中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/5/20~5/27]

大規模な情報流出が続く ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. 大規模な情報流出が続く

 この1週間に大規模な情報流出が相次いで報じられた。まず、メルカリから口座関連情報が1.7万件(ケータイWatch)、そして婚活アプリ「Omiai」からは本人確認書類171万件(ケータイWatch)、富士通の「ProjectWEB」というプロジェクト情報共有ツールからは国交省や外務省などの情報が流出した(朝日新聞デジタル)。

 もちろん、犯行に及んだ人物や流出を許してしまった原因は異なると思われるが、短期間にこれだけの大規模な事件が続くということは不安を覚える。日本はセキュリティが甘いとみられて、攻撃の標的にされているのか。今後、オリンピックの開催などを控えて、さらに注目が集まることなどから、さまざまなサイバー攻撃が行われる可能性を指摘する声もある。

 いまや、危険性が高いのでデジタル化しないという選択肢はない。今後のデジタル基盤を安心・安全なものとして成長させるためにも、より慎重な対応が各所に求められる。

ニュースソース

  • メルカリ、2013年8月~2014年1月の口座関連情報1.7万件が流出[ケータイWatch
  • 婚活アプリ「Omiai」、不正アクセスで本人確認書類171万件のデータ流出[ケータイWatch
  • 富士通ツール経由で政府機関の情報流出 成田空港も被害[朝日新聞デジタル

2. アップルがアクセシビリティを改善

 アップルが全OSでアクセシビリティの改善をすると発表した。

 例えば、iPadOSでは他社製の視線追跡デバイスに対応して、目だけでiPadを操作することできるようになること、視覚障がいがあるユーザーには、画面読み上げがよりスマートに使えるようになること、上肢に障がいのあるユーザーには、Apple Watchのモーションセンサー、光学式心拍センサーの機械学習を利用して手のジェスチャーでディスプレイ上のカーソルが操作できることなどを挙げている。また、アメリカ、イギリス、フランスでは、それぞれの国で使われる手話を画面上で使用して、AppleCareや直営店でのカスタマーサポートとコミュニケーションが行える。

 スマートデバイスがこれだけ普及し、基本的な生活基盤となっているなかで、これまでの多くの要素技術の積み上げなどから、ついにこうした機能がこれまでよりも容易に実現できる段階に入ったということか。これからいろいろなフィードバックもありさらに磨かれていくと思われるが、デジタル化社会に向けた大きな一歩だ。

ニュースソース

  • アップル、全OSでアクセシビリティ改善を予告――視線追跡でiPad操作など[ケータイWatch

3. メジャーブランドを名乗ったフィッシング詐欺に注意

 これまでもたびたび報じられてきているが、メジャーブランドを名乗ったフィッシング詐欺にはますます注意が必要だ。

 この1週間で報じられただけで、アメリカン・エキスプレス(フィッシング対策協議会)、NTTドコモ(ケータイWatch)、ファミリーマート(INTERNET Watch)、ヨドバシカメラ(INTERNET Watch)など、日本中の多くの人が知り、また、アカウントを持っているブランドの名称を使ったフィッシング詐欺メールが確認されている。

 自分では十分に留意をしていると自認をしている人でさえ、ふとした習慣にだまされる可能性もある。決め手となる対策はいまのところないが、一層の注意を払う必要があることは間違いなさそう。

ニュースソース

  • アメリカン・エキスプレス・カードをかたるフィッシング[フィッシング対策協議会
  • ドコモやNTTをかたるフィッシング、偽アプリインストールで意図せぬ決済[ケータイWatch
  • ファミマTカードを装い偽サイトに誘導、件名「ファミマTカード重要なお知ら」のフィッシングメールに注意 個人情報やカード情報などを詐取[INTERNET Watch
  • ヨドバシカメラの偽サイトに誘導、件名「アカウント再設定ページへの連絡」などのフィッシングメールに注意 誘導先サイトのドメインは「yobodachi」「yandabaoshi」「yasbendoshi」など[INTERNET Watch

4. JASRACがブロックチェーンを使った楽曲管理の実証実験を開始

 日本音楽著作権協会(JASRAC)が楽曲管理におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するための実証実験を実施したことを発表した。

 実験にはクリエイター31名が参加し、クリエイティブの環境・活動や著作権管理に関する課題を整理したうえで、それを解消することを目指したサービスのプロトタイプとして「ブロックチェーン技術を用いた存在証明機能付きの楽曲情報管理ツール」を構築した。記録された情報をもとにして、「音楽関係のさまざまなビジネスパートナーとのデータ連携、各種申請・登録や契約を定型化・簡素化して電子化」したという。これをさらに進め、2022年には実用化を目指すとしている。現在の煩雑な手続きの解消と適正な使用料分配が実現される方法として、今後の動向に注目していきたいプロジェクトだ。

ニュースソース

  • 音楽クリエイターの楽曲管理をブロックチェーンで--JASRACが実証実験、ソニーの技術活用[CNET Japan

5. イベントカレンダー:「ワイヤレスジャパン2021」

 6月2日から4日まで、東京ビッグサイトに置いて「ワイヤレスジャパン2021」が開催される。5G、ローカル5G、LPWA、Beyond 5G(6G)などの話題があり、興味深いイベントである。

 なお、東京都には新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言が発出されており、6月20日まで延長される見込みであることから、最新の開催情報は同イベントの公式サイトで確認してほしい。

ニュースソース

  • ビジネス5Gの最新動向が分かる ワイヤレスジャパン 2021が6月2日から開催[ITmedia
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。