自宅Wi-Fiの“わからない”をスッキリ!

【使いこなし編】第302回

「Gemini Notebook」で名刺を文字起こしして管理! PFUの小型スキャナー「ScanSnap iX110」活用

 バッテリー内蔵でどこでも使えるハンディ型のドキュメントスキャナー「ScanSnap iX110」の活用を、第297回から実践している。

 前回からAIを利用して、スキャンしたドキュメントから文字情報を抽出し、活用するさまざまな方法を実践している。今回は、スキャンした名刺の文字情報をAIで読み取り、スプレッドシートで管理する方法を試してみる。

 この先の実践は、自宅内でScanSnap iX110とスマートフォンがWi-Fiでつながった状態になっているのが前提となる。セットアップ方法などは第298回を確認してほしい。

今回は名刺をスキャンして、文字起こしをAIにやらせてみる

「Gemini Notebook」で名刺を管理する

 前回解説したように、AIにドキュメントをアップロードする場合には、入力したデータがAIのモデルの学習に使われる可能性があることを常に意識する必要がある。

 名刺には、その人の個人情報が含まれる。名刺の情報をAI機能を持つ管理ツール上で管理するのは一般的に行われており、名刺交換にあたって情報の取り扱いについて厳密にルールを取り決めたりはしないが、常識として、モデルの学習に使われる可能性があるAIツールに名刺のデータをアップロードするのは避けるべきだろう。組織に所属していて、業務の中で入手した名刺なら、必ず所属組織の規約にあわせて名刺の情報を扱ってほしい。それ以外の機会に入手した名刺では、先述した「常識」を考慮し、モデルの学習に使われないかたちでAIを利用したい。

 そういった状況で、個人情報が含まれたデータでも利用しやすいのが、Googleの「Gemini Notebook」(旧NotebookLM)というサービスだ。アップロードしたデータは、個人の無料プランでも、フィードバックを送信しない限り、AIモデルの学習に直接使われることがないとヘルプに記載されている。フィードバックを提供する場合であっても、法人契約のGoogle Workspaceと、教育機関向けGoogle Workspace for Educationでは、人による確認は行われず、AIモデルの学習にも使用されないとされている。いずれにしても、Gemini Notebook内であれば、AIモデル学習に使われないので安心できる。

 なお、今回はスキャンした情報を最終的にGoogleスプレッドシートに読み込ませている。作成したGoogleスプレッドシート上でGeminiを使ってしまうと、この範疇から外れるので注意してほしい。また、そもそもクラウドで個人情報を扱うこと自体を問題と捉えるのであれば、この手順についてはローカルファイル(スマートフォンやPCのストレージ)に保存してまとめるようにしてほしい。

 このサービスは、登録したソースの情報をもとに、AIがチャットで受け答えをしてくれるというものだ。画像やPDFなどのファイルやURLをソースとして登録したノートブックを作成して利用する。RAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれる仕組みで動いている。

 今回は、このGemini Notebookを使って名刺管理を行ってみよう。名刺のほかにも、ハガキの住所整理などに応用できるだろう。

 Gemini NotebookはiOSとAndroidの双方でアプリが用意されている。本記事では、インストールとGoogleアカウントでのログイン方法の解説は省略する。

「ScanSnap iX110」で名刺をスキャンする

 まずは、スキャンした名刺の画像をGemini Notebookに送る。これまでに実践したときと同様、「ScanSnap Home」アプリの共有ボタンを使ってもいいのだが、今回はiPhoneの「写真」アプリに書き出し、そこからGemini Notebookに読み込む方法をとってみよう。ScanSnap Homeの[詳細設定]で書き出し場所を変更できる。

ScanSnap Homeの[詳細設定]をタップ
①形式は[JPEG]にしておく。②[保存先]をタップする
[写真に保存]をオンにする。Androidでは[ドキュメントに保存]となる
[詳細設定]で、③[原稿種]をタップし[名刺]を選ぶ
[詳細設定]で、④[ファイル名の形式]をタップし、[ファイル名を自動的に生成]にチェックを入れ、[抽出項目を指定]をタップ
[抽出項目を指定]で[氏名]と[スキャン日付]の順に並べてファイルの命名規則を決める。ここは好みの設定で構わない

 設定を終えたら、ScanSnap iX110で名刺をスキャンし、Gemini Notebookを起動する。初回起動時にはGoogleアカウントでログインする必要がある。ホーム画面の[+新規作成]を選択し、新しいノートブックを作成して、スキャンした名刺の画像をソースとして読み込む。

Gemini Notebookを起動して、[+新規作成]をタップ。この画面はすでに使い込んでいるので、ノートブックが並んでいる。このノートブック単位で個別にチャットをすることになる
[写真]をタップ
スキャンした名刺を選択して読み込む
読み込み中。タイトルは自動で付けられる。名刺を追加したい場合は、[+ソースの追加]から追加できる

 スキャン画像のアップロードが完了すると自動で[チャット]画面が開く。ここでプロンプトを投げかけて文字起こしをする。前回のように単純に「文字起こしをして」と頼んでも良いが、今回は抽出した情報をファイルに保存し、Googleスプレッドシートに読み込ませてみた。

アップロードされると自動で[チャット]画面が開く。なにやら勝手に名刺を分析してくれているが、これは特に作業に関係ない。この画面でプロンプトを投げかける
「3件の名刺から、所属先、名前、電話番号、住所、メールアドレスを抽出して、タイトル行と3行にまとめたxlsxファイルに保存してください」というプロンプトにしてみた。項目など、好みでアレンジを加えてみてほしい。今回は、xlsx(Excel)形式のファイルとして出力するように指定した
このような出力になった。ファイルが出力されていることがわかる
[スタジオ]タブを表示させてみる。ファイルが保存されているはずだ。タップして開く
Googleスプレッドシートで開いてみる。好みの表計算ソフトでもOKだ。[ファイルに保存する]を選べばローカルに保存もできる
[ドライブに保存]をタップ
このようなデータが作られている。画像では個人情報を消しているが、実際のデータには記入されている

 AIが画像から読み取った文字データは、必ずしも正確とは限らない。データの完成後に目で見て確認しておくようにしてほしい。また、AIを使う場合、同一のプロンプトを使ったとしても、出力結果が変わることもあるため、思った結果が得られない場合には、複数回試してみよう。

 Gemini Notebookには、使いこなしにコツがいる。1ノートブックに登録できるソースファイル数の上限がプラン別に制限されている。無料プランの場合には50だ。名刺1枚を1つの画像ファイルとして登録すると、1ノートブックで扱える名刺は50枚までとなる。この制限を踏まえ、抽出した名刺データはGoogleスプレッドシートに蓄積して管理していくことにする。

 次回、この名刺管理データにさらに追記していき、運用方法を完成させてみよう。

今回の教訓(ポイント)

「Gemini Notebook」ならアップロードしたデータをAIモデル学習に使わない
名刺やハガキなどの管理に便利

村上 俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、ウェブ媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。