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2009/03/23~2009/03/29


 新年度に備えているためか、先週はあまり大きなニュースはありませんでした。そんな中でも気になるのは、私的録音録画補償金制度などの問題を話し合う文化審議会の「基本問題小委員会」設置のニュースです。これに関しては、これまでの流れを含めて後半で詳しく紹介します。

 ところで、今週水曜日は4月1日。各サイトの趣向を凝らしたエイプリルフール企画も楽しみです。今年は不景気の影響もあって、あまり大がかりなネタは少ないかも……という声もありますが、そんな中だからこそ大胆なネタで注目を集めるサイトがあるかもしれません。


補償金制度“そもそも論”を議論する「基本問題小委員会」設置
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/25/22904.html
 3月25日、文化庁の文化審議会著作権分科会は、私的録音録画補償金制度や著作権保護期間延長などの“そもそも論”について議論する「基本問題小委員会」を設置した。これまで設置されていた「私的録音録画小委員会」でメーカー側からそもそも論が上がり、結果として結論が出なかったことを踏まえ、そもそも論を中心に議論することで今後の方向性を探る。委員は未定だが、4月中に第1回会合の実施が予定されている。

ブルーレイ課金が延期、メーカー側の反対で
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/24/22878.html
 3月24日、文化庁は、いわゆる「ブルーレイ課金」を盛り込んだ著作権法施行令改正案の施行日について、当初の予定だった4月1日から延期することを明らかにした。JEITAの反対により事務手続きが遅れているが、4月中の実施を目指すとしている。しかし、メーカーを所管する経産省との調整によっては、さらなる延期の可能性もある。

児童ポルノのアドレスリスト作成・管理団体の設置検討へ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/26/22926.html
 3月26日、警察庁「総合セキュリティ対策会議」は、ネット上の児童ポルノの流通防止のために「児童ポルノ流通防止対策推進協議会(仮称)」を設置することなどを盛り込んだ報告書を公表した。協議会にはISPや民間団体などが参加し、ISPによるアクセスブロッキングやフィルタリング用のアドレスリストを作成・管理をする団体の立ち上げなどについて検討を行うとしている。

ドイツ発の無料ホームページ作成サービス「Jimdo」日本語版公開
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/25/22909.html
 3月25日、KDDIウェブコミュニケーションズは、独Jimdoが開発した、ブラウザ上でホームページを作成できるサービス「Jimdo」の日本語版を開始した。Jimdoにより、静的なWebページやブログ、SNSなどをまとめた「Web 3.0」が実現できるとしている。

Wi2、11nを使った公衆無線LANサービス。東京・丸の内で4月に開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/03/25/22911.html
 ワイヤ・アンド・ワイヤレス(Wi2:ワイツー)は、IEEE 802.11n ドラフト2.0およびIEEE 802.11iに対応した公衆無線LANサービス「Wi2 300」を4月に開始する。サービス開始当初は丸ビル、新丸ビル、丸の内オアゾ構内および「丸の内シャトル」停留所で利用可能で、首都圏のオフィスや商業エリア、ショッピングセンターに広げていくとしている。料金は、基本料金が月105円で月額上限980円の従量課金制。7月末までのキャンペーン期間中に入会すると、基本料無料の上限490円となる。


“そもそも論”からやり直し。私的録音録画補償金制度に関する議論の行方は?

 何かの企画が具体的なアクションの検討段階に入ったところで、企画の動機や意義など、根本部分を揺るがすような話を始めると「そんな“そもそも論”はもう終わったはず」とたしなめられます。が、紛糾しすぎてまとまらない議論は、“そもそも論”からやり直すのも1つの方法でしょう。

 私的録音録画補償金制度の対象として、iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーやパソコンのハードディスクを加える、いわゆる「iPod課金」に関する議論が、この“そもそも論”からのやり直しとなりました。

 このiPod課金を巡る議論は、2008年末までの文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会にて結論が出ず見送りとなっていたもの。元をたどれば、法制問題小委員会で2005年末に見送りが決定され、仕切り直しとなって組織された私的録音録画小委員会で、2006年4月から約3年に渡って議論を行ってきました。

 当コーナーでも、この問題についてはたびたび触れています。

私的録音録画補償金制度とは?:2007/09/03~09/09
「ダウンロード違法化」議論について:2007/10/15~10/21
文化庁が「ダウンロード違法化」に「やむを得ず」:2007/12/17~12/23
「ダウンロード違法化」閣議決定:2009/03/09~2009/03/15

 3年前の私的録音録画小委員会の第1回会合に関する記事に、「『そもそも補償金制度は必要なのか』を議論」とあるのを目にすると苦笑せざるを得ませんが、今度の“そもそも論”はどのレベルから立ち上がり、「ダウンロード違法化」のような脇道の議論にエネルギーを取られることがないか、というのがカギとなるのかもしれません。もっとも“そもそも”のレベルでは権利保護という同じ目的を持っているので、「ダウンロード違法化」が必ずしも脇道とも言い切れないのですが。

 今回の“そもそも論”の原型になるかもしれないものとしては、2007年末に文化庁が提示したビジョンがあります。これは、「将来的にはDRMの普及により補償金は廃止となり、補償金制度はそれまでの暫定的な制度である」というもの。技術の現状からあまりにもかけ離れた「そもそも論」はかえって害悪となりそうですが、現状に則し、なおかつ権利者にもメーカーにもユーザーにも納得感のある“そもそも論”の形成を、と願いつつ議論を見守りたいところです。



2009/03/30 13:47
小林祐一郎
プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「できるポケット+ クラウドコンピューティング入門」(インプレス)

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