「ヤフーがGyaOを子会社化」が、先週の大きなトピックでした。YouTubeやニコニコ動画のような、著作権的に問題の多かった動画共有サイトが著作権者との提携を次々と進めていく中、「日本最大級のオフィシャル映像配信プラットフォーム」を構築するという取り組みに今後も注目したいところです。
その他では、セキュリティ関連でWindowsの脆弱性「MS08-067」を突く「Conficker」ワームへの警告、PC通販サイト「GENO」サイト改ざんの疑い、新手のワンクリ詐欺続報など気になるニュースが続いています。注意を怠らないようにしましょう。
◆ヤフーがGyaOを子会社化、2009年秋には動画サービス統合
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/07/23059.html
ヤフーは、GyaOの株式の51%を4月30日に譲り受け、2009年秋から「Yahoo!動画」と「GyaO」の両サービスを統合させることで合意した。両サービスの統合を軸に、日本最大級のオフィシャル映像配信プラットフォームを目指す。
◆2011年までに全教員に情報モラル指導力を、内閣府の検討会が提言
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/08/23068.html
4月7日、内閣府「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」は第4回会合を開催。政府への提言内容をまとめた。青少年、保護者、事業者、国民という4つの立場に対し、教育・啓発、フィルタリング、民間団体の支援、という3種の施策を柱とする。具体的には、2011年までに現役教員全員に情報モラル指導能力を身に付けさせるとした。
◆日本のネット利用者が9000万人を突破、総務省推計
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/08/23070.html
4月7日、総務省は「通信利用動向調査」の結果を発表。2009年1月時点での日本国内のインターネット利用者は推計9091万人とされ、初めて9000万人を突破した。調査結果では、年齢別のインターネット利用率で13歳~40代がすべて9割を超えていること、ブロードバンド回線率が73.4%であることなども報告されている。
◆HTAファイル悪用するワンクリ詐欺、巧妙な仕組み明らかに
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/09/23089.html
4月7日、トレンドマイクロは、HTAファイルを悪用したワンクリック詐欺の新たな手口について同社のブログで公表し、巧妙な手口を明らかにした。これは先々週の4月2日に報じたWindows起動時に請求画面が表示され、消すことができないタイプのもの。
◆イー・モバイル、上り速度を最大5.8Mbpsに高速化
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/04/08/23076.html
4月8日、イー・モバイルは「EMブロードバンド」の上り速度を最大5.8Mbpsに高速化すると発表。あわせて、対応端末「D23HW」を4月17日に発売する。主要ターミナル駅や空港など公共性の高いエリアを中心に提供し、当初は東名阪エリアを対象とする。
● 政府、サービス事業者、PC業界など、“青少年ネット規制法”をめぐる各界の動き
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」――いわゆる“青少年ネット規制法”が、4月1日より施行になりました。
この法律では、携帯電話・PHS事業者やISP、PCなどインターネット接続機器の製造業者に対して、利用者が18歳未満である場合にはフィルタリングサービス・ソフトを提供することを求めています。また、サービスやコンテンツを提供する側の「特定サーバー管理者」に対しても、青少年が有害情報に触れないための措置を取る努力義務を課しています。法律は、3年以内の検討・見直しが予定されています。
同法の施行を受け、各界で起きている動きを整理しておきましょう。まず、携帯電話業界では、NTTドコモが1月30日より18歳未満のユーザーにフィルタリング自動適用を開始。auも2月10日から開始しており、他キャリアもこれに続いています。そんな中で、親名義の携帯電話の46%、自分名義の63%がすでにフィルタリングを解除しているという、実効性に疑問を感じてしまう調査結果も発表になっています。
またモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)は4月2日にセミナーを開催。同法の概要について、特定サーバー管理者に課せられた努力義務などについて情報共有を行いました。
PC業界では、ASUSの「Eee PC」シリーズや、「ThinkPad」などレノボのPCにフィルタリングソフトが標準搭載になるというニュースが。アイ・オー・データのネットワーク周辺機器やインターネット対応テレビのフィルタリングのニュースもありました。
民間の取り組みとしては、「安心ネットづくり促進協議会」が3月27日に発足。「もっとグッドネット」をキャッチフレーズに、自主憲章を共有する「国民運動」の展開を目指します。4月3日には設立記念シンポジウムを開催し、MIAU代表理事の小寺信良氏や教員、保護者代表らがパネルディスカッションを行いました。
また「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」は、子供のインターネットの段階的な利用のあり方について検討を開始。9月末までの予定で、保護者のための判断基準を検討します。
政府の取り組みとしては、前半でも紹介した内閣府の「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会」が活動中。6月末を目標に、青少年のインターネット利用環境整備のための「基本計画」策定を進めています。
同法の成立はいささか性急で、民間からも大きな反発がありました。一方で先週、子供のネット利用に関する親の無関心さが現れたシマンテックの調査結果のニュースがあり、これを踏まえれば、やはり何かしらの手段を講じる必要性があると考えられます。現在は各方面で情報共有や検討が進められている状態、と見ることができるでしょう。関連業界を萎縮させることなく、よりよい形での青少年保護が進むことを期待したいものです。
2009/04/13 11:33
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「できるポケット+ クラウドコンピューティング入門」(インプレス) |
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