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【10ギガ回線化顛末記】10ギガ回線がやってきた! 速度を最大限に引き出すために宅内LANやPCを10GbE化する
2026年1月23日 06:00
前回、筆者の自宅に10ギガの光回線を導入するまでを紹介した。今回はその続きとして、自宅LAN環境や利用しているPCなどの10GbE(10ギガビットイーサネット)対応について紹介する。
自宅LANは当初から10GbEに対応させていた
本誌読者であれば、自宅の主な部屋に有線LANを敷設している、という人も少なくないだろう。ただ、一般的には集合住宅、一戸建てを問わず、そこまでしている人は少数派のようだ。
自宅に有線LANを敷設している人がどの程度の割合なのか、最新の調査情報は見つけられなかったが、2003~2004年頃を境に一般家庭での有線LANの利用率が大きく下がってきたようだ。その大きな理由がWi-Fi(無線LAN)の普及だ。
2003年といえば、ノートPCにWi-Fiの搭載を標準としたインテル提唱のプラットフォーム「Centrino」が登場した年だ。それ以降、ノートPCへのWi-Fiの搭載がほぼ標準となった。これに合わせて、家庭用のWi-Fiルーターも続々と発売され、一般家庭でのWi-Fi利用が進むとともに、通信速度もどんどん高速化していった。そういったことを背景に、有線LANを敷設する家庭が減っていったと考えられる。
現在、家庭で利用されているインターネットにアクセスする機器としては、PC、スマートフォン、タブレット、ストリーミング動画サービスに対応するテレビ、ネットサービス対応の家電機器、防犯カメラや見守りカメラなどのIoT機器などがあるが、それらはほぼWi-Fiに対応している。
もし、NASのように有線LANでの利用が基本となる機器があったとしても、Wi-Fiルーターの近くに設置して、ルーターから有線LANで接続すれば問題なく利用できる。となると、わざわざコストのかかる有線LANを自宅に敷設する必要はないと考える人が多いのも当然だ。
それに対して筆者の場合、2024年に現在の自宅を建てた際に、当初から10GbE対応の有線LAN敷設を計画していた。浴室やトイレなど一部を除くほぼ全ての部屋に有線LANコネクタを備える情報コンセントを設置するとともに、配線に利用する有線LANケーブルに「CAT6A」対応ケーブルの利用と、接続するスイッチングハブに10GbE対応ハブの利用を指定していたため、ほぼ全ての部屋に10GbE対応の有線LANコネクタが用意されている。
わざわざこうしたのは、筆者の仕事が関係していることもあるが、早い段階で10ギガ回線の導入を想定しており、それなら10GbE対応の有線LANが不可欠だと考えたからだ。Wi-Fiの利用においても、1台のWi-Fiルーターで自宅全域をカバーするのは難しいため、メッシュWi-Fiの実現においてもバックホール用の有線LANがあった方が有利、との考えもあった。
なんにせよ、今回の10ギガ回線化によって、ようやくこの有線LANが有効活用できるようになったわけだ。
10Gbps光導入に合わせて10GbE LAN化を加速
このように、筆者の自宅は有線LANの10GbE対応を整えていた。また、ルーターはWANとLANそれぞれに10GbE対応ポートを備えるバッファローの法人向け有線VPNルーター「VR-U500X」を2022年に購入し、利用していた。このルーターは、将来の10ギガ回線化を想定して導入したもので、今回の10ギガ回線化でようやく真価を発揮できるようになった。
ただ、そこから先の10GbE LAN対応がほとんどできていなかった。
10ギガ回線化以前に、有線LANルーターの先で唯一10GbEに対応できていたのがWi-Fiルーターだ。それは、10GbE対応ポートを2つ備えるASUSのWi-Fi 7対応ルーター「RT-BE18000」で、2025年6月に購入した。Wi-Fiアクセスポイントモードに設定してリビングルームに設置し、情報コンセントのLANコネクタに接続して利用している。今回の10ギガ回線化までは、有線VPNルーターとの間は10GbEで接続できていたものの、本領を発揮できていなかった。
そして、それ以外のPCやNAS、サーバーなどのクライアントは、いずれも10GbE非対応だった。せっかくLANを10GbE対応にしているなら、クライアントも10GbE対応にすべきかもしれないが、10ギガ回線化以前はその必要性があまりなかったのも事実だ。
筆者が有線LANに接続して利用している機器は、その多くがギガビットイーサネット対応だが、デスクトップPCとNASのそれぞれ1台ずつが2.5GbEに対応していた。
2.5GbE対応のNASは、2021年4月に購入したQNAPのNAS「TS-453D」だ。それ以前に使っていたストレージサーバーに障害が発生したことと、性能面に不満があったために、TS-453Dに乗り換えたのだった。
これに合わせ、せっかく2.5GbEを搭載しているのだからと、当時使っていたWi-Fiルーターを2.5GbEポート搭載のモデルに買い換え、デスクトップPCのマザーボードを2.5GbEポート搭載のマザーボードに交換し、2.5GbE対応スイッチングハブを購入するなどして、2.5GbE対応を実現していた。ノートPCについては、その当時からWi-Fi 6に対応し、最大2400Mbpsの速度が発揮できていたため、そちらで十分と考えた。そもそも10GbE対応のLANカードやスイッチングハブは高価で、なかなか手が出せなかったということもある。
そうはいっても、今回は10ギガ回線化で、有線LANが2.5GbE止まりではせっかくの速度も最大限に引き出せない。そこで手始めに、ノートPCとデスクトップPCの10GbE対応を実現することにした。
ノートPC用のLANアダプター、デスクトップPC用のLANカード、スイッチングハブを購入
まず最初に購入したのは、10GbE対応のスイッチングハブだ。仕事部屋で利用しているノートPCとデスクトップPCを10GbE対応させるとなると、10GbE対応のハブが必要となる。ただ、それ以外の10GbE対応機器を接続するとしても、10GbE対応PCのレビュー時ぐらいで、通常はその2台さえ繋がれば問題ない。というわけで今回は5ポートのハブを選択することにした。購入したのは、TP-Linkの5ポートスイッチングハブ「DS105X」。Amazon.co.jpでちょうど安くなっていたので即決で購入。購入日は10月10日、購入価格は2万6442円だった。
次にノートPC用の10GbE LANアダプター。すでにUSB4やThunderbolt 3/4対応の10GbE LANアダプターは比較的多くの製品が販売されており、後はどれを選ぶか、といった状態だった。ただ、まわりの友人などから「Thunderbolt接続の10GbE LANアダプターは触れないぐらい熱くなるよ」と聞かされていて、どれを選ぶべきか悩んでいたのも事実だ。
そんな中、それほど熱くならなさそうな10GbE LANアダプターがあるらしいことがわかった。それは、コントローラーにRealtekの「RTL8159」を採用する製品だ。まだ国内市場にはほとんど製品が出回っていないが、アリエク(AliExpress)で49ドルで販売されていることが分かり、さっそく注文。最終的に支払った金額は、送料込みで7561円。10月15日に注文し、10月21日に届いた。
デスクトップPC用の10GbE LANカードは、ノートPC用のアダプターと比べると製品数が多く、以前に比べて価格も安くなっている。ただ、こちらもRealtekの新コントローラー「RTL8127」搭載のカードが低発熱で良さそうということで、AliExpressで製品を探してみたところ、接続インターフェイスがPCI Express 4.0×1と、これまであまり見かけることのなかった仕様の製品が見つかり、その中から比較的安価だった製品を選択。最終的に支払った金額は、送料込みで5490円。10月18日に発注し、10月27日に届いた。
調子がいいと上り下りともに7000Mbps超えを確認
前回の記事では、2.5GbE接続のデスクトップPCで開通した1ギガ回線の速度をチェックしたが、そちらでは下りが1900Mbps前後、上りが2300Mbps前後の速度が記録された。今回敷設した10ギガ回線は、他のサービスと同様で速度はあくまでベストエフォートではあるが、個人的には2.5GbE LANがボトルネックとなって最大限の速度が引き出せていないのだろうと思っていた。そして、発注していた10GbE LAN製品が届いたので、まずはじめにデスクトップPCに10GbE LANカードを装着して速度をチェックしてみた。
届いた10GbE LANカードは、その仕様も面白そうということで選んだのだが、基板部分がかなりの小ささとなっている。基板サイズを測ってみると、幅が65mm、高さはPCI Expressコネクタ部分を含めても45mmしかなかった。コントローラーに装着されているヒートシンクも30×30mmと小さく、これが本当に10GbE対応のLANカードなのか、それも安定して利用できるのか、見た目にはにわかに信じられないほどだった。
ちなみに製品パッケージにはカードとロープロファイル用のブラケット、簡単なマニュアルが入っているだけで、ドライバーは付属していなかった。カードのLANコネクタ部に「Driver Download」と書かれたQRコードが記されており、そのQRコードを読み取るとRealtekのサイトにつながり、ドライバーをダウンロードできる。ちなみに、そのままPCに取り付けてみたところ、もともと入っていたRealtekのLANドライバーが適用され、2.5GbE LANカードとして認識されてしまったが、ダウンロードしたドライバーを適用したら10GbE LANカードとして正しく認識され、LANにも10Gbpsで接続された。
そして、インターネットの速度を検証してみたところ、上り下りとも7000Mbps超と、それまでに利用していた1ギガの回線と比べて約10倍の速度が確認できた。時間をずらして検証しても、概ね6000~7000Mbps前後の速度が安定して発揮されている。このことから、前回の記事でチェックした速度は、2.5GbE LANがボトルネックになっていたことが確認できた形で、ひと安心だった。
ちなみに、この10GbE LANカードは、現在でも安定して利用できている。発熱もそこまで大きくないようで、室温22℃ほどの中で負荷をかけつつヒートシンクの温度をチェックしてみたところ、50℃前後で推移していた。もう少し大きなヒートシンクが装着されていれば温度はもっと低かったかもしれないが、50℃前後で推移するなら熱暴走の心配もなさそうで、この点もひと安心だ。
先行して利用しているユーザーの報告でも、RTL8127搭載の10GbE LANカードは低発熱で安定して動作すると上々の評価だったが、今回購入した製品も同様の結果で満足だ。
ノートPC用アダプターは条件が揃えば速度は十分だが不安定な部分も
次に、ノートPC用の10GbE LANアダプターを試してみた。こちらは、アダプター本体以外にUSB 3.2 Gen 2対応のUSB Type-Cケーブル、本体に装着して利用すると思われるストラップが付属し、マニュアルやドライバーは付属していなかった。PCとの接続インターフェイスはUSB 3.2 Gen 2x2を採用している。
動作検証には、筆者がメインPCとして利用しているノートPC、富士通クライアントコンピューティングの「FMV Note U WU1-K1」を利用した。本体にThunderbolt 4対応のUSB Type-Cを2ポート備えており、同時にUSB 3.2 Gen2x2もサポートしているため、今回購入したアダプターの速度も最大限引き出せるはずだ。
付属のUSB Type-CケーブルでノートPCのThunderbolt 4ポートに接続する。そのままでは正常に認識しなかったが、Realtekのホームページからドライバーをダウンロードし導入することで正常に認識し、無事10GbpsでLANに接続できた。
というわけで、まずはインターネットのアクセス速度をチェックしてみた。デスクトップPCでは安定して上り下りとも7000Mbps超となっていたが、ノートPCでは調子がいいと上り下りとも7000Mbpsを超える場合もあるが、実際には速度の振れが大きく、下りは3000~6000Mbpsの間を、上りは3000~4000Mbpsの間をふらふらすることがほとんどだった。しかも、その直後にデスクトップPCで計測すると、上り下りとも7000Mbps超の速度が計測される。
もちろん、2.5GbE接続時よりも速度は高速だが、デスクトップPCでの速度を考えるとちょっと物足りない印象だ。
LAN内での速度もチェックしてみる。こちらは、10GbE接続したデスクトップPCの内蔵SSD(PCIe 4.0×4 M.2 SSD)に用意した共有フォルダをノートPCからネットワークドライブとして登録し、CrystalDiskMarkで速度を計測した。
結果は、リード(受信)が1143.15MB/s、ライト(送信)が950.52MB/sだった。わずかにリードの方が速いが、リード、ライトとも概ね10GbEらしい速度が発揮されている。しかも、安定してこの速度が発揮されている。
インターネットのアクセス速度はふらふらするのに、LAN内のアクセス速度は安定している。これはどういうことなのか。10GbE LANアダプターを接続するポートを変更してみても、この状況は変わらなかった。他に10GbE LANアダプターがあれば比較できたのだが、残念ながら今回は用意できなかった。また、USB 3.2 Gen 2x2対応ポートを備えるPCも、このノートPC以外になかったため、他のPCで検証もできなかった。そのためこのあたりは今後も検証を続けたいと思う。
このように速度は安定性に欠けるものの、1つかなり魅力的な部分もある。それは発熱が非常に少ないという点だ。
これまでに販売されている10GbE LANアダプターは、いずれもかなりの発熱で、使用していると触れないほどに熱くなるので要注意、と言われている。それに対しこの10GbE LANアダプターは、負荷をかけても問題なく触れるぐらいにしか発熱しない。実際にサーモグラフィーカメラで温度をチェックしてみても、40℃を超えていなかった。
アダプター自体をデスクに置いて使っているため、いい具合にデスクに熱が逃げている部分もあるとは思うが、それでも負荷をかけても40℃以下で利用できるという点は、他の製品と比べて大きなアドバンテージと言える。
これで速度が安定していれば言うことなしだが、現状速度が不安定ということを考えると、ちょっとオススメしづらいのも事実。この原因は、10GbE LANアダプターのハードウェアまたはドライバーのいずれかに問題がある可能性が高い。もしこれがドライバーの問題であれば、今後アップデートで改善される可能性もあるため、継続してチェックしたいと思う。
LANアダプターをドックに接続すると本来の速度が引き出せない
筆者は普段、このノートPCにMicrosoftの「Surface Thunderbolt 4 ドック」を接続し、ドック内蔵の2.5GbE LANを利用してLANに接続するとともに、ドックの先に外部ディスプレイや顔認証カメラ、USBスピーカーなどを接続して、デスクトップPC的に利用している。ドックのUSB Type-CケーブルをノートPCに接続するだけで周辺機器の全てを利用しつつ電力を供給でき、外出時にノートPCを持ち出す場合もUSB Type-Cケーブル1本を外すだけでよく、日ごろから便利に活用している。
そして、このドックにはThunderbolt 4ポートが3つ用意されていて、10GbE LANアダプターをそちらに接続して利用する想定だった。しかし、実際にアダプターをドックに接続して検証してみたところ、インターネットのアクセス速度は、下りが6000Mbps前後、上りが3000~4000Mbpsと、ノートPCのポートに直結した時よりも速度が低下した。また、デスクトップPCとの間の速度をCrystalDiskMarkでチェックしてみても、リード(受信)989.22MB/s、ライト(送信)576.4MB/sと、こちらも速度が低下した。
これはどういうことかと思い、調べてみると、現在販売されているThunderbolt 4ドックは、USB 3.2 Gen 2x2をサポートしていないらしいと分かった。つまり、そこがボトルネックになって速度が低下しているわけだ。
このノートPCは外出時にほぼ持ち出すため、利便性からThunderbolt 4ドックと10GbE LANアダプターの2つを接続するのは避けたかったのだが、せっかくの速度を最大限引き出せないのは悲しいので、ここは我慢することにした。
というわけで、今回の10ギガ回線化に伴う自宅LANの10GbE対応は、ここでいったん終了だ。ここまでにかかったコストは、10GbE対応スイッチングハブが2万6442円、デスクトップPC用の10GbE LANカードが5490円、ノートPC用の10GbE LANアダプターが7561円の、トータル3万9493円だった。
ただこれには、10GbE LAN対応ルーターを先に購入し利用していたため、その買い換えコストが含まれていない。ちなみに、バッファローのVPNルーターVR-U500Xは4万6090円、ASUSのWi-FiルーターRT-BE18000は5万9394円で購入しており、それらを加えると14万4971円かかったことになる。
今回は、これらを同時に買い換えたわけではないため、個人的にそこまで多大なコストがかかった印象はないが、トータルではかなりのコストがかかっていると再認識させられる。それでも、個人的には今後の仕事への対応も含め、満足できている。
ちなみに、まだ他のPCやNASの10GbE対応が残されているが、一気に進めるにはさらにコストがかかってしまうため、そのあたりは今後順次進めていきたいと思う。


























