中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」
ニュースキュレーション[2021/10/28~11/4]
10月29日はインターネットの誕生日 ほか
2021年11月5日 17:37
1. フェイスブックが社名を「Meta(メタ)」に変更
フェイスブックが社名を「Meta(メタ)」へと変更すると発表した(ケータイWatch)。記事によると、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「我々のブランドはひとつの製品(フェイスブック)に密接に結び付けられ、我々が行っていることを表せていない。時が経つにつれてメタバース企業とみなされることを願う」とその趣旨を述べている。基本的なサービスは変更ないようだが、一方で、VR参入の契機となった「Oculus」ブランドを廃止するとしている(CNET Japan)。同社としては、今後のメタバースを主軸とするサービスへとより進化していこうという意図が感じられる。
また、同社は、皮膚のような触覚ソフトセンサーとされる「ReSkin」も発表した(ITmedia)。その設計や基本モデルをオープンソース化するとしている。同社のAI研究者とカーネギーメロン大学との共同研究の成果とされていて、低コスト、かつ幅広い用途での利用が想定される。
一方、Facebook内の写真や動画に写る友人や家族をタグ付けする「顔認証機能」については今後数週間のうちに停止するとしている(Impress Watch)。この機能には懸念もあったが、利点もあった。しかし、プライバシー問題、そしてAIによる画像識別のバイアスの問題も複雑化していたと思われ、技術開発の先進性と事業リスクなども勘案してのこととみられる。
ニュースソース
- フェイスブック、新社名「Meta」(メタ)――SNS継続も仮想空間への注力強調[ケータイWatch]
- Facebook、「Oculus」ブランドを廃止へ[CNET Japan]
- Meta(旧Facebook)、メタバースの触覚をリアルにする人工皮膚「ReSkin」を開発中[ITmedia]
- Facebook、顔認証機能を廃止。データは削除予定[Impress Watch]
2. マイクロソフトもメタバースを推進する
Meta(旧フェイスブック)がメタバースを推進していることはこの数カ月の報道でも明らかである。そして、なんとマイクロソフトもメタバースを推進するという(ZDnet Japan)。
マイクロソフトはエンタープライズ向けに「Mesh for Microsoft Teams」のプレビューを2022年前半より順次リリースするとしている。記事によれば「会議や交流会などの没入感のあるスペースが組み込まれる。Microsoftは少しずつ、顧客が独自にスペースを構築できるようにするツール」だとしている。
今後、大手IT企業によるメタバース分野での競争が激化するとみられる。
さらに、マイクロソフトは「Microsoft Loop」を発表した(Impress Watch)。これはTeams、Outlook、OneNoteなどのアプリを横断的に利用できるもので、「Loop components」「Loop pages」「Loop workspaces」の3つのコンポーネントから構成されるようだ。「チャットやメール、ミーティング、ドキュメントなど、仕事の流れの中でコラボレーションを行なう」ことがシームレスに行えるというもののようだ。
いずれにしても、ネットワーク環境の充実、デバイスの充実、そしてコロナ禍を経たうえでのリモートでの活動などの要素が融合し、オンライン上での情報ツールが一段階進化をするタイミングに来たようだ。
ニュースソース
- マイクロソフト、「Mesh for Teams」で企業向けメタバースを推進へ[ZDnet Japan]
- TeamsやOutlook、OneNoteなどをシームレスに連携「Microsoft Loop」[Impress Watch]
3. ガートナー「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」
ガートナージャパンは「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」を発表した(ガートナー)。これは定期的に発表されている技術動向の分析で、さまざまな最近の技術の発展がどのフェーズにあると捉えられているのかを可視化。技術系の経営層などから参照されている分析である。
これによると、「NFT(非代替性トークン)」「スマート・ワークスペース」「IoTエッジ・アナリシス」などが「過度な期待」のピーク期に位置付けられている。「過度な期待」とはまさにいま注目を浴びる技術であり、先進的な企業らが積極的に取り組んでいる分野ということだ。しかし、実際に利用が進むなかで、その技術的難度や市場における需要など、さまざまな課題も明らかになり、次第に「幻滅期」に入るとされている。そこでの課題を乗り越えると、いよいよ啓蒙期、生産性の安定期へと入っていくとされている。現在の「幻滅期」には「ブロックチェーン」「モノのインターネット」などが位置付けられ、「人工知能」は啓蒙期に入ってきている。
ニュースソース
- Gartner、「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2021年」を発表[ガートナー]
4. 新経連が「ブロックチェーンの官民推進に関する提言」を提出
一般社団法人新経済連盟(新経連)が「ブロックチェーンの官民推進に関する提言」をデジタル大臣、金融担当大臣、経済産業大臣に提出したことが報じられている(ZUU online)。その骨子は「ブロックチェーンを国家戦略に」「ブロックチェーン官民協議会の設置」「世界一デジタルフレンドリーな法整備」「NFTに関する事業環境の整備」「STO・ICOに関する会計基準の整備」「税制改正」だという。
ブロックチェーンは(投機的な意味の)通貨としてだけでなく、STO、ICO、NFTなどのさまざまな暗号資産に対する社会的な基盤となりつつある。岸田政権下で、国のデジタル戦略が引き続きどのように進んでいくのかは多くの人が注目しているテーマである。
ニュースソース
- 新経済連盟、「ブロックチェーンの官民推進に関する提言」をデジタル大臣らに提出 暗号資産の税制改正など訴え[ZUU online]
5. 10月29日はインターネットの誕生日
10月29日はインターネットの誕生日とされているようだ(ITmedia)。記事によれば、インターネットの原型であるARPANET(米国国防省のネットワーク)が「世界初のパケット通信ネットワーク」として誕生し、最初の通信を実施したのが1969年10月29日だというところからきているようだ。つまり、最初の通信が行われてから52年ということになる。
一方、日本では国語辞典でも時代の流れを感じる出来事が報じられた。三省堂国語辞典の新版では「パソコン通信」「BBS」の項目が削除されることになった(INTERNET Watch)。商用インターネットが普及する前、1980年半ばから1990年半ばごろまで、パソコンとモデムを使って電話回線でセンターのコンピューターと通信し、電子掲示板を通じて情報交換をする仕組みだった。主に、現在の60歳代、50歳代の人々には懐かしいサービスといえよう。それも2021年、ついに「死語」と認定されてしまったようだ。
ニュースソース
- 10月29日はインターネットの誕生日 2021年で52歳に[ITmedia]
- 「死語化したと判断」…三省堂国語辞典の新版で「パソコン通信」「BBS」の項目が削除へ[INTERNET Watch]