中島由弘の「いま知っておくべき5つのニュース」

ニュースキュレーション[2022/9/15~9/29]

「ビデオOFF」のWeb会議では意思決定の質が低化――検証結果を発表 ほか

eHrach/Shutterstock.com

1. NTTグループがXR事業に本格参入

 VRやARに関する話題は国内外ともに事欠かないが、今週、新たな注目の事業が設立された。

 NTTドコモがARやVRなどを手がける新会社「NTTコノキュー」を設立した(Impress Watch)。ドコモの100%子会社と位置付けられ、NTTグループ各社から集まった200名でスタートする。

 NTTコノキューは、AR、MR、VRといったXR(Extended Reality)の領域で、個人と法人の双方をターゲットとして事業を展開するとしている。まずは「XR World」などのメタバース事業、「XR City」などのデジタルツイン事業、自社デバイスを開発・提供するXRデバイス事業という3つの柱の確立が急がれる。当面は技術のショールームとしての役割も担うキラーコンテンツが提供できるかどうかということか。NTTグループという日本の情報通信の巨大企業が始めたサービスということもあり、今後、メタらの海外勢とどう競っていくのかというところが期待でもあり、注目点ともなる。

ニュースソース

  • ドコモがXR新会社「コノキュー」 サービス・デバイス一体提供[Impress Watch

2. アマゾンから新型メディアデバイスが次々と発表される

 アマゾンは電子書籍リーダーやストリーミングデバイスなどの新型製品を発表した。ここのところ、こうしたデバイスのアップグレードはあまり話題がなく、久しぶりの話題ということになる。

 まず、新型となる「Fire HD 8タブレット」3モデルを発表した(ケータイWatch)。標準グレードのほか、上位グレードと子ども向けモデルとなっている。

 また、テレビでPrime Videoなどの映像配信サービスを再生するストリーミングデバイスの最上位製品「Fire TV Cube」の第3世代も発表した(ケータイWatch)。処理能力の向上とともに、「超解像技術とアップスケーリングもサポート。HD画質の映像コンテンツを4Kへ変換できるという」という機能が搭載されている。

 そして、電子書籍リーダーのKindleでは「Kindle Scribe(キンドルスクライブ)」を発表した(ケータイWatch)。これは「フロントライトを備える10.2インチ(解像度300ppi)の電子ペーパーディスプレイを搭載」し、さらに「スタンダードペン」または「プレミアムペン」が同梱され、「ディスプレイにペンを走らせると、紙のような書き心地を実現している」というもの。書籍にメモを書くことができるような使用方法が想定されているが、一般書よりは教科書や教材などで必要とされる機能かもしれない。

 最後に、睡眠トラッキングや睡眠を支援する機能を備えたスマートデバイス「Halo Rise」を発表した(Impress Watch)。「ベッドサイドの照明(ライト)として動作するほか、センサーを組み合わせたスリープトラッカーとして機能する」というもので、「レーダーセンサーにより、ベッドに寝ている人の動きから睡眠状態を把握し、非接触でその人の睡眠を記録できる」という機能を持つ。

ニュースソース

  • Amazon.co.jp、新「Fire HD 8タブレット」3モデル、10月19日発売[ケータイWatch
  • Amazonが「Fire TV Cube(第3世代)」発表、1万9980円[ケータイWatch
  • 「Kindle Scribe」登場、手書き入力できる電子書籍デバイス[ケータイWatch
  • アマゾン初のスリープデバイス「Halo Rise」 非接触で睡眠を把握[Impress Watch

3. オープンソースのソースコードを永久凍土下に保存

 米GitHubはオープンソースのコードをスヴァールバル諸島(ノルウェー)の地下にある永久凍土層に保存するプロジェクト「Arctic Code Vault」を2019年に発表している。このほど、保管庫の設置が完了したと発表した(ITmedia)。記事によれば「主要なオープンソースコードのスナップショットだけでなく、人間が読めるドキュメントとしてコンピュータやソフトウェアの基盤技術についての解説、Wikipedia、Stack Overflowなどのテキストのフルコピーが含まれ」るということだ。

 その趣旨として「万が一、何らかの事象により人類が現代のコンピュータ文化を失ったとしても、この保管庫に保存されたコンピュータの基盤技術やそこで実行可能なコード、そしてそれを作っている人たちの自然言語によるやり取りが、おそらく残るでしょう。そしてそこから再び現代のようなコンピュータ文化を再構築する手がかりが得られるわけです」ということで、ある意味ではこれがずっと必要とされないことを望みたいという思いがある一方、デジタルアーカイブの観点からは1000年という長きにわたりデジタル技術の足跡を保存できるという技術にロマンも感じる。

ニュースソース

  • 永久凍土下にOSSのソースコードを保存する「Arctic Code Vault」、約1.4トンの保管庫を設置完了 GitHubが報告[ITmedia

4. 5G利用者の7割が4Gとの違いを意識できず――スマートフォンの利用動向調査

 最近のスマートフォンの利用動向について調査会社が発表をしている。

 MM総研は5Gスマートフォンの利用用途・サービスについてまとめた(ケータイWatch)。それによると「5G通信を意識して利用した経験があるサービスの調査では、『特に意識して利用したサービスや機能はない』」と回答した人が69%に上り、「多くの5Gスマートフォン利用者が、実際に利用する中で5Gと4Gとの間に大きな違いを体感できていない実態が明らかとなった」と指摘している。最近の別の調査でも5G対応機種への乗り換え意向が高くないという結果も報じられていて、それとも一致する。一般的には、いま使っているサービスについていえば、これ以上の通信速度を求めないというのは分からなくもない。逆にいうなら、すでに一定の品質の通信サービスが提供されているともいえるのかもしれない。新たなキラーアプリケーション、キラーコンテンツの登場によって情勢は急激に変わる可能性もある。

 また、MMD研究所は「2022年シニアのスマートフォン・フィーチャーフォンの利用に関する調査」の結果を公表している(ITmedia)。それによれば「60~79歳の全国の男女1万人を対象としたモバイル端末の所有率は94.0%」で、「『スマートフォン』が89.0%、『フィーチャーフォン』が7.3%、『4G LTEケータイ』が3.8%」となり、「2012年からの利用割合推移を集計したところ、2022年のスマートフォン利用者は前年比4.2ポイント増加、2022年のフィーチャーフォン利用者は前年比4.1ポイント減少」という結果になっている。

 さらに、MM総研はスマートウォッチの国内販売台数の推移・予測とその利用実態に関する調査結果も発表している(ケータイWatch)。「2020年度に200万台を突破し、2021年度に343.2万台と、前年度比49.6%増で拡大している」と普及が急速に進んでいて、さらにスマートフォン利用者におけるスマートウォッチの利用状況については、「現在利用している」が9.6%、現在利用していない人に対し、今後の購入意欲について聞くと「12.4%が利用を予定・検討している」となっている。今後の健康管理機能の充実や事故の際の通報機能などのメリットが認知されれば、今後も拡大が期待できそうだ。

ニュースソース

  • MM総研調査、5G利用者の7割が4Gとの違いを意識できず[ケータイWatch
  • 日本のスマートウォッチは2年後500万台規模、Apple Watchのシェアは6割超――MM総研のレポート[ケータイWatch
  • シニアのスマホ利用者は前年比4.2ポイント増の89%に MMDの調査より[ITmedia

5. 「ビデオOFF」のWeb会議では意思決定の質が低化――検証結果を発表

 コロナ禍で取り入れられたリモート会議はいまや特別なことではなくなった感もあるが、その際にみなさんはビデオをONにしているだろうか、それともOFFにしているだろうか。「身だしなみができていない」とか、「背景の部屋が散らかっている」とか、さまざまな理由でビデオをOFFにして、アイコンで参加する人も多いと思うが、どうやらこれは会議の質が低下することにつながるようだ。

 一般社団法人オンラインコミュニケーション協会が「Web会議でビデオONとOFF(参加者の顔が見える場合/見えない場合)における、合意形成にかかる時間や意思決定への影響」について検証したところ、「ビデオOFFのWeb会議では、合意形成までに長い時間がかかり、意思決定の質も低下した」という(INTERNET Watch)。

 記事によれば次の3点が具体的に指摘されている。

  • 参加者の年齢が多様な場合には、ビデオOFFだと意見対立を回避する程度が高まる傾向にあった。一方、ビデオONの場合には、年齢が多様なほど対立を回避しない傾向が強まった。
  • 性別の異なる人が参加した場合には、ビデオOFFだと合意形成にかかる時間が長くなる傾向にあった。また、合意形成にかかる時間が長くなるほど、意思決定結果のスコアが悪化する傾向もあった。
  • ビデオONの場合には、課題の内容について意見をぶつけ合えるほど居心地のよさと信頼を感じる傾向にあり、その結果、意思決定結果のスコアも改善する傾向にあった。

 実感と比較してどうだろうか。組織によってはあらかじめ会議の方法についてルールが定められている場合もあるだろうが、こうした結果を踏まえ、会議の内容によっては対応を検討してみてもいいかもしれない。

ニュースソース

  • 「ビデオOFF」のWeb会議では意思決定の質が低化する。一般社団法人オンラインコミュニケーション協会が検証結果を発表[INTERNET Watch
中島 由弘

フリーランスエディター/元インターネットマガジン編集長。情報通信分野、およびデジタルメディア分野における技術とビジネスに関する調査研究や企画プロデュースなどに従事。