世の中では北京オリンピックが開幕し、iPhoneの料金プラン改定にGoogleマップの「ストリートビュー」開始と、先週は賑やかなニュースが連続しました。見始めたらついつい時間を忘れがちなストリートビュー、店頭に製品を見かける機会も少しずつ増えてきたiPhoneと、お盆休みの楽しみも一気に増えました。
そんなニュースの陰になってしまいましたが、予告.inが不正コード被害、通販サイト「ナチュラム」で個人情報約65万件流出の可能性といった事件のニュースもありました。IPAも呼びかけているように、休み前のセキュリティにはご注意ください。
◆Googleマップの「ストリートビュー」機能、日本でも開始
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/05/20479.html
8月5日、グーグルは「Googleマップ」に「ストリートビュー」機能を追加した。東京、大阪、仙台、札幌、函館の各都市近郊が対応している。ストリートビューは2007年5月に米国のニューヨーク、ラスベガスなど5都市から開始。今回は日本と同時にオーストラリアで開始したという。
◆iPhone向け「パケット定額フル」改定、2段階制で月額1695円~
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/05/20490.html
8月5日、ソフトバンクモバイルは「iPhone 3G」のパケット通信料定額サービス「パケット定額フル」を月額5985円固定から1695円~5985円までの2段階制プランに改定。8月利用分から適用するとした。これにより、iPhoneの月額最低料金は2990円となる。同時にメールサービス「Eメール(i)」のメールを無期限に保存するよう改定した。
◆JASRACが動画共有サイト「TVブレイク」提訴、賠償金1億2800万円
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/06/20500.html
8月6日、JASRACは動画共有サイト「TVブレイク」を運営するパンドラTVに対し、JASRAC管理著作物の利用禁止と約1億2800万円の支払いを求める訴えを起こした。これに対し、8月1日より社名をパンドラTVから変更していたジャストオンラインは、JASRACが公表したような削除要求の拒否をしたことはないと反論した。
◆毎日新聞の「低俗」報道訴訟、9月に神戸地裁で口頭弁論
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/07/20515.html
毎日新聞社が英文サイト上のコラム「WaiWai」に低俗な記事を掲載し続けていた件について、個人が毎日新聞社を提訴。9月10日に神戸地方裁判所において第1回口頭弁論が行なわれることになった。「2ちゃんねる」の関連スレッドで、原告と見られる人物が訴状を公開している。
◆標的型メール攻撃に“予防接種”は有効か? JPCERT/CCが実験
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/08/08/20524.html
8月7日、JPCERT/CCは、特定の相手が強い関心を示す内容で作成される「標的型攻撃」について調査報告書を発表。日本では政府機関が狙われる傾向にあり、PDFやOffice文書のほか、一太郎文書の脆弱性が攻撃に使われているとした。ユーザー教育のために疑似ウイルスメールを送信した“予防接種”実験に関する報告もあり、企業のレベルに合わせた教育を予防接種により補足することで、最大の効果が発揮されるとしている。
● 日本にも対応したGoogleマップの「ストリートビュー」
Googleマップ上で、地図に対応した町並みの360度パノラマ写真が見られる「ストリートビュー」機能が、8月5日から日本に対応しました。開始時には札幌、小樽、函館、仙台、東京、埼玉、千葉、横浜、鎌倉、京都、大阪、神戸の12都市に限定した対応となっています。
「ストリートビュー」は米国では2007年5月から搭載されていた機能で、このたびは、オーストラリアと日本に新しく対応しました。類似のサービスは、「MSN Virtual Earth」や「gooラボ ウォークスルービデオ」など他社も公開していますが、Googleマップのストリートビューは圧倒的に大きな規模を持っています。
ストリートビュー作成のために、グーグルはパノラマカメラを搭載した自動車で都市を走り回っていました(筆者も一度目撃したことがあります)。幹線道路はもちろん、かなり細かい生活道路にまでカメラが入り込んでおり、約5メートルおきのポイントごとに、周囲の風景から道路沿いの建物の様子、その場に居合わせた通行人や乗り物などを、かなり鮮明な画像で公開しています。一部には人の顔が識別できたり、車のナンバーが鮮明に読めるものもあります。
こうした中、ネットではストリートビューの面白い画像を探すブームが起こり、一方では、プライバシー問題の指摘がありました。プライバシー問題に関してグーグルはユーザーの報告を受けて対処すると説明しています。報告を受けてグーグルが削除すべきと判断した場合には、そのポイントのストリートビューがまるごと削除され、真っ黒になってしまうようです。
ストリートビューの画像について、グーグルは「法律的に検討した結果、公道から撮影したものであれば、基本的には公開して構わないと考えている」と説明しています。とはいえ、仮に法的に問題がないとしても、クローラーがWebを巡回するように、何の告知もなくいつのまにか家の前を撮影していった、という点に違和感を持つ人は多いようです。
また、ストリートビューがどのような利用をされるかも未知数です。「出張先の様子が地図よりもよく分かる」「引っ越し先の街の雰囲気を確認できる」といった前向きな利用法だけでなく、「オークションの取引相手の家を確認する(あまりにも荒廃した家だったら取引相手として信用できない)」といった、単純に「それは便利ですね」と言うだけでは片付けられないような利用法も考えられます。
今まで誰もやろうとしなかったことをやってしまったストリートビューが、今後どのように国内で受け入れられるのか。または、訴訟を起こされたり行政から何か指導をされるようなことがあるのか、今後注目していきたいところです。
2008/08/11 11:18
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小林祐一郎 プログラマ、編集者、Webディレクター等を経て、ライター・編集者として活動。興味のあるテーマは「人はどうすればネットで“いい思い”ができるのか」 。ごく普通の人の生活に、IT技術やネットのコミュニケーションツールがどんな影響を与え、どう活用できるのかを研究している。近著「Web2.0超入門講座」(インプレス) |
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