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“仕事で使える”地図サービス/ナビアプリとは? 「MapFan」なら、30カ所の一括ルート検索も、大型車規制を踏まえたルート検索も無料で使える!

 インターネットのウェブ地図サービスやスマートフォンの地図/ナビアプリは、いまや各社からさまざまな製品が提供されており、公私ともに不可欠なツールになった。物流・運送や営業・保守点検などの業務で日々、クルマを運転するような業務でも、カーナビ専用機ではなく、無料のスマホナビアプリを使っている人は少なくないだろう。

 そのような地図サービス/ナビアプリのユーザーに、ぜひ一度、試してみてほしい製品がある。従来であれば大手企業が導入するGIS(地理情報システム)に実装されていたような、最大30カ所の複数地点を効率よく回れる「最適化ルート」の検索機能が無料で使える「MapFan」だ。

ルート配送やルート営業など、多地点をクルマで回る業務で重宝しそうな「最適化ルート」機能の検索結果例。この画面では、22カ所(スタート/ゴール地点を含めると24カ所)を効率的に回るルートを、順番の入れ替えも含めて自動的に検索してくれる。「MapFan」に今年6月に実装された、ビジネスユース向けの新機能だ

 インクリメントP株式会社が提供する老舗の地図サービス/アプリである「MapFan」では、そのほかにも「大型車規制考慮ルート検索」が無料で使えるなど、ビジネスユースに最適な各種機能を備えている。さらに月額300円(税別)からの有料会員サービス「MapFanプレミアム」に加入すれば、より便利で、業務で安心して使える数々の機能が利用可能だ。本稿では、ビジネスユースの視点で「MapFan」をレビューしながら、“仕事で使える”地図サービス/アプリに求められる条件について考えてみた。

地図サイトもナビアプリも無料で使える「MapFan」まずは「MapFan会員ID」を登録しておこう

 ではここからは、「出版社であるインプレスの営業担当者が、クルマを使って都内の書店にあいさつ回りをする」というシナリオに沿って、その「最適化ルート」を検索する手順を説明していこう。後述するリストにあるように、訪問しなければならない書店は20カ所以上! しかも、これらを半日で回るという、かなり無茶ぶりなシチュエーションだ。いかに効率的に回れるルートを見出せるかがカギになる。

今回、書店20カ所以上を半日で回るルートを「MapFan」を使って検索してみた。それにはまず、出発前にPCを使って各種事前準備を済ませておこう

 最大30カ所の最適化ルート検索は、今年6月に「MapFan」のウェブ版サービスに実装された「マップツール」という機能の中に搭載されているものだ。

 マップツールは、PC/スマートフォンのブラウザーからMapFanのウェブサイトにアクセスすれば誰でも利用できるが、ログインしない状態で使うと、地点登録したデータや最適化ルートの検索結果などが保存できない。あらかじめ、MapFan会員ID(無料)を登録してから使用するのが現実的だろう。会員登録するだけで、マップツールに登録した地点データや最適化ルートの検索結果の保存、さらにはスマートフォンでの連携利用なども無料で行えるようになるので、まずは会員登録しておこう。

会員登録するには、MapFanのウェブサイトの右上にあるメニューボタン(3本線アイコン)をクリックし、この中から[MapFan会員IDの登録(無料)]を選択する。ID名とパスワード、メールアドレス、ニックネーム、カーナビの有無とメーカー名を入力し、利用規約を読んだ上で同意のボタンをクリックすれば完了する。

「MapFan」ウェブ版(検索画面)

最大2000行のCSVファイルで地点リストを読み込み可能営業先の位置関係も手軽に可視化!

 最適化ルートの検索をするには、訪問する地点(スポット)をマップツールに登録する必要がある。1カ所ずつ登録する場合は、下部にある[+地点追加]ボタンをクリックして検索窓を表示。住所やスポット名で検索した結果の中から選択すると地図上にポップアップでスポット名が表示されるので、[+地点を追加]ボタンをクリックすればよい。地図上から位置を指定していく方法でも可能だ。

「マップツール」の初期画面

 このように1カ所ずつ地点を登録していく方法のほか、複数の地点をまとめて読み込むことも可能だ。上部メニューのインポートボタン([↑]アイコン)をクリックすると、地点リストのファイル(CSV形式に対応)をインポートできる。

地点リストのファイルをCSV形式で用意する
「マップツール」へのインポート画面

地点リストのCSVファイルには、少なくとも地点の「名称」と「住所」という2つの列が含まれている必要がある。ファイルをインポートする際に、どの列が住所で、どの列が名称かを指定した上で[インポート]ボタンをクリックすれば読み込みが完了。読み込んだ地点の位置を示す赤丸のアイコンが地図上にプロットされる。

住所は、都道府県名と市区町村名を省略せず記述し、住所とビル名との間は必ず半角または全角のスペースを空ける必要がある。住所の番地などの数字は全角でも半角でもどちらでも構わない。

なお、住所を読み込む際に、MapFanの住所データベースに対応する情報がない場合は位置情報が正しく変換されず、住所の先頭に黄色の[△]マークが付くことがある。その場合は、住所の右側にあるメニューボタン(縦3点アイコン)をクリックして[編集]を選択し、[地点の情報]の画面を表示させる。この中から[位置を変更]ボタンを押すと、マーカーが東京駅の上に仮表示されるので、このマーカーを正しい位置に移動させてから[OK]ボタンを押すと、そこがその地点の位置として登録される。

スタート/ゴールを含め24件の地点を読み込んでみた。このうち3件が「MapFan」の住所データベースに含まれていなかったため自動で認識できず、黄色のマークが付いている
黄色のマークが付いた店の住所を手動で修正

 マップツールでは、名称と住所のほかに、例えば店の規模やスタイル、チェーン名など、スポットを分類する項目を作ることで、ピンを色分けして表示することなどが可能になる。最大10項目まで設定できる。

 今回の書店のリストでは、「S堂書店」「A屋書店」など、読み込ませるCSVファイルの中に「チェーン名」の列を作ってみた。このファイルを読み込んでから、設定ボタン(歯車アイコン)をクリックして、一覧表示項目の選択肢の中から[チェーン名]を選ぶと、チェーン名ごとに色分けして表示される。この状態で地図左上の[凡例]の中から「S堂書店」などと選ぶと、そのチェーン店のアイコンだけに絞って地図上にプロットできる。

ピンのスタイルを[チェーン名]別で分けるように指定できる
[均一のスタイル]の場合
[チェーン名]で色分けした場合

 読み込み可能な地点は最大2000件までと、かなりの容量を扱える。これだけのデータベースを無料で利用できるというのはお得感が高い。ただし、無料会員では、登録できるデータベース(マップ)は1つだけだ。複数のデータベースに切り分けて運用したいときは、後述する有料会員サービス「MapFanプレミアム」への加入を検討してみてほしい。

都内22店舗を効率よく回るルートを一括検索してみた結果……果たしてあいさつ回りにかかる時間は短縮されるのか!?

 このような住所データの読み込みは、Google マップの「マイマップ」機能など、無料で利用できる地図サービスがほかにもあるが、MapFanのマップツールは、この読み込んだリストの中から最大30カ所を選んで、それら全てを回る「訪問ルート」を一括検索できる点が大きく異なる。

 地点リストの中から、スタートおよびゴール地点となる自分の会社と、訪問したい店舗にチェックを入れてから、[訪問ルート作成]をクリックすると、選択した店舗が上から順に並んだ状態で、[S](スタート)、[1]、[2]、[3]……と旗が順番に並んで、最後の地点が[G](ゴール)と表示される。

[訪問ルート作成]をクリックすると、訪問先がリストの順に並ぶ

 この状態で下部の[ルート検索]をクリックすると、[S]~[1]~[2]~[3]~[4]~[5]……と、それぞれの地点間のルート検索が行われるわけだが、このときに[最短で並び替え]オプションをオンにしておくと、距離が最も短くなるように、自動的に訪問する順番を並び替えた上でルート検索が行われる。これが、本稿の冒頭で紹介した「最適化ルート」だ。

 この機能を使えば、その日の訪問先を地図上にプロットし、どのような順番で訪問すればいいのかをいちいち考える必要がなく、ボタン1つで最適な順番を割り出すことができる。訪問する地点は、スタート/ゴールを除いて最大30カ所まで指定できる。訪問ルート検索の結果は自動的に保存され、[訪問ルート一覧]をクリックすればいつでも検索結果の履歴を見られる。

マップツールで訪問ルートを検索する際は、スタート地点とゴール地点を指定する必要がある。自分の会社から出発して最後に戻ってくる――という場合は、訪問先のリストの最初と最後の行に、自分の会社の名前と住所を入れておくことをおすすめする。今回インポートしたCSVファイルにおいて、22カ所の訪問先に加えて、最初と最後の行に「インプレス」が入っているのはこのためだ。

 訪問ルートの検索を行うときは、さまざまな検索条件を指定することも可能だ。

 [ルート検索条件]の設定画面では、有料道路(利用する/優先的に利用する/利用しない)、検索条件(推奨/最短距離/曲がり角を少なく/なるべく広い道)、フェリー利用(利用する/優先的に利用する/利用しない)、車種(軽自動車/普通車/中型車)、スマートIC利用などを指定できる。さらに、一般道路・高速道路・有料道路の3つについてそれぞれ平均時速を指定し、訪問先での滞在時間を指定することで、訪問を終えるまでのおおまかな所要時間が算出される。

訪問ルートの名称の右側に表示されるメニューボタン(縦3点アイコン)をクリックし、[ルート検索条件]を選択することで、訪問ルート検索の各種検索条件を指定できる

 試しにスタート時間を10時に、1カ所につき滞在時間を15分間にして、22カ所の書店を回るルートを検索してみた。

 最初にリストの順番のままで検索してみたところ、ゴールの到着予想時刻は「17時26分頃」という結果になった(所要時間7時間27分、このうち走行時間1時間57分/走行距離58.1km)。次に[最短で並び替え]をオンにして検索してみたところ、到着予想時刻は「16時47分頃」となった(所要時間6時間48分、このうち走行時間1時間18分/走行距離38.7km)。都内の比較的狭いエリアでも、走行時間が39分間の節約になったので、より広範囲のエリアを巡る場合は、もっと差が大きくなるものと思われる。

仮にリストの順番で22カ所の書店を回るルートを検索した結果
[最短で並び替え]をオンにして検索した結果

 実はこの最適化ルートの検索機能は、インクリメントPがこれまで物流会社や運送会社などの法人に向けて提供してきた業務用のルート検索システムに含まれていたものだ。従来は大手企業が膨大な顧客先を効率よく巡るためにコストをかけて導入していた機能であり、これを無料で使えるというのはかなり画期的だ。

 訪問ルートの作成後は、地図上の各地点のピンに訪問する順番を表す番号が割り振られる。この番号をクリックすると詳細情報がポップアップして住所などを確認できる。このポップアップウィンドウには、あらかじめ[宅配BOX][指定時間帯][訪問]という3つのボタンが用意されており、宅配BOXの有無、届ける時間帯、未訪問・不在・訪問済のステータスを管理できる。

各地点の訪問ステータスなどを管理できる

出先では「MapFan」のナビアプリ連携が便利慣れないルートは音声付きナビで案内してもらおう

今回、検索された最適化ルートの一部を実際に回ってみた。出先では、スマートフォンからMapFanを利用する。まずは会社を出る前に、最初の訪問先までのルートをMapFanアプリで検索。ナビゲーションを開始して、さあ出発だ

 マップツールはPCブラウザー/スマートフォンブラウザーの両方から利用できる。CSVファイルのインポートについてはPCブラウザーで操作する必要があるが、読み込んだ地点を選択して訪問ルートを検索する操作については、スマートフォンブラウザーを使っても行える。データベース管理を行う作業などは画面の広いPCブラウザーから行い、訪問ルートを出先で参照する場合などにスマートフォンブラウザーから操作するといった使い分けが適しているだろう。

 その際、Android/iOS対応のカーナビアプリ「MapFan」(以下、MapFanアプリ)とも連携する点に注目したい。

 スマートフォンブラウザーでマップツールを表示し、地図上の訪問先のアイコンをタップすると、店名や住所などの情報の下に、MapFanアプリを起動するための小さなアイコンが表示される(事前に、MapFanアプリをインストールしておくことが必要)。これをタップすると、MapFanアプリが起動して、現在地からその地点までのルート検索が行われ、音声付きの詳細なナビゲーションを利用可能となる。

下部にある訪問先の名称の横に、MapFanアプリを起動する小さなアイコンが表示される
(※この画面は、今回実際に回ったルートとは別のルートのものです)
MapFanアプリのアイコンをタップすると、同アプリが起動し、現在地からその地点へのルート検索が行える
(※この画面は、今回実際に回ったルートとは別のルートのものです。また、赤い矢印で示されている渋滞情報は、有料サービス「MapFanプレミアム」で提供されているものです)

 なお、このときにMapFanアプリで提示されるルート検索結果は、あくまでも現在地から次の訪問先までの2地点間を結ぶルートだ。事前にマップツールで行った複数の訪問先を経由する最適化ルート検索の結果とは別個のものであり、必ずしも一致するとは限らないことに注意が必要だ。

 マップツールの訪問ルートは、外出前に計画を立てることを目的とした機能であり、出先では、その訪問ルートの結果を参照しながら、次の訪問先までのナビゲーションが必要な場合にMapFanアプリを起動する――といった使い分けになるだろう。

MapFanアプリのナビゲーション画面
(※赤い矢印で示されている渋滞情報は、有料サービス「MapFanプレミアム」で提供されているものです)

大型トラックが通れる道などに限定してルート検索「大型車規制考慮ルート検索」も無料で提供

スマホナビが示したルートに従って細い路地に入り込んでしまい、苦労することも……。そんな状況を回避すべく、ルート検索の条件設定を確認しておこう

 前述したマップツールのルート検索条件(推奨/最短距離/曲がり角を少なく/なるべく広い道)では、[最短距離]を選択すると細かい路地を使うルートが提示される可能性もあるため、大型の車の場合は[曲がり角を少なく]や[なるべく広い道]を選ぶのがおすすめだ。スマホナビを信用して細い路地に入り込み、苦労した経験のあるドライバーには魅力的な機能と言えるだろう。

 なお、ルート検索条件では車種(軽自動車/普通車/中型車)の指定も行えるが、これは高速道路や有料道路の料金計算に利用するための項目で、道幅などのルート検索の条件とは関係ない。

[曲がり角を少なく]や[なるべく広い道]など検索条件を変更可能
[最短距離]で検索した結果
[曲がり角を少なく]で検索した結果
[なるべく広い道]で検索した結果
訪問ルートの検索結果の細部を見ると、通常は緑色で引かれているルートの中に、ピンク色で示されている区間があるのが分かる。これは「細街路」を示しており、その区間が細い道であることがあらかじめ分かるようになっている。MapFanのウェブ版/アプリともに採用している共通の表示形式だという

 このほか、マップツールの訪問ルート検索では残念ながら実装されていないが、MapFanウェブ版およびMapFanアプリに従来からある通常の「ルート検索」ツールでは、「大型車規制考慮ルート検索」に対応している。車種、車幅、車高、車両総重量などを細かく指定しておくことで、道路ごとに異なる「大型車規制」に該当する道路には入り込まないようにルート検索を行える。例えば、背の高い車では通れないような高架下を避けたルートを引くことも可能だ。

MapFanウェブ版に従来からある「ルート検索」ツールでは、トラックの形のアイコンを選択することで、車種、車幅、車高、車両総重量などを細かく指定し、大型車規制を考慮したルート検索が可能だ。このほかに「危険物積載車両」かどうかの条件設定項目もある
MapFanアプリでは、検索窓の左側にあるメニューボタン(3本線アイコン)→[設定]→[ナビ設定]で、「大型車規制考慮ルート検索」のための設定項目がある

 MapFanの地図は、全国の道路をくまなく走行して撮影した映像や、地元の警察から得た情報などをもとに、道路ごとの幅や細かい規制の内容を属性情報として地図データに格納しているため、さまざまな車種や車体の大きさに応じた検索が可能となっている。

 今回の“書店のあいさつ回り”のシナリオでは活用はしなかったが、大型トラックなど業務で地図サービス/ナビアプリを使う際には、こうした機能の有無もぜひチェックしたおきたいポイントだ。検索結果のルートを走って行ったら大型車が通り抜けられない道だった――といった状況は避けたいところだろう。

「大型車規制考慮ルート検索」は、このように高架下の高さ規制など規制標識があるような日本全国の箇所について対応しているという(ただし、規制標識のない地方の細街路などでは対応していない場合があるとしている)。特に大型トラックなどで利用するルートを検索する際に活躍しそうだ

最寄りの駐車場は? ギガ枯渇対策にも効果!?さらに便利になる有料サービス「MapFanプレミアム」のメリットまとめ

 MapFanは、ここまで見てきたようなビジネスユースで活用できる機能が無料会員でも使えるわけだが、さらに便利な機能が月額300円(税別)または年額3600円(税別)の有料会員サービス「MapFanプレミアム」で用意されている。そのメリットをまとめた。

今回の書店回りが都内だったということもあり、重宝したのが「駐車場満空情報」だ。訪問先の最寄りの駐車場が満車の場合でも、簡単に近くの駐車場を検索し、その場所を地図上で確認、そこまでのルート検索とナビゲーションまで、全てMapFanアプリから行える

「マップツール」で、複数のデータベース/マップを利用可能に(ウェブ版)

 前述したように、MapFanの無料会員の場合は、読み込んで保存しておけるデータベース/マップは1つだけであり、複数のマップを使い分けたい場合は、MapFanプレミアムに加入するかたちになる。例えば、曜日や季節によって訪問先のリストが異なる場合、組織内の複数人で1つのIDを共有している場合などは、マップを分けたほうが使い勝手は断然良い。営業担当者が商材ごとに顧客リストを分ける場合にも便利だし、地域別・都道府県別にマップを分けるという使い方もある。もちろん、1つのマップにつき、それぞれ2000件までの地点情報を登録することが可能だ。

有料会員になると、CSVファイルのインポートだけでなく、エクスポートも可能となる。これにより、マップツール上で新たに店舗を追加したものをエクスポートして、Excelなどで活用することもできる。エクスポートするCSVファイルには、マップツールで読み込んだときに生成された緯度・経度の情報も追加される。

エクスポートしたCSVファイルをExcelで読み込むと、緯度・経度が追加されているのが分かる

最大10カ所を経由する「巡回ルート」を検索可能に(ウェブ版/アプリ)

 MapFanのウェブ版には、マップツールによる訪問ルート検索とは別に、その都度、目的地を指定してルートを探すことができる「ルート検索」というツールが従来より提供されている。

 このルート検索の経由地として指定できるのは、無料会員の場合は5カ所までだが、MapFanプレミアムの会員は10カ所まで指定可能となる。ルート検索時に[巡回]というオプションをオンにすることで、10カ所まで(スタート/ゴールを除く)の複数地点を効率的に回れるルートの検索を行える。

 前述した大型車規制考慮ルート検索に対応していながら、こうした多地点の巡回ルートを検索できる点は、マップツールの最大30カ所には及ばないものの、特にビジネスユースでは有用な機能だろう。

 この巡回ルート検索は、MapFanアプリでも同様に行える。

従来からある「ルート検索」ツールでも、複数地点を効率よく回れる「巡回ルート」を検索可能だ(経由地点は、無料会員で5カ所まで、有料会員ならば10カ所まで指定可能)

VICSの渋滞情報、駐車場の満空情報、ガソリン価格を参照可能に(ウェブ版/アプリ)

 駐車場の満車・空車情報やガソリン価格の情報も、MapFanプレミアムだけの機能だ。付近の駐車場やガソリンスタンドの位置が地図上にプロットされて、各駐車場・各店の状況を調べることができる。MapFanプレミアムのアカウントはウェブ版サービス/アプリ共通のため、MapFanアプリ上でもこれらの情報が利用可能になる。さらに、VICSによる渋滞情報を受信することが可能となる点にも注目だ。

 マップツールで検索した訪問ルートに従って移動中に、MapFanアプリで訪問先の近くの駐車場を参照したり、渋滞を考慮したルートをあらためて検索したりすることで、さらに効率の良い移動が可能となる。

駐車場は、空いている場合が青、満車の場合が赤、混雑している場合が橙色のアイコンでプロットされる
各駐車場の料金はもちろん、車両の高さ・長さ・重量制限などの情報も参照できる
ガソリン価格情報
VICSの渋滞情報
MapFanアプリでは、検索窓の右側にある[周辺スポット]アイコンから、周辺の「駐車場満空検索」や「ガソリンスタンド価格検索」が行える
MapFanウェブ版では、「検索」ツール(虫眼鏡アイコン)から「駐車場満空」「ガソリン価格」の情報を検索できる

“オフライン地図”で、モバイル通信容量を節約(アプリ)

 MapFanプレミアム会員であれば、MapFanアプリで地図データをオフラインで使用することも可能となる。社内にいるときなどに事前にWi-Fi経由で地図データをダウンロードしておくことで、出先で発生するモバイル通信を大幅に減らすことがきる。オフラインで利用できないナビアプリの場合、業務で1日中アプリを使うと思わぬ量の通信が発生し、携帯電話会社と契約している月ごとの使用制限に達してしまう恐れもある。MapFanプレミアム会員となってナビゲーション中のオフライン地図機能を使えば、そのような心配も無くなるというわけだ。

カーナビ専用機の地図データ更新もお得

 MapFanプレミアム会員のメリットとしてはもう1つ、インクリメントPの地図データを採用するカーナビ専用機の地図更新がお得になるという点にも注目だ。パイオニアやケンウッド、デンソーテンの対象カーナビのユーザーは、年額3600円(税別)でMapFanプレミアムの会員になっている間は、機種によっては最新地図更新データを追加料金なしでいつでもダウンロード可能となる場合もある。業務用車両にこれらのメーカーの車載ナビを採用している場合は要チェックだ。

この特典についての詳細は、「Car Watch」で2019年6月12日に掲載した下記記事を参照してほしい。

その地図画面のスクショやプリントアウト、権利侵害していない?組織内での業務目的の地図の印刷・複製が可能に

 さらに、ビジネスユースでは見逃せないMapFanプレミアム会員のメリットとして、業務目的の地図の印刷・複製が許されるという点を挙げたい。

 一般的な商用ウェブ地図サービスや地図アプリ/ナビアプリの場合、業務目的の地図の印刷・複製は、著作権法で禁止される範囲に含まれることが多い。プレミアム会員ならば、業務目的の地図の印刷・複製が可能となり、社内などの組織内であれば、地図の二次利用が可能となる。

 例えば、荷物の配達先や訪問先の顧客の位置がプロットされた地図を印刷して、社内で配布して共有することもできる。また、社内での説明に使用するためのプレゼンテーションに、地図画面をキャプチャーして掲載することも可能だ。ただし、顧客など組織の外部に再配布する場合は、別途、複製許諾契約を締結する必要があるので注意しよう。

訪問ルート検索の結果を印刷して社内で配布できる。地図の左下に、社内利用に対する許諾番号が表示されているのが分かるだろう

スマホナビ利用者があらためて考えたい“仕事で使える”地図サービス/ナビアプリとは?

 MapFanは新機能の「マップツール」が追加されたことで、ビジネス向けの機能が大幅に強化された。それに加えて、MapFanプレミアム会員になることで得られるメリットを詳しく見てみると、そこからは仕事に適した地図サービス/ナビアプリとはどのようなものなのかが見えてくる。

 仕事で使う上で最も気になるのは、なんと言っても地図データそのものの信頼性だろう。MapFanの地図データは、カメラを積んだ調査用車両が全国各地の道路をくまなく走行し、その画像をもとに道路幅や規制情報などを入手している。また、多くの地図製作スタッフが航空写真をもとに家形(建物の形)をトレースして地図が作製される。道路の規制情報は、カメラで撮影した映像から得た情報に加えて、警察から提供される情報なども加味されているし、家形のトレースは機械任せではなく人の手で行われている。数多くのメーカーのカーナビ専用機に地図データを提供しているインクリメントPだからこそ、地図データの正確性に対するこだわりは強い。

インクリメントPのグループ会社であるグローバル・サーベイ株式会社が保有する調査車両。このような車両を複数台使って全国各地の道路の写真を撮影している。
調査中の様子

 地図データの更新頻度についても、1カ月ごとに最新のデータに更新するほか、高速道路や国道など大きな道路が開通するときには、事前情報を入手して地図データを準備しておき、開通直後に迅速に更新できるようにしている。それ以外の細かい道路についても、ユーザーからの情報を集める「地図の素」というコーナーを設けて情報を募集し、フィードバックを迅速に反映している。地図サービスやナビアプリをビジネスのツールとして使っている人たちにとって、このような正確かつ迅速な地図更新への取り組みには大きな安心感を覚えるのではないだろうか。

2018年6月2日に開通した東京外環道の三郷南IC~高谷JCTは、6月5日の月度更新で地図データに反映された

 さらに、MapFanアプリでは、オフラインでも地図を使えるというのも大事なポイントだ。通信量を節約できるというメリットを前述したが、それ以外にも、携帯電話の電波が入りづらい山奥でも使用できることや、災害時に携帯電話網が使用できなくなった場合でも使用できるという強みもある。

 インクリメントPはこれまで、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など、大災害が起こるたびにMapFanアプリの地図データのダウンロード機能を期間限定で無償提供してきた。実は、このような期間限定で提供されたオフラインの地図データは、無償提供期間が終了したあともずっと使い続けることが可能だ。これはプレミアム会員をやめて無料会員に戻った場合も同じである。もちろん、無料会員のままではダウンロードした地図データを更新することはできないが、一度ダウンロードした地図データを使い続けられるのは、いざというときの備えとしてとても心強い。

 業務目的の複製許諾についても、それが許されていない地図サービスやアプリの画面を、深い考えもなくコピーして日々の社内業務に使用している企業や組織は、意外と多いのではないだろうか。コンプライアンス面のリスクを回避する上でも、複製許諾をしっかりと明記している地図サービスを選びたいものである。

 「MapFan」は、これらの要素を兼ね備えた地図サービス/アプリとして大いに魅力的だ。まずは試しに無料会員登録して、「マップツール」の機能を活用してみてはいかがだろうか。