従業員自ら行えるならば、そのことを会社は評価すべきであろうし、もしかすると家庭内作業環境を構築するための費用の一部は仕事に必要な経費と税務署に判断される(≒節税になる?)のではないかという気もした。