中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2021/7/8~7/15]

グーグルが送金アプリ「pring」を買収 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. グーグルが送金アプリ「pring」を買収

 グーグルが送金アプリ「pring(プリン)」を提供している株式会社pringの株式取得を行うことを発表した(INTERNET Watch)。pringは2017年5月に設立され、主な株主は株式会社メタップス、株式会社ミロク情報サービス、日本瓦斯株式会社らである。pringは個人間での送金、QRコード決済、銀行口座への入出金などの機能がある。

 pringの強みについてはBISINESS INSIDERの記事(BUSINESS INSIDER)が詳しい。それによれば、加盟店を開拓する必要がある店舗での決済ではなく、送金に特徴があるとしている。個人間の送金はもとより、法人における報酬の支払いなどでの利用がされている。今回の買収は他のスマホ決済アプリと競合するところではなく、送金という部分に着目をしているという分析がある。今後、両社がどのようなサービスとして成長をさせていくことになるのかに注目が集まる。

ニュースソース

  • Google、送金アプリ「pring」を買収。大株主メタップスが全株譲渡を発表[INTERNET Watch
  • グーグルが買収した日本の決済ベンチャー「pring」とは何者か……その狙い[BUSINESS INSIDER

2. マイクロソフトが「Windows 365」を発表――8月2日から提供予定

 マイクロソフトはSaaS(Software as a Service)型仮想デスクトップ「Windows 365」を発表した(PC Watch)。具体的な料金は今後発表されるが、月額固定料金で使えるとされている。

 Windows 365は、Windowsがクラウド上で稼働していて、ユーザーは端末のウェブブラウザーなどを使ってアクセスする。端末側はWindowsではなくても、Android、iOS、macOS、Windowsで利用できる。利用するには「職場または学校アカウント」(AADアカウント)が必要になることから、実質的には企業や学校などでの利用が想定されているようだ。

 Windowsを利用するためのライセンスやアーキテクチャーの選択肢が増えたともいえるが、それぞれの特性に応じた選択の判断は複雑になったかもしれない。今後、最適なプラットフォームの選択にあたって、利用用途や運用などについてレポートも数多くポストされることになるだろう。時機を見て、いずれそれらのまとめをしてみたい。

ニュースソース

  • Microsoft、月額制クラウドPC「Windows 365」を8月提供開始。Windows 11にも対応[PC Watch

3. さらに進化するWeb会議システム

 新型コロナウイルス感染症の第5波ともいえる拡大時期を迎え、あらためてテレワークへの取り組みを考える必要がありそうだ。そのようななか、Web会議のサービスを提供する企業各社は機能の向上を図っている。

 まず、Zoomでは「イマーシブビュー(没入型ビュー)モード」でのローカル録画機能、透かし機能の拡張、ミーティングのアンケート機能、待合室でのビデオ再生機能、参加者のビデオやプロフィール画像をホストのみが閲覧できるようにするフォーカスモードなども追加される(PC Watch)。

 また、マイクロソフトのTeamsでは、セールスフォースのデータにアクセスできるようになる。「Teamsのワークスペース内に取引先のデータやレコードを取り込み、より良いコラボレーションにつなげることができる。営業担当者とサービス担当者は重要なデータを見つけ出すためにウィンドウを切り替える必要がなくなる」としている(ZDnet Japan)。

 ハードウェアも進化している。アイ・オー・データ機器は「AI顔追尾機能」を搭載したWebカメラ「TC-MSC200」を発表した(INTERNET Watch)。文字通り、「AIにより人の顔を認識し、映し出す方向と範囲を自動的に調整してくれる」というカメラだ。

ニュースソース

  • Zoom、透かし機能強化や没入型ビュー録画対応などを実施[PC Watch
  • マイクロソフト「Teams」でセールスフォースのデータにアクセス可能に[ZDnet Japan
  • AIで顔を追尾する会議用ウェブカメラ「TC-MSC200」、アイ・オー・データが発売[INTERNET Watch

4. 携帯通信事業者の新料金プランにより、年間約4300億円の国民負担を軽減

 今春から、携帯通信事業者が安価な料金プランを開始したことを受け、総務省は「試算で年間約4300億円の国民負担を軽減した」と発表をした(ITmedia)。総務省はこの6月に4908人を対象に実施したアンケートを実施した。安価な新料金プランに「すでに乗り換えている」(9.5%)、「今後乗り換えたいと考えている」(12.8%)という回答が得られたとし、この結果と新料金プランの契約数に加え、旧料金プランの平均月額料金と新料金プランの平均月額料金との減り幅を用いて試算した結果である。料金プランの選択肢が増え、安価なプランを選択した人からも大きな不満は出ていないようなので、こうした新料金プランを推進する政策には一定の成果のあったとみてもよいのですではないか。今後、減少した分がどのような消費に向かうのかということもポイントとなろう。

ニュースソース

  • 総務省、利用者アンケート結果から「新料金プランで年間約4300億円の国民負担を軽減」[ITmedia

5. 巧妙化するフィッシングに引き続き注意

 フィッシング対策協議会が2021年6月のフィッシング報告状況を発表した(INTERNET Watch)。それによると、6月中に寄せられたフィッシング詐欺に関する報告数は3万560件で、5月より4456件減少した。ただし、その内容は巧妙になっているので、引き続き、警戒が必要だ。

 この記事では比較的最近の手法についてまとめている。「Amazonをかたるフィッシングが全体の35.8%を占める」「楽天、エムアイカード、三井住友カード、エポスカードの報告が多数」「フィッシング被害者からSMSが送られるケース」「ビットコインを要求する脅迫メール」などである。著名な金融機関やインターネットサービスを名乗るような事例が多く、気を抜くことはできないのが昨今の傾向だ。

ニュースソース

  • 6月のフィッシング報告、全体の件数は減少もAmazonをかたるSMSが多く要注意 フィッシング対策協議会月次報告書2021年6月[INTERNET Watch
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。