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2007/09/17~09/23


Googleの新サービス情報が非常に目立った1週間

 先週は、「Google」の名前がニュースに多く登場した1週間でした。18日のプレゼンテーション機能を新たに搭載した「Googleドキュメント」携帯電話向けAdSenceに始まり、19日にはGoogleリーダーの日本語版、20日には3Dモデリングソフト「Google SketchUp」、21日には「Google Sky(Google Earth)」の天文写真対応と、ニュースになった数が多いだけでなく、それぞれの話題性も高いものでした。

 検索エンジンを中心事業とするGoogleが、なぜこのように多様なサービスを公開し続けているのでしょうか。今週はGoogleが公開している主要なサービスをもういちど確認しながら、Googleの狙い、ビジネスモデルについて整理します。


Googleのフィードリーダー正式版公開、日本語にもしっかり対応
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/19/16930.html
 Googleは、2005年10月からβ版として提供していたGoogle Readerの正式版を18日に公開。同時に、日本語を含む9カ国語に対応した。

KDDI、インテル、JR東日本らがモバイルWiMAXの企画会社を設立
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/18/16925.html
 18日、KDDI、インテル、JR東日本ら6社は、モバイルWiMAX事業の企画会社「ワイヤレスブロードバンド企画株式会社」への出資などで協力することを合意。イー・アクセスとソフトバンクアッカとNTTドコモに続く大型WiMAX事業体のニュースとして注目を集める。

マイクロソフト、「Office 2003」各製品のSP3を提供開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/19/16937.html
 19日、マイクロソフトは「Office 2003」シリーズ各ソフトのアップデートパッケージ「Microsoft Office 2003 Service Pack 3」の無償ダウンロード提供を開始。Microsoft UpdateおよびOffice Updateによる自動更新は2008年4月からの開始予定とした。

Microsoftの独禁法違反、EU一審が欧州委員会の決定を支持
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/18/16910.html
 Microsoftが自社の優位な立場を濫用し、欧州市場における競争法(独占禁止法)に違反した、とする2004年の欧州委員会の決定に対し、Microsoftは返還請求をしていた。これに関して17日、欧州連合第一審裁判所は欧州委員会の決定を原則支持。罰金額は妥当とした。一方で監視管理官については取り消した。

「ニコニコ動画」1人あたりの平均利用時間、Yahoo! JAPANやmixiを上回る
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/21/16956.html
 ネットレイティングスが8月の月間インターネット利用動向調査の結果を発表。「ニコニコ動画」は約284万人が利用し、1人あたりの平均利用時間は3時間14分。これは、Yahoo! JAPANやmixiの平均利用時間よりも長い。同時に「ニコニコ市場」のポテンシャルの高さも指摘された。


Googleはなぜ、次々と無料で高度な新サービスを提供できるのか?

 Googleでは、Web検索のほかにもGmail、Googleニュース、GoogleマップにGoogleトランジットと、実に多様で高機能なサービスを提供しています。しかも、いずれも無料で、それまでにあった類似の有料サービスがかすんでしまうようなものばかり。

 「Googleの使命は、Google独自の検索エンジンにより、世界中の情報を体系化し、アクセス可能で有益なものにすることです」と、Googleの会社情報に記されています。Web上にある情報を収集し、使いやすく体系化し、アクセス可能な形で提供したのがWeb検索で、メールやRSSを使いやすく提供するのがGmailやGoogleリーダーだといえます。さらに、情報を生むためのツールとしてGoogleドキュメントも提供した、と考えられます。

 Googleがこのように新サービスを次々と開発し、無料で提供し続ける背景には、莫大な広告収入という大きな支えがあります。Webで「生命保険」を検索した人に保険会社の広告を出す、Gmailを使って「温泉旅行」の話題をやりとりしている人に温泉旅館の広告を出す、というように、ツールの中でユーザーの求めている情報を分析してAdWordsやAdSence広告を表示するのが、Googleのビジネスモデルです。

 世界のあらゆる情報を収集し、整理したら、そこに広告を載せることによってビジネスはどんどん拡大できる、だから扱える情報をさらに増やすためにサービスも次々に投入していく、というわけです。今週発表された携帯向けAdSense以前にも、Googleマップの広告ラジオCMゲーム内広告など、多方面の広告事業への進出がニュースになっています。

 とはいえ「Googleは広告のため(だけ)にサービスを提供している」と見るのは、一面的にすぎるでしょう。例えばGoogleリーダーには今のところ広告が表示されておらず、必ずしも「広告ありき」のサービスではない、ということが伺えます。

 Googleのツールはちょっとライバルが見あたらないほどに高機能で魅力的であり、データをWeb上に置いて、どの端末からもWebブラウザさえあれば作業ができるという基本コンセプトは、まさに新しいWebの形「Web 2.0」の概念にピッタリなもの。「Googleに依存しすぎてしまって怖い」といいながらもGoogleのサービス群を毎日ヘビーに使い続けている、というユーザーが多数いるのもうなずけますね。



2007/09/25 13:12
小林祐一郎
プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス)

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