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2008/01/14~01/20


 米国時間の15~18日、サンフランシスコで「Macworld Conference & Expo」が開催になりました。大きな目玉の1つ「iTunes Storeでの映画レンタル」は残念ながら日本ではまだ利用できないものの、iPod touchのアップグレードMacBook Airの発表は、大いに盛り上がりました。また、同じく米国で米Yahoo!がOpenID採用というニュースもあり、さまざまな面でのオープン化の流れを感じます。

 一方で国内では、私的録音補償金に関する問題、出会い系事業者への届け出義務付けなど、どうも閉鎖的な印象のニュースが目立ってしまいます。とはいえ、私的録音録画小委員会では今後の議論の見通しがついた、という見方もあり、また出会い系については早急な対策が必要な深刻な問題。それぞれ前向きに捉えていくこともできます。出会い系問題について詳しくは、後半の解説をお読みください。


出会い系事業者に対して届け出を義務付けへ、警察庁の研究会が提言
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/17/18146.html
 1月17日、警視庁は「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止研究会」の報告書を公表するとともに、意見募集を開始した。2003年の出会い系サイト規制法の施行後も2006年から再び出会い系サイトに関連した児童の被害が増加している状況から、出会い系サイト事業者の届け出制などを提言している。意見の受け付けは1月31日必着。

iTunes Storeで映画レンタルサービス、Appleが米国で開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/16/18121.html
 米国時間1月15日、米Appleは「Macworld Conference & Expo」にて、映画コンテンツをレンタルできる「iTunes Movie Rentals」を発表した。新作映画は3.99ドル、それ以外は2.99ドル、ハイビジョン版は+1ドルという価格設定。米国以外のサービスは2008年中に開始としているが、日本が含まれるかは不明。

「関係者譲歩」の補償金制度プランに利用者軽視の声、私的録音録画小委
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/17/18147.html
 1月17日、文化庁・私的録音録画小委員会の第16回会合が開催された。DRMの普及に伴い補償金制度を廃止するという前回の表明に対し、当面は補償金制度での対応とする旨の資料が配付されたが、これについて利用者軽視であるという批判が起きた。中山主査は今回の会合で話し合いの素地ができあがったとし、今後の議論の見通しをつけるとともに、報告書の提出を延期とした。

イー・アクセス、アッカ・ネットワークスの現取締役不再任を求める株主提案
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/16/18134.html
 1月15日に、アッカ・ネットワークスは筆頭株主がイー・アクセスになったことを発表。翌16日、イー・アクセスはアッカ・ネットワークスに対し木村社長など3人の取締役の不再任と、新たに4人の取締役の選任を求める株主提案を行なったと発表した。アッカ側はこれの受領と、慎重に検討する旨をコメントしている。

米Sun、スウェーデンのMySQLを10億ドルで買収
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/01/17/18139.html
 1月16日、米Sum MicrosystemsはスゥエーデンのMySQL ABを約10億ドルで買収すると発表した。SunはMySQLのサポートを世界的に展開し、サポートを重視する伝統的企業の要求に応えたいという考えを表明している。


「出会い系サイト」届け出制へを提言。解決のための有効な方法は何か?

 2003年9月に、出会い系サイトを利用して18歳未満の児童に性行為や援助交際を促した者に罰を与える、出会い系サイト規制法(正式名称は「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」)が施行になりました。

 「出会い系サイト」と聞くだけで、眉をひそめる方も多いでしょう。出会い系サイトに関連しては陰惨な殺人事件や暴行事件が大きなニュースとして取り上げられているほか、児童売春・児童ポルノ法違反での検挙は、2002年の警察庁の統計では800件以上。2001年の倍以上となっていました。こうした状況に歯止めをかけるべく2003年に制定・施行されたのが、前述の出会い系サイト規制法です。

 その後、2003年~2005年の児童売春・児童ポルノ法違反での検挙数は漸減傾向となるも、2006年には再び増加し900件近い数となりました。

 こうした状況を受け、警察庁は有識者による「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止研究会」を組織。昨年10月より会合を重ね、今年の1月17日に、出会い系サイト事業者の届け出義務化、年齢確認方法の強化など児童の利用を防止する方策の強化などを盛り込んだ提言を行ないました。利用者の規制に主眼を置いた現行法に対し、事業者に様々な義務を課して管理を徹底させることを目指した内容となっています。

 これはまだ「提言」の段階であり、先だって総務省が行なったフィルタリング導入要請のように、今すぐに動きがあるものではありません。1月31日まで募集する意見も踏まえ、罰則を盛り込んだ届け出の義務化を実現するには、現行法の改正か新法の制定という形を取ることになるでしょう。

 その際には、「出会い系サイト」の定義をどうするかが、1つの大きな問題となりそうです。現行法では基本的に、正式名称にあるように「インターネット異性紹介事業」をいわゆる「出会い系サイト」としていますが、現在は多彩なコミュニティサービスがあり、どこもユーザー同士の「出会い」的要素を含んでいます。

 例えば、出会い系のように利用されることもあるSNSはどうなるのか? 表向きは直接会うことを禁じている、ゲームサイトやポータルサイトのような体裁を取るコミュニティサイトは? といったところは意見が分かれそうです。また、児童の利用を防止するための実効性の高い具体的な方法は何かということも問題となるでしょう。



2008/01/21 11:47
小林祐一郎
プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス)

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