中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2019/10/17~10/24]

東京モーターショー:最新の自動運転技術と情報システム基盤の未来 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. 東京モーターショー:最新の自動運転技術と情報システム基盤の未来

 10月24日(~11月4日まで)、東京ビッグサイトで開幕した「第46回東京モーターショー2019」に関する記事はIT系の各メディアでも多く掲載されている。いうまでもなく、IT業界側からの関心はAIやIoT、5Gを使った自動運転や車内向け情報システムということになるだろう。

 とりわけ今後の大きな話題は「レベル4」の自動運転ということになるだろう(ITmedia)。レベル4とは、「高度自動運転」といわれ、特定の状況下においてのみ、加速、操舵、制動といった操作をシステムが行い、人間が関与しなくてもよいとされている技術水準である。レベル3の技術については各社ともに2020年に実用化のめどがついてきたともいわれ、さらなる高度化の一端が具体的に見えるようになってきた。

 また、5Gのワイヤレスネットワークの特性を生かして、コミュニケーションのみならず、車内への動画などのコンテンツ配信、さらには車そのものだけでなく、車の周辺の状況に関する情報を「動くセンサー」として収集したり、送信したりして、そこから新たなサービスを生み出すことも想定されているようだ(ケータイWatch)。

 次週以降もモーターショーからの話題は増加するものと思われる。

ニュースソース

  • [特集:5Gでつながる未来] 5Gでクルマはどう変わる? 通信×自動車の最新事例をドコモが紹介[ケータイWatch
  • [特集:5Gでつながる未来] 産業と通信の共創で日本を元気に、ソフトバンクの5G構想[ケータイWatch
  • 「AIがあれば、人とクルマの心は通う」 豊田章男社長が熱弁[ITmedia
  • 「東京モーターショー2019」が開幕--“近未来の日本”体験や注目のコンセプトカーも[CNET Japan
  • 「東京モーターショー2019」開幕直前 クルマの未来を占う、国内メーカーの出展内容まとめ[ITmedia
  • トヨタ、AIとレベル4自動運転を搭載したコンセプトカーを公開 2020年には公道で体験イベントも[ITmedia
  • トヨタ「クルマの充電ステーションが少ないなら、ステーションを走らせればいいじゃない」 [GIZMODO
  • 未来のクルマとモビリティ。東京モーターショー2019開幕[Impress Watch
  • 高精度地図がなくても自動運転 屋内駐車場で無人自動バレー駐車も 三菱電機が新型コンセプトカー[ITmedia

2. フェイスブック「リブラ」:米国議会公聴会で述べたこと

 かねて報じられてきたように、フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が米国議会公聴会に出席をし、同社の仮想通貨「リブラ」をはじめ、同社の起こした情報漏えい、広告ビジネスなどに関する質疑に応じた。

 とりわけリブラに対しては、各国の金融当局からは懸念や警戒をする声が高まるなか、(先端技術に明るくない)議員がどこまで突っ込んだ質問ができ、それにどう答えるのかということが焦点となった。

 各報道を総合すると、「規制当局が承認するまでリブラは立ち上げない」(ITmedia)、「『リスクのあるプロジェクト』と認めながらも、電子決済コストの引き下げや、より多くの人が世界的な金融システムにアクセスできるようになるなどの恩恵」があるという利点についても強調をしたようだ。

 それとは別に、リブラの責任者であるフェイスブック社の子会社カリブラ社CEOであるデビット・マーカス氏は「(複数の法定通貨をミックスする)通貨バスケットの代わりに、ドルステーブルコイン、ユーロステーブルコイン、ポンドステーブルコインをそれぞれ出してもいい。法定通貨をデジタルにしたステーブルコインを多数持つことも選択肢の1つ」(仮想通貨Watch)だと述べたことも伝えられている。これまでは複数の法定通貨を組み込むとしてきた方向性と異なるアイデアである。さらに「5年以内の未来に、我々が良い解決策を見つけられなければ、基本的に中国が『彼らがコントロールするブロックチェーン上で稼働するデジタル人民元によって』世界の大部分を再配線する」(coindesk)とも述べ、世界における金融覇権をめぐる政策問題であるということを明確にしている。

ニュースソース

  • Facebook CEO、米議会公聴会に出席 -- 仮想通貨「Libra」などで厳しい追及[CNET Japan
  • FacebookのザッカーバーグCEO、公聴会で「規制当局が承認するまでLibraは立ち上げない」と約束[ITmedia
  • リブラ「リスクある計画」、機能するか不明 FBトップが議会証言[ロイター
  • デジタルドルを「積極的に」議論:米連邦準備銀行首脳[coindesk
  • Facebookの仮想通貨リブラ、通貨バスケットを放棄も ~プロジェクト責任者、「複数のステーブルコイン」案を示唆[仮想通貨Watch
  • Facebookの仮想通貨リブラがステーブルコインに関するG7レポートに回答 ~リブラの採用は数十億人の金融サービスのコストを削減する[仮想通貨Watch
  • リブラを拒絶すれば、中国のデジタル人民元が勝利する:リブラ責任者[coindesk

3. G20財務大臣・中央銀行総裁会議:「懸念が対応されるまで、ステーブルコインは発行されてはならない」

 20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁は米国ワシントンでの会議で、フェイスブックが計画している仮想通貨「リブラ」などのステーブルコインに対し、「厳格な規制」を導入することで合意したことが発表された。ステーブルコインとは法定通貨を裏付け資産としたデジタル通貨=仮想通貨である。日銀の黒田東彦総裁は「ステーブルコインが持つさまざまなリスクについて政策当局者から懸念が示された。こうした懸念が対応されるまで、ステーブルコインは発行されてはならない。こうしたことがG20で合意された」と述べたと伝えられている(ロイター)。「ステーブルコインはグローバル決済を効率化し、その発展に貢献する可能性がある」(仮想通貨Watch)としつつも、マネーロンダリング、サイバーセキュリティなどのリスクへの警戒感も国際的に共有されたと言えるだろう。

 その数日後にフェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が米国議会公聴会に出席し、「規制当局が承認するまでリブラは立ち上げない」と述べたことはこうした合意の発表も踏まえているのではないかと思われる。

ニュースソース

  • ステーブルコイン等におけるマネー・ローンダリングのリスクに関するFATF声明の公表について:金融庁[金融庁
  • デジタル通貨発行を検討していることはない=黒田日銀総裁[ロイター
  • 金融安定理事会によるG20財務大臣中央銀行総裁会合への報告書等の公表について:金融庁[金融庁
  • G20財務大臣・中央銀行総裁会議におけるプレスリリースの公表について:金融庁[金融庁
  • G7財務大臣・中央銀行総裁会議における議長声明の公表について:金融庁[金融庁
  • G20財務相、デジタル通貨の厳格規制で合意 深刻なリスク懸念[ロイター
  • G7、中銀のデジタル通貨発行を肯定。CBDC計画の検討を推奨 ~Facebookのリブラなど非金融のステーブルコインはマネロン等リスク拡大を指摘[仮想通貨Watch

4. グーグルが量子コンピューターで「量子超越性」を実証――ビットコインが大幅下落

 グーグルは量子コンピューターの計算能力がスーパーコンピューターなどの従来型のコンピューターの計算能力を上回ることを示す「量子超越性」を実証したと発表した。論文は英科学誌「Nature」(電子版)に掲載された(ITmedia)。これまで、理論的には可能であるとされてきたことが、特定の問題に対してのみとはいえ、実装によって量子超越性が実証されたとされることは大きな意味がある。

 それを受け、ビットコインの相場が大幅な下落をした。仮想通貨は暗号技術の上に成立していることから、仮に論文のような量子コンピューターが実用化されるとなると、その技術的価値が危うくなるとみられたためだろう。もちろん、実用化にあたってはまだまだ課題も多いので、直ちに何らかの技術的な影響を与えるわけではないにしろ、注目しておくべきニュースということができるだろう(日本経済新聞)。

ニュースソース

  • Google、量子コンピュータで「量子超越性」を実証 特定の計算で“スパコン超え”[ITmedia
  • ビットコイン、7500ドル割れ 量子コンピューター警戒[日本経済新聞

5.イベントカレンダー:「Inter BEE(2019年国際放送機器展)」ほか

 一般社団法人電子情報技術産業協会が主催する映像コンテンツをはじめとするブロードメディアとエンターテインメントの展示会「Inter BEE(2019年国際放送機器展)」が11月13日~15日、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催される。この展示会の趣旨は「デジタルトランスフォーメーション時代におけるメディア産業の新たなユーザーエクスペリエンスを提示する」ことだとしている。「コンテンツ」を中核に位置付け、コンテンツを「つくる(制作)」「おくる(伝送)」「うける(体験)」の技術要素を網羅した「メディア総合イベント」であり、この分野に取り組むかたは必見といえよう。

 また、11月14日~15日には「NTT R&Dフォーラム2019」がNTT武蔵野研究開発センタ(東京都武蔵野市)で開催される。ただし、このイベントはNTTグループ会社社員の招待制となっているので要注意。内容は毎年、各メディアでは報じられているので、参加できない方もその内容はチェックする価値があるだろう。

ニュースソース

中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。