● 中国でGoogleを超えた検索サイト「百度」
|
Google(簡体字中国語サイト)
|
|
百度
|
|
百度の各サービス紹介ページ
|
8月上旬、“中国版Google”と言われる「百度(Baidu)」が米NASDAQに上場し、記録的な株価上昇となった。百度はGoogleに非常によく似たデザインの検索サイトで、中国ではGoogleと人気を二分するか、むしろGoogleよりも支持を得ている。中国語Webの検索に特化した、世界中の中国人のための検索サイトなのだ。
デザインは先駆者のGoogleに“うり二つ”と言えるほど似ているが、検索エンジンは異なる。それは両者、つまり百度の検索と、簡体字中国語に絞り込んだGoogleの検索で実際に同じキーワードで検索してみれば、検索結果が異なることがすぐにわかるだろう。Googleの検索結果は日本と同様、検索キーワードを題材とする代表的なサイトが上位に来る。例えば会社名を入力すればその会社のサイト、タレントだったらオフィシャルサイトがまずあって次にファンクラブのサイトが来るようなものだ。これに対して百度の検索結果の順番はこれに準じておらず、極端な話、その題材に対して最も有名なサイトよりも、その題材について書かれた掲示板の1スレッドが上に来ることもある。
Googleと百度の違いはほかにもある。Googleには「Google グループ」というサービスがあるが、百度にはこれがない代わりに掲示板「貼バ」(※バは口へんに巴)がある。また、「網站」というコーナーでは、中国国内のサイトをジャンル別に著名な順番に載せている。中国のある事柄についての生の現状を知るために中国のサイトを調べなければならないが、どのサイトを見ればいいのかわからないといった場合にたいへん重宝する。
さらに百度には「MP3検索」という機能がある。曲名からMP3ファイルを検索できるだけでなく、簡単に聴いたりダウンロードできてしまうので、一部からはモラル的な疑問も指摘されている。
■URL
Google(簡体字中国語サイト)
http://www.google.com/intl/zh-CN/
百度
http://www.baidu.com/
百度貼バ
http://post.baidu.com/
百度網站
http://site.baidu.com/
百度MP3
http://mp3.baidu.com/
● 新たな中国検索サイトは第2の百度を目指す?
ところで、百度がアメリカンドリームならぬチャイニーズドリーム(?)を成し遂げたがゆえか、第2の百度を狙ってか、最近はGoogle似=百度似のデザインの検索サイトが多数開設されている。例えば、以下のようなサイトが挙げられるだろう。
ただし前述の通り、人気はGoogleと百度の2つに集中していて、まだ第2の百度のような突出した存在の話は聞かない。
日本で検索サイトといえばYahoo!も挙げられるが、中国では人気がないのか、Yahoo!にあやかったデザインの有名ポータルサイトもないようだ。実際に中国のネットカフェで多くの端末に触ったが、「Yahoo!中国」をブックマークしている端末は見たことがない。普段「Yahoo! JAPAN」を使って検索している読者の方が、中国のポータルサイトはどんなものかとYahoo!中国を見たところで、典型的な中国のポータルサイトの今を見ることはできないだろう。
蛇足だが、それではどんなサイトがポータルサイトなのかというと、中国を代表する3大ポータルサイト「新浪網」「捜狐」「網易」を見ればわかる通り、情報がこれでもかというくらい1画面に詰まり、Flash広告が縦横無尽に走り回るのが一般的だ。
■URL
新浪網
http://www.sina.com.cn/
捜狐
http://www.sohu.com/
網易
http://www.163.com/
筆者は、中国のとある地域を紹介する自身のサイトで、その地域の中国企業から広告を出してもらおうと打診したことがある。しかし、その時はデザインが良くないから、つまり典型的な文字だらけのデザインでないからという理由で断られた経験がある。また、中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)の調査でも、「現状のインターネット環境に不満なことは?」という質問に対して、日本人にとってはごちゃごちゃしたあのポータルサイトのデザインに不満を表わす人はいなかった。すべての中国人がそうだとは断言できないが、多くの中国人にとってはポータルサイトはかくあるべきなのだ。
■関連記事
・ 「中国インターネット発展状況統計報告」を読む(後編)
● 中国でよく検索されるキーワードは?
|
百度の検索キーワードランキングページ
|
さて、検索キーワードランキングというものは中国にもあり、百度でもトップページの下のほうにある「捜索風云榜」に掲載している。そこでは、その日の検索キーワードトップ50や前日と比べて検索回数が増えた注目の検索キーワードトップ50のほか、アイドル、人物、IT企業、IT製品、ゲーム、漫画、自動車、学校、地名、富豪(!)など、さまざまなジャンルでの検索キーワードトップ50が見られる。
ランキングを見ると、今の世相がそうなのか偏っていて、素人からアイドルを発掘するテレビ番組の名前やその歴代優勝者の名前が上位にあるのを筆頭に、ゲームのタイトルやアイドル、韓国ドラマ(中国でも流行っているのだ)などが並ぶ。
ジャンル別の検索ランキングをいくつかピックアップすると、IT企業で不動の1位は中国モバイルキャリアのChina Mobile(中国移動)、上位にはお馴染みのLenovo(聯想)や携帯電話メーカーであるNokia、Sony Ericssonなどが並ぶ。日本のメーカーではソニー、エプソン、東芝、欧米メーカーではMicrosoft、HP、Intel、IBM、Adobeなどだ。IT製品での1位は、2位以下を大きく離して「携帯電話」。中国でも携帯電話には特に興味が持たれているらしい。2位は「デジカメ」で、これもしばらく不動の位置にある。地名ランキングでは「日本」が必ず上位に入っていて、良くも悪くもインターネットユーザーに注目されているのがうかがえる。
ランキングには順位やその日の検索回数のほか、これまでの総検索回数も表示されている。筆者がざっとチェックした範囲では人物名が強いようだが、中国ならではのキーワードとしては「QQ」が上位に食い込んでいる。QQは中華圏で圧倒的な人気を誇るチャットソフトで、中国でPCとネットカフェを普及させた“キラーソフト”だ。
「MP3」や、日本でも地味に検索され続けている「壁紙」は中国でも上位に位置する。壁紙と同じような定番キーワードに、「小説」や「画像(中国語で『図片』)」「笑い話(同じく『笑話』)」「童話」もある。
このほか、「芙蓉姐姐」も要注目だ。中国で最も有名なネットアイドル(?)だ。「?」としたのにはわけがある。芙蓉姐姐をキーワードに画像検索すればたくさん出てきて、その共通点を見ればわかるかと思うが、彼女は特別綺麗なわけではない。彼女の写真がすべてポージングしているため、奇怪な存在という意味で興味を持たれているのだとか。
■URL
百度 検索キーワードランキング
http://top.baidu.com/
( 山谷剛史 )
2005/09/29
- ページの先頭へ-
|
|
|
Copyright ©2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|