地図とデザイン
「赤色立体地図」のラボサイト開設、火山や段丘などのサンプルコンテンツ公開中
2017年3月2日 06:00
連載「趣味のインターネット地図ウォッチ」からの派生シリーズとして、地図の図式や表現、地図のグラフィックデザイン/UIデザイン、デジタルによる新たな地図デザインの可能性……等々、“地図とデザイン”をテーマにした記事を不定期掲載でお届けします。
アジア航測株式会社は、「赤色立体地図」のサンプルコンテンツを収録したウェブサイト「赤色立体地図ラボ(英語名:Laboratory of Red Relief Image Map)」を開設した。
「赤色立体地図」とは、線や記号、光陰を使わずに地形の微細な凸凹を立体的に表現できる新しい地図技法。アジア航測が日本・米国・中国・台湾で特許を保有している。陰影図のように目の錯覚による凹凸反転が生じたり、一定方向が陰で覆われてしまうといったことがないため、回転・拡大・縮小しても立体感が失われず、等高線や衛星写真などとも重ね合わせやすいという特徴を持っている。
「赤色」と名は付くものの、赤色以外の彩色や空中写真などの色を使った立体描画も可能で、観光案内や登山、調査・設計、公共事業の住民説明用資料、防災、自然学習教材などさまざまな用途に利用できる。今回、提供を開始した「赤色立体地図ラボ」では、この赤色立体地図のサンプルや関連文献を無料で公開している。
サンプルコンテンツのカテゴリは、「火山」「自然災害」「段丘地形、棚田」の3種類。赤色立体地図の2D画像およびスワイプ機能付きの2D画像に加えて、3D画像やドキュメント、紹介されている一般公開ページへのリンクなどを収録している。このほかに赤色立体地図に関する文献も収録している。
このうち、スワイプ機能付きの2D画像については、左右分割された画面の片方に赤色立体地図、もう片方に衛星写真または地図が表示され、画面中の縦のラインを左右に動かすことで表示割合をスムーズに変更できる。左右のどちらかを拡大・縮小させると、それに連動してもう片方の縮尺も変わるので便利だ。
3Dマップでは、レイヤー切り替えやベースマップ切り替え、日光の状態や影表示の有無などを切り替えられる。3Dグラフィックのパフォーマンスも設定可能で、さまざまな角度からマップを眺められる。
「火山」では「奥日光、男体山の溶岩流」「伊豆諸島三宅島」「会津磐梯山」「雲仙普賢岳、長崎件の溶岩堤防」など日本各地の火山のほか、「米国ワシントン州セント・へレンズ火山」なども収録している。
「自然災害」では「宮城県石巻(津波被災地域)」「熊本県南阿蘇の表層崩落」などの被災地の地図、「段丘地形、棚田」では「関東地方と海底地形」「群馬県沼田市の河岸段丘」「武蔵野台地と多摩・三浦丘陵に挟まれた多摩川」など各地の段丘や棚田の地図を収録している。
コンテンツによって「2D」「スワイプ機能付き2D」「3D」の種類は異なるが、中でもスワイプ機能付き2D画像は、重なり合った2つの地図を簡単に比較できるので便利だ。細かいところまで拡大していろいろと見比べると、地図や衛星写真では気付かなかった微細な起伏が分かるので楽しい。
赤色立体地図は現在、好きなエリアを指定できる「Webオーダーサービス」や、個人向け商品として、国土地理院の地形図を重ねた「スカイビュースケープ『山っぷ』」などが提供されている。赤色立体地図がどのようなものなのかを確認できるこのサイト、上記のサービスの利用を検討している人にはおすすめだ。