中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/5/27~6/3]

マイクロソフトが「次世代のWindows」をいよいよ発表へ――米国時間6月24日 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. バイタルデータから脳・血管疾患の予兆を検知

 オムロンヘルスケアと京都大学が共同研究「健康医療AI講座」を新たに設置すると報じられている(CNET Japan)。研究テーマの1つめは高血圧患者の血圧値改善のための新たな血圧管理方法の創出、2つめは突然発症するため難しいといわれていた、脳・心血管疾患の発症における早期発見だとしている。「日常生活におけるバイタルデータ(体重、体組成、活動量、ナトカリ比など)と、生活習慣データ(喫煙、飲酒など)から個人に最適化された血圧管理方法を導き出すAI技術」を新たに開発するとしている。これにより「より早く脳・心血管疾患の発症の予兆を検知し、治療につなげる」ことが期待される。医療と最新の情報処理技術の組み合わせによるイノベーションは日進月歩で、これまでは画像診断でのAIの利用が多く発表されてきたが、今回はバイタルデータから脳・血管疾患の予兆を検知しようということでさらにその応用範囲が広がったかたちだ。

ニュースソース

  • オムロン ヘルスケア、京都大学と共同研究--脳・心血管疾患の発症予兆検知に向け[CNET Japan

2.「QUIC」プロトコルの標準化プロセスが完了、IETFの「RFC9000」に

 現在のHTTPを高速化することを目的として開発された通信プロトコル「QUIC」が、IETFで「RFC9000」として策定を完了した(Publickey)。QUICは次世代のHTTPであるHTTP/3のトランスポートプロトコルとして採用されるが、これ以外のプロトコルのトランスポートプロトコルとしも使われることが期待されている。

 このQUICKはUDPを基にして、TCPのような信頼性を保ちつつ、より高速な通信を実現する。技術的な詳細はニュースソースとして紹介したPublickeyの記事が詳しい。また、この記事によれば「すでにGoogle Chromeのユーザーのうち、25%以上でHTTP/3が自動的に使われるようになっている」とし、これを契機として、さらにQUICとHTTP/3によるウェブの進化は進むだろうとしている。

ニュースソース

  • HTTP/3の基盤となる「QUICプロトコル」の標準化プロセスが完了、IETFの「RFC 9000」として[Publickey

3. 2020年にApp Storeから生み出された金額は約70兆4800億円

 2020年にアップル社のApp Storeを通じた請求や販売により生み出された金額は6430億ドル(約70兆4800億円)に達し、対前年比24%増になったと報じられている。また、アップル社によれば、2008年にサービスを開始したApp Storeでは180万本のアプリがあり、175の国と地域から1週間あたり5億人以上がアクセスをしているという。数字で見ると、巨大な市場を創出されたことをあらためて実感する。こうしたことを背景に、現在、米国や欧州では反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで厳しい目が向けられているところでもある。日本では大きな問題として扱われていないが、今後の動向は注視すべき事案だろう。

ニュースソース

  • アップルの「App Store」、2020年の経済効果は約70兆円に[CNET Japan

4. マイクロソフトが「次世代のWindows」をいよいよ発表へ――米国時間6月24日

 マイクロソフト社は新しいWindowsを6月24日にオンラインイベントで発表すると表明した。報道によれば、新しいWindowsでは、「スタート」メニューや「アクションセンター」「ファイルエクスプローラー」「タスクバー」などのデザイン変更と新機能の追加の可能性を指摘している。

ニュースソース

  • マイクロソフト、「次世代のWindows」を6月24日に発表へ[CNET Japan

5. 通信料金、そして通信とサービスの品質――MM総研が調査

 携帯電話の料金は新たなプランが追加され、従来よりも安価になったが、一方で通信品質やサービスはどうだろか――。そうした観点でのMM総研が調査した「携帯電話サービスの品質に関する国際比較についての調査」について報じられている(ITmedia)。調査結果を報じる記事によれば、日本の携帯電話の通信品質は「全体として高く評価されている」とされている。ただし、ある調査の観点で見ると「東京のLTEの接続率と送信成功率は、サンフランシスコとパリと並んで100%だったが、通信速度と遅延時間が平均値を下回っている」との指摘もあるとしている。

 通信品質についての満足度に関しては定性的なものであり、求める水準の意識が異なる多国間での比較に意味があるのかどうかは議論がありそうだが、こうした調査結果はあまり目にしないことから、相対的な日本の通信環境についてざっくりと把握する上では参考になる。

ニュースソース

  • 日本の携帯料金は下がったけど、通信とサービスの品質は? MM総研が調査[ITmedia
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。