中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2021/1/28~2/4]
話題沸騰!「Clubhouse」が日本上陸 ほか
2021年2月5日 15:05
1. 話題沸騰!「Clubhouse」が日本上陸
音声SNSの「Clubhouse(クラブハウス)」が話題沸騰中だ(ITmedia)。久々の新コンセプトのコミュニケーションツールの登場だ。クラブハウスを一言でいうなら、音声によるソーシャルネットワークシステムである。話題ごとに「ルーム」を作ることができ、誰もが自由にそこに集まって発言してもいいし、聞いているだけでもよい。ユーザーとユーザーはこれまでのSNSのようにフォローをするというものだ。米国では2020年の春からベータ版として公開されているが、ここにきて日本にもサービスが展開され始めた。
この新手のSNSがアーリーアダプターたちを中心に注目を集めていて、メディアでも大きく取り上げられている。ただし、いまはまだ、すでにアカウントのある人から招待をされないとサインアップできないということもあり、誰でもがいきなり使えるというフェーズではない。今後、システムの改善などを重ねながらオープンすることになるのだろう。
すでにLINEではクラブハウスの認知度についてのユーザー調査を行っている(ケータイWatch)。調査するには少々、気も早いようにも感じるが、それでも認知度はすでに2割弱に達し、10代~20代が高く、10代で26%、20代で34%だったという。さらに、GMOペパボでは決算説明会がクラブハウスで行われたようだ(ITmedia)。そして、この「招待枠」がネットで売買されているという事件までも報じられている(INTERNET Watch)。
クラブハウスについての分析は各メディアが論じ始めているが(CNET Japan、東洋経済オンライン)、コロナ禍にあって人と人とのつながりが希薄になりがちなこともあり、無意識のうちにストレスとなり、それを解消するかのように、急速な広がりを見せていると思われる。ただ、音声でやりとりをするということに抵抗のある人も一定数はいるとみられ、今後、長期にわたってツールとして定着をするかどうかは、ユーザーがこの方法にどれくらい短期間で慣れることができるかというようなことによるのだろう。
ニュースソース
- 音声SNS「Clubhouse」の招待枠、ネットで売買の対象に。メルカリは規約違反で削除へ[INTERNET Watch]
- Clubhouseの認知度は全体の2割ほど、LINEが調査[ケータイWatch]
- (たぶん)日本初、Clubhouseで決算説明会 東証1部・GMOペパボが開催 「社長がきのう突然……」[ITmedia]
- クラブハウス、日本に突如上陸した謎多き経路[東洋経済オンライン]
- 文字ではなく“声“で人間味のある交流を Clubhouseが生まれたワケ[ITmedia]
- 話題のアプリ「Clubhouse」って何?--音声SNSの新しい可能性と懸念[CNET Japan]
2. エンジニアの年収診断サービスとソースコード流出
ソフトウェアエンジニアがすでに書いたソースコードをアップロードすると、それをもとに能力や年収を診断するというサービスがある。こうした方法は確かに合理的な方法ではあると思うが、なんでもかんでもそこに上げてはいけないことは分かりきっているはずだ。ましてや受託で開発したソースコードとなればなおさらのことだ。ところが、NEC(ITmedia)、三井住友銀行(ITmedia)、埼玉県(ITmedia)などに納品したソフトウェアのソースコードを年収査定のサービスにアップロードしたことが事件となっている。
今回の事件はGitHub経由で流出したとされていることから、GitHubなどのクラウドが危険視されていることを踏まえ、一般社団法人コンピュータソフトウェア協会では「Githubをはじめ、外部のクラウドサービス利用の萎縮につながらないよう、各社の節度ある情報セキュリティ設計を要請」するという声明を出した(INTERNET Watch)。
そして、そもそもこうした事件は防ぐことができるのかという新たな課題も提示されたことになる。これを単なるレアケースとして捉えるのではなく、情報漏えいに対するリテラシー教育を十分に行う必要性、さらには業務上の常識をいかに教育するかということへとつなげていく必要がある(ITmedia)。
ニュースソース
- NECもソースコード流出を確認、GitHubで SMBC、NTTデータに続き[ITmedia]
- 埼玉県庁のソースコードも流出 GitHub経由での漏えい相次ぐ[ITmedia]
- 三井住友銀行などのソースコードが流出 “年収診断”したさにGitHubに公開か[ITmedia]
- 「利用萎縮につながらないよう」GitHubに関してコンピュータソフトウェア協会が声明[INTERNET Watch]
- GitHubへのソースコード流出問題、防ぎようはあるのか 専門家に聞く[ITmedia]
3. Android版「COCOA」に放置されてきた不具合
厚生労働省は、接触確認アプリ「COCOA」のAndroid版で、陽性登録者と接触しても検知・通知できないなどの不具合を確認したと発表した(ケータイWatch)。「アプリが正しく機能していないのではとする報道を受けて行った実機を用いた検証の結果、不具合が判明した」というが、ソフトウェアのバージョンアップは昨年9月で、一部では不具合の指摘はかねてよりGitHubですでにあったともされていて、もしそうだとするなら、長らく放置されてきたことになる。感染拡大を防止するうえでの一助になればと、このアプリをインストールしてきた人も多かったと思われるだけに、対応があまりにもずさんといわざるをえない。
なお、これまでのところCOCOAの陽性登録件数が1万件を超え、ダウンロード件数は2460万件となっている(PC Watch)。
4. インターネットの発展とともに25号目――「インターネット白書2021」発刊
株式会社インプレスR&Dは「インターネット白書2021」(編者:インターネット白書編集委員会)を発刊した(INTERNET Watch)。この「インターネット白書」は、インターネットの動向をビジネス・技術・社会など多角的な視点で解説する年鑑で、今回で25号目の発行となる。まさに、インターネットの発達とともにその動向を記録してきた出版物シリーズだ。
今年の10大キーワードは「減災コミュニティ」「非接触テクノロジー」「テレワーク」「オンライン教育」「オンラインエンターテインメント」「改正著作権法」「インフォデミック」「マーケティングとプライバシー」「デジタル庁構想」「サスティナブルシティ」と、コロナ禍の1年を象徴し、アフターコロナに向けたデジタルトランスフォーメーションに向けた構成となっている。小売希望価格(税別)は、電子書籍版が2800円、プリントオンデマンドによる印刷書籍版が3200円。
ニュースソース
- 「インターネット白書2021」発刊、「ポストコロナのDX戦略」副題に 10大キーワードは「減災コミュニティ」「非接触テクノロジー」「改正著作権法」ほか[INTERNET Watch]
5. Apple Watchを使った臨床研究が始まる――慶應義塾大学病院
Apple Watchに心電図を取れる機能が付加されたことは既報のとおりだ。そこで、慶應義塾大学病院ではApple Watchを使った臨床研究「Apple Watch Heart Study」を開始したと発表した(CNET Japan)。発表によると、「心電図アプリケーションで測定する心電図や脈拍などのさまざまなヘルスケアデータと、独自の研究用iPhoneアプリで収集する睡眠、飲酒、ストレス等に関する調査データを解析することにより、睡眠中・安静時の脈拍と生活習慣との関連を分析する」としている。
今後、ウェラブルデバイスはさらにさまざまな身体情報を取得するようになるとみられ、医学的な知見により、デジタルヘルスケア分野はさらに活発になるとみられる。
ニュースソース
- 慶應病院、全国のApple Watchユーザーを対象に臨床研究アプリ--家庭と医療の連携に向け[CNET Japan]