● 本日オープン「毎日jp」&「MSN産経ニュース」
本日10月1日、大手新聞社系列の新しいニュースサイト「毎日jp」と「MSN産経ニュース」がそろってオープンします。
事前のニュースでは、ブロガーとの関係をアピールするなどコミュニティ色を打ち出した毎日jpに対し、スクープ記事も積極的にWebに掲載していくという「ウェブファースト」のキャッチフレーズで、「ニュースの提供」という本分に注力する姿勢を見せたMSN産経ニュースと、それぞれ異なるカラーが見られました。本稿の執筆時点ではまだサイトを確認できていませんが、より多くのユーザーの支持を集めるのは、どちらとなるでしょうか。
◆「法改正後はYouTube見るだけで違法」は誤解、文化庁が見解示す
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/26/16991.html
私的録音録画小委員会の2007年第13回会合で行なわれた議論で、文化庁はYouTubeのようなストリーミングによる動画試聴はダウンロードによる著作権侵害には該当せず、と説明。またダウンロードが違法となるのは「著作権侵害を知った上でダウンロードした場合」に限るとした。キャッシュの解釈についての質問には曖昧な回答となる、という場面もあった。
◆産経新聞の新ニュースサイト「MSN産経ニュース」、紙面とWebの体制を統合
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/25/16976.html
マイクロソフトと産経新聞グループは、「MSN産経ニュース」を10月1日に開設すると発表。紙の締め切りを待たずにWebにスクープを載せる「ウェブファースト」、速さだけでなく質も追求する「ウェブパーフェクト」というコンセプトを提示した。
◆Viacom、MTVのコンテンツを「ニコニコ動画」で配信
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/28/17020.html
9月28日、ニワンゴとViacom International Japan(VIJ)は、10月上旬よりニコニコ動画にMTV Networksの映像コンテンツを提供すると発表。提供予定のコンテンツはアニメを中心とした9作品21本で、広告販売も展開する。
◆米BitTorrentが日本法人設立、P2Pファイル共有技術を国内企業に提供
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/25/16975.html
P2Pファイル共有技術を提供する米BitTorrentが日本法人を設立。すでにバッファローやプラネックスと提携し、製品も登場している。米BitTorrentのCEOは日本でP2Pにネガティブなイメージがあることを認めつつ、日本有数のP2P配信プラットフォームとなる、と目標を示した。
◆サイバー犯罪者が高度なツールを駆使する傾向に、シマンテック調査
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/09/27/17005.html
シマンテックが2007年上半期の「インターネットセキュリティ脅威レポート」を発表。サイバー犯罪者のプロ化が進み、高度なツールを利用した攻撃をしてくる、という傾向が見られるとした。
● ニコニコ動画でMTVのコンテンツ配信、一方で日本の著作権議論は
著作権法がデジタル技術の進化に対応しきれていないこともあり、動画共有サイトなどの多くは権利の保護について、権利者が満足するレベルの対策ができていません。そのため、多くのメディア企業はコンテンツのネット展開には慎重な姿勢を取っています。そうした中での、VIJとニコニコ動画のニュースは強いインパクトを持つものでした。
VIJはニコニコ動画をパートナーに選んだ理由として、著作権侵害の対策に積極的に取り組んでいることを挙げています。他方で米ViacomはGoogleとYouTubeに対して著作権侵害コンテンツによる損害額10億ドル以上の賠償訴訟を起こしており、YouTubeは我々の権利を守ってくれないけどニコニコ動画は守ってくれるぞ、とViacomは言いたいのかもしれません。
米Viacomは、MTV Networksのほかにパラマウントピクチャーズ、ドリームワークスといった映画会社なども参加に持つ一大メディアグループです。この試みが一定の成功を収めれば、国内のテレビ局やメディア企業なども、ネット配信により高い関心を示すようになるでしょう。一方、動画共有サービスなどを展開する企業は、権利を守ることにさらに注力するようになるでしょう。
デジタル時代の著作権保護に関する別方面からの動きとしては、文化庁の私的録音録画小委員会での議論が続いています。9月26日に行なわれた会合では、9月13日の会合で提出された中間整理案に対し、議論が行なわれました。そのニュースが、26日の「『法改正後はYouTube見るだけで違法』は誤解、文化庁が見解示す」です。
「YouTubeを見るだけで違法」といった強硬姿勢で動画共有サービスを規制する意図はない、という説明が行なわれましたが、それだけ中間整理案はわかりにくく、そして、現在はまだキャッシュやダウンロードソフトなど関連技術に関する認識にもあいまいな部分もある状態だと窺えます。
権利者・ユーザー・サービス提供者のそれぞれにとって、有益なルールやシステムを模索するための異なる方向からの試みとして、MTV&ニコニコ動画も私的録音録画小委員会も、今後を注目していきたいトピックです。
2007/10/01 11:38
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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