近年続いてきた著作権関連の議論が、1つの結果となって現れそうです。政府は先週、「ダウンロード違法化」などを盛り込んだ著作権法の改正案を閣議決定し、国会に提出しました。一方で「デジタル・コンテンツ利用促進協議会」など民間の活動も続いています。
注目すべき新サービスの発表も続々とありました。「Microsoft Online Services」は、「Excange」などをオンラインサービスとして提供する新サービス。日本語ベータが開始になっています。海外では「Google Voice」が話題。やじうまWatchで紹介した「美人時計」も、なにかと話題になりました。
◆Windows 7ではIEやWindows Media Playerの無効化が可能に
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/09/22714.html
3月6日、米Microsoftは、「Windows 7」ではIEやWindows Media Playerなどを無効化できるようになることを明らかにした。無効化設定を行った機能はOS起動時に読み込まれなくなるが、再度有効化して再起動すれば、再インストール作業を必要とせず利用できるようになるという。
◆曲名などを音声読み上げ。iPod shuffle新モデル
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/12/22757.html
3月11日、アップルは第3世代「iPod shuffle」を発表した。曲名・アーティスト名・プレイリストなどを、日本語を含む14カ国語の音声で読み上げる新機能「VoiceOver」を搭載し、大きさは第2世代の約半分。合わせて「iTunes 8.1」が公開になっている。
◆著作権法改正案が国会提出、「ダウンロード違法化」など盛り込む
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/11/22747.html
3月10日、政府は著作権法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。「ダウンロード違法化」や検索エンジンにおける著作物複製の合法化、テレビ番組などをネットで二次利用する際の権利処理の円滑化などを盛り込んでいる。
◆「Adobe Reader 9.1」「Acrobat 9.1」公開、深刻な脆弱性を修正
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/11/22742.html
3月10日、Adobe Systemsは「Adobe Reader 9.1」と「Acrobat 9.1」を公開した。先に公表されていた深刻な脆弱性を修正したもの。Windows、Mac OS版は公開済みでUnix版は3月25日の公開予定。同社ではユーザーに対しアップデートを呼びかけている。
◆石田晴久氏が死去、日本のコンピュータ・ネット研究の第一人者
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/09/22718.html
3月9日、サイバー大学IT総合学部長で東京大学名誉教授の石田晴久氏が死去した。72歳。死因は心筋梗塞。同氏は東大大型計算機センター在籍時代に村井純氏らとネットワークの接続実験を行うなど、最初期から日本のインターネット研究に携わってきた。
● ダウンロード違法化などが盛り込まれた著作権法改正、ネット利用はどう変わる?
3月10日に著作権法の改正案(著作権法の一部を改正する法律案)が閣議決定され、国会に提出されました。今回の改正案はインターネットやデジタルコンテンツ流通への対応に主眼を置いたもので、ネットユーザーや事業者にも大きな影響を及ぼし得るものとなっています。
特に気になるキーワードは「ダウンロード違法化」。そして、「検索エンジンやストリーミング配信のキャッシュ合法化」です。そのほか、過去のテレビ番組をネットで二次利用する際に、権利処理を円滑にする「裁定制度」の採用、国会図書館の蔵書資料の電子化や障害者向けの情報の字幕や手話情報の付加などを権利者の許諾なしに行える規定などが設けられています。
「ダウンロード違法化」は、文化審議会の「私的録音録画小委員会」にて、違法着メロ/着うたサイトなどの問題として議論が繰り返されていたもの。違法な送信(アップロード)だけでなく、違法にアップロードされたコンテンツを「違法と知りつつ」ダウンロードすることも違法となります。ただし、罰則は設けられていません。関連して、海賊版DVDなどコンテンツの違法複製物を違法と知りつつネットオークションに出品するなどの行為についても、罰則付きで規定が設けられました。
「キャッシュ合法化」は、文化審議会の「法制問題小委員会」や政府の「知的財産戦略本部」で提言されていたもの。これまでグレーであった検索エンジンによるコンテンツの一時複製や、ストリーミング配信時のキャッシュのための一時複製が、必要と認められる限度においては合法であることが明文化されます。
この他に最近の著作権法関連で議論されたものには、いわゆる「日本版フェアユース」や保護期間の延長問題がありましたが、これらについては今回は盛り込まれていません。著作権法の改正案は今後国会で審議され、来年1月1日には施行の見通しです。
2009/03/16 11:35
|
小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「できるポケット+ クラウドコンピューティング入門」(インプレス) |
- ページの先頭へ-
|