Googleのプライバシーポリシー統合前に押さえておきたいこと
どんな情報が保存されているのか(後編・その1)
●Googleダッシュボードをチェックしよう
以下では、Googleのダッシュボードを使って、どんな情報をGoogleが収集しているのか、言い換えれば自分の個人情報がどこまで収集されているのかをちょっと実際に見てみることにしたい。当然、Googleのどのサービスを利用しているかによって表示される情報は違う。ここでは、Google+を利用している場合を見ていく。
Googleのどのサービスでもかまわないが、ログイン後に右上に表示されるユーザー名(またはGmailのアドレス)をクリックすると、プルダウンメニューが表示される。このプルダウンメニューの中にある「プライバシー」という項目を選択すると、Googleアカウントのプロフィール画面になる。
プロフィール画面の下の方に、[Googleプライバシー]という項目があるので、ここで[ダッシュボードにログイン]を押す。
ユーザー名の上をクリックするとプルダウンメニューが表示される。その中に「プライバシー」という項目があるのでこれを選択 | 「プライバシー」を選択すると、Googleアカウントのプロフィールが表示される。Google+利用の際に設定した内容がかなり反映されている | ここで< ダッシュボードにログイン >を押すとダッシュボードが表示される |
ダッシュボードでは、Googleが保存したユーザー情報を一覧できる。どんな情報がGoogleに保存されているのか、以下で順に見ていこう。
なお、Googleのサービスで利用したことがないものについては、項目自体が表示されない場合が多い。筆者の環境でできるだけカバーしたつもりだが、ここでご紹介できていない項目もあるかとは思うが、その点あらかじめご容赦いただきたい。
◆アカウント
ここはこのGoogle Accountと紐づいているメールアドレスや、そのメールアドレスに設定された名前/ニックネームが示される。ここで[アカウントの管理]と氏名/ニックネーム、郵便番号/国名/タイムゾーン/予備のメールアドレスといったものが登録できる。
ダッシュボードでは、当たり前のことながら、使っているサービスが多いほど多くの情報が表示される。逆に使っていないサービス、筆者の場合はたとえばChrome Syncの項目はデータがないと表示される | 左の画面で「個人情報を編集」を選ぶとこの画面が表示される。ニックネームを設定することもできる |
◆Me on the Web
自分の公開情報をここで確認・管理できる。意図的に公開している情報としては、自分のGoogleアカウントに紐付けされた他のSNSなどのサービスがある。筆者の場合は、ここで「プロフィールからのリンク」を選ぶと、筆者のGoogle+のページ(http://gplus.to/YusukeOhara)に飛ぶようになっている。
Me on the Webには[個人データアラートの管理][オンラインでの個人情報の管理][不要なコンテンツを削除する方法]などの項目がある。自分の情報を管理しようという場合は、もっとも重要な部分で、Me on the Webの項目にはひととおり目を通しておこう。
利用をお勧めしたいのが、[個人データアラートの管理]機能だ。自分の名前やメールアドレスを含む情報が一般公開されたときに、メールアドレスに通知する機能で、頻度は、[その都度] [1日1回] [1週間に1回] から選択できる。自分の知らないところで個人情報が公開され、Google検索結果に表示されているといった事態をいち早く知ることができるというわけだ。右の[結果を表示]のリンクをクリックすると、その場でGoogle検索の結果を確認できる。
また、[オンラインでの個人情報の管理] の中には[公開したくないコンテンツや関連する検索結果を削除する]という項目もあるが、情報の削除方法については、次回にまとめてご紹介する。
◆プロフィール
Google+を利用する際に自分のプロフィールを設定すると、ここにプロフィール情報が表示される。内容的にはMe on the Webとかなり重なっており、ここでプロフィールの編集を選ぶとGoogle+のプロフィール編集画面に移る。基本情報というのはGoogle+の基本情報(筆者の場合だとこれ:https://plus.google.com/101905316896656037305/about)であって、設定した項目はそのまま公開されることを示す。
Google+を利用する際に設定したプロフィール情報がここで確認できる。項目の右側に人型のアイコンが表示され、公開情報であることを示している | [プロフィールのURL]をクリックすると、筆者の場合はGoogle+のページが表示される |
◆Analytics
Google Analyticsを利用していると、分析に利用しているアカウントと対象となるウェブサイトの一覧が表示される。Google Analyticsは、Google AdSenseのために使うのがメインということもあり、「AdSenseもご一緒に」とお勧めされている。
Analyticsを使っているアカウントの場合は、分析に利用しているアカウントと、対象となるウェブサイトの一覧が出てくる |
◆Androidマーケット
Android OSを搭載したスマートフォンやタブレットを使っていて、かつそのスマートフォンやタブレットとGoogleアカウントを紐付けしている場合にこの項目が表示され、パソコン側からAndroidマーケットにアクセスしてインストールしたアプリが表示される。Android端末からインストールしたものは表示されない。
パソコンからダウンロードして導入したAndroidマーケットのコンテンツが表示される |
◆Android搭載端末
Googleアカウントと紐付いているAndroidスマートフォンやタブレットの情報がここに表示される。「この端末用に保管されているその他のデータ」をクリックするとこんな表示が出てくる。
◆Blogger
GoogleアカウントでBloggerサービスを利用し、ブログを開設しているとこの項目が表示される。お試しで作ったまま存在も忘れていたブログなどがあれば、不要なら削除しておこう。
Bloggerサービスでブログを開設しているとこの項目が表示される。ユーザー名はブログで設定したユーザー名が表示される。Bloggerを利用していない場合は、項目自体が表示されない |
◆Chrome Sync
Chromeへログインすると、ブックマーク、拡張機能、アプリケーション、テーマ、ブラウザーの各設定を、どのパソコンからでも使用できるように、Google アカウントに保存することができる。図書館など公共のパソコンでChromeへログインした場合は、上述の設定がパソコンに保存されてしまうので注意が必要だ。こうした共用マシンでログインしたら、Chromeのレンチアイコンから[
また、Chromeの設定で同期するデータを全て暗号化することができる。Chromeのレンチアイコンから[オプション]→[個人設定]→[ログイン]→[詳細]をクリックすると、[詳細同期設定]の画面が表示される。ここで同期する内容、暗号化するデータの種類、暗号化パスフレーズを設定できる。[暗号化するデータの種類]で、[同期データをすべて暗号化する]を選択すると、同期するデータがすべて暗号化される。利便性が落ちるようなことはないので、ここは[同期データをすべて暗号化する]を選択しておこう。
なお、暗号化パスフレーズはGoogleアカウントにログインする際のパスワードと別に設定することもできる。任意のパスフレーズを設定すると、設定したパスフレーズはGoogleにも送信されず、設定したユーザー以外は暗号化されたデータをみることはできない。その場合は、Chrome Syncの項目には何も表示されなくなる。
Chromeの同期設定については、こちら(http://support.google.com/chromeos/bin/answer.py?hl=ja&answer=1281195)に詳しい説明がある。利用している場合は、一度目を通しておき、自分の設定を確認しておくと良いだろう。
Chrome Syncを利用しており、同期するパスワードのみ暗号化している場合の表示 | Chrome Syncを利用しており、同期するデータをすべて暗号化している場合の表示 | Chromeの個人設定のログイン詳細設定画面。複数端末からChromeにログインする場合は、念のため同期データをすべて暗号化しておくと良いだろう |
◆Fusion Table
Fusion Tableを利用したことがあると、この項目が表示される。Fusion Tableを管理している場合は、内容や共有の情報などをあらためて確認しておくと良いだろう。
利用したことがあると、現在はGoogleドキュメントに該当する表がなくてもFusion Tableの項目が表示されるようだ。ここでは2件と表示されるが、[表の管理]で確認すると、実際にはFusion Tableはなかった |
◆Gmail
Gmailでは、メール本文、添付ファイルの有無、メールアドレス、チャットの履歴など、ほぼ全ての情報がGoogleに管理されていると思ってよいだろう。ひんぱんにメールをやりとりする相手なども、メールアドレスを入力する際に補完機能で利用されていると思われる。ただし、それを個人情報として見ているかというのは、また別の話だ。
基本的には、(1)ユーザーがより使いやすく、必要なメールアドレスなどの情報をすぐに過去の利用履歴から引き出せるように利用される、(2)ユーザーが興味のありそうな広告を掲載するため、メールの本文内容などからキーワードを自動解析する、といった形で利用されていると考えられる。
無料で7~8GB程度の大容量ウェブメールが利用できるメリットと、メールの内容を解析され(個人情報とは切り離した形のはずだが)広告などに利用される可能性がある点を秤にかけて、解析されるのが気になるという場合は、思い切って他のメールサービスに切り替えるという手もある。
ただし、無料メールはおおむね同じような広告モデルのサービスであると考えておいた方がよいだろう。3月1日以後、Googleではすべてのサービスで個人情報を共有することになるので、Googleだけに情報が一点集中するのを避けたいというなら、他サービスへの移行を検討してもよいだろう。
Gmailの項目で「チャット履歴の管理」「HTTPS設定の管理」「全てのGmail設定の管理」を選ぶと、Gmailの設定画面に移行する |
◆Google Music
Google Musicを利用しているとこの項目が表示される。日本ではサービスを提供していないが、米国に行った際に米国内から利用申請すると利用が開始できる。いったん利用登録してしまうと、日本に帰ってきてからも継続して利用できるが、日本からのアクセスでは音楽コンテンツの購入はできない。米国ではAndroid OS搭載のスマートフォンやタブレットからも利用できる。
Google Musicでは、とくにプライバシーに関する設定項目などはない。ひとつのアカウントのライブラリに最大10の端末からアクセスできる |
◆Google+
Google+についても、基本的にはGmailと同様の考え方になるだろう。1社のサービスを利用すれば利便性は上がるが、1社にさまざまな情報が補足されることになる。Yahoo!でもGoogleでも、この点は同様で、ユーザーの好みや利用方法によってサービスを選択することになるだろう。
投稿内容と“+1”ボタンを押した回数が表示される。ボタンを押した回数は、人型アイコンで公開情報であることが示されている。編集メニューを選ぶと、Google+のプロフィール/サークルの設定画面に移行する |
◆Google Sync
Google Syncを利用することで、Microsoft Exchange ActiveSyncを使って、Google Appsのメール、連絡先、カレンダーを携帯端末に同期することができる(Android OS搭載の端末では設定する必要なくそのままGoogle Appsに接続できる)。iOS搭載端末、Windows Phone、Windows Mobile、Nokia端末などに対応する。Google Syncを利用していると、この項目に利用している端末が表示される。
Google Syncについて詳しくは、こちら(http://support.google.com/a/bin/answer.py?hl=ja&answer=135937)に説明があるので参照してほしい。
Google Syncでは、Google Appsのメール、連絡先、カレンダーを同期している端末が表示される |
まだダッシュボード項目は続くのだが、ここまででかなり長くなってしまったため、予定を変更して、続きは週明けに掲載させていただくことになった。この後の項目としては、iGoogleやPicasa、ウェブ履歴、などがある。その後、削除方法やオプトアウトについてご紹介していく。
関連情報
2012/2/17 16:53
-ページの先頭へ-