中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/2/4~2/11]

デジタル改革関連法案を閣議決定 ほか

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1. デジタル改革関連法案を閣議決定

 2月9日、政府は今年9月のデジタル庁(仮称)創設に向けたデジタル改革関連法案を閣議決定したと報じられている(日経XTECH)。今後、国会に提出され、成立を目指すことになる。閣議決定した法案は「デジタル社会形成基本法案」「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関連法律の整備に関する法律案」「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案」「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案」「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案」の6つである。

 そして、このデジタル改革関連法案は慶應義塾大学の村井純教授ら9人の有識者による政府の「デジタル改革関連法案ワーキンググループ」が昨年11月に示した「IT基本法への提言」および「デジタル庁設置への提言」が反映されているとしている。その背景について、日経クロステックが記事としてまとめている(日経XTECH)。今後のデジタル社会の骨子ともなる考え方については、一読の価値がある記事と思う。

ニュースソース

  • デジタル庁関連法案を決定、平井大臣「COCOAのようなアプリ運用もデジ庁で」[日経XTECH
  • デジタル改革関連法案が閣議決定へ、法案WGの村井純座長が語る舞台裏と注目人事[日経XTECH

2. Clubhouseにイーロン・マスク氏も降臨。一方、中国では利用規制か?

 世界的に著名な起業家イーロン・マスク氏はClubhouseの「The Good Time Show」という番組に登場、「火星やミームに関するさまざまなことや、多惑星種になることについて語った」という(CNET Japan)。ただし、Clubhouseのルームに参加できる最大人数は5000人という制限があり、多くの人が「殺到」し、参加できなかった人も多数いた模様だ。

 一方、中国ではClubhouseの利用について、当局の規制が入ったのではないかという報道がされている(ITmedia)。記事によれば「現地時間2月8日夜から『接続できなくなった』と報告」されているという。

 日本では、ユーザーローカル社がClubhouseのルームの人気ランキングと配信スケジュールをまとめたサイトを公開した(ケータイWatch)。いま、Clubhouseでどんな話題が注目を集めているかなど、一目でトレンドを把握できるサービスといえる。

ニュースソース

  • Clubhouse、中国で利用できなくなる 当局が規制か[ITmedia
  • イーロン・マスク氏、話題の「Clubhouse」に登場--火星、脳インプラントなどを語る[CNET Japan
  • Clubhouseの配信予定と順位がわかるサイト、ユーザーローカルが提供開始[ケータイWatch

3. 認知度が急拡大する「Clubhouse」

 音声SNSとして注目を集める「Clubhouse(クラブハウス)」に関する調査結果を、LINEが発表している(ケータイWatch)。先週に続き、認知率を調べているが、今週は全体の52%(前週比2.7倍)が認知しているという結果になっている。利用者は10代から20代でより増加しているようだ。友人関係だけでなく、タレントら有名人が使い始めていたり、テレビ番組で取り上げられたりしていることなど、メディア露出も多いことも急速な伸張をした理由と思われる。

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4. アマゾン日本事業の売上高は約2.2兆円

 2020年通期(2020年1~12月)のアマゾン日本事業の売上高は円ベースで2兆1893億2700万円(2020年の平均為替レートを1ドル=107円で換算)だと報じられている(ネットショップ担当者フォーラム)。また、円ベースでの伸び率は対前期比25.5%増だとしている。なお、これらの数字は米アマゾンドットコム社の年次報告書をもとにした分析だとしている。そして、Amazon.co.jpの流通総額は「少なくとも3兆2000億円」を超えているとしている。

 これ以外にも、記事ではいくつかのグラフを使って分析していて、アマゾン日本事業の規模感を把握しやすい。

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5. インターネットトラフィックの動向分析

 携帯大手3社やNTT東日本・西日本、NTTコミュニケーションズなど通信関連企業・団体約40社が参加する「インターネットトラヒック流通効率化検討協議会」は、携帯電話回線や光ファイバーなどの固定回線の通信量を集計した結果を公表した(ITmedia)。

 それによると「新型コロナウイルスの感染再拡大を受けた2度目の緊急事態宣言発出後となる1月中旬の平日昼間のインターネットのデータ通信量は、感染拡大前の2020年2月下旬に比べて3~5割程度増加」したという。データ通信量は動画視聴の利用拡大により、ここ数年は年率2割~4割増で推移していて、この数字はその増加を含む数字でもあり、ここのところの緊急事態宣言の影響は限定的であると分析をしている。そのうえで、「在宅勤務や外出自粛で日中のデータ量が増えてもネットがつながりにくくなる状況はほぼ出ていない」としている。

 かつてよりはテレワークが増えたとはいえ、通勤する人もあまり減っていないということ、オンライン教育が活発には利用されていないということもあるかもしれないが、コロナとの戦いはここしばらくは続くとみられることや、さまざまな分野におけるデジタル技術の積極活用が進むこと考えると、中長期のトラフィックの変動動向について、事業者だけでなくユーザーも関心を持って知っておきたいところだ。

ニュースソース

  • ネット通信量、平日昼間3~5割増 緊急事態宣言で、前回と違いも[ITmedia
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。