インボイス制度に備える

インボイス制度「中止してほしい」が7割。税理士ドットコムで個人事業主にアンケート調査

6割以上が取引先からインボイス登録を「求められなかった」

 10月から開始された「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」に関するアンケート調査を弁護士ドットコム株式会社が実施し、その結果を発表した。「インボイス制度を中止してほしい」とする人が69.9%に上っている。

 調査は9月15日~21日、弁護士ドットコムが運営する「税理士ドットコム」に一般会員として登録している個人事業主444人を対象に実施したもの。

「インボイス制度を中止してほしい」との回答が69.9%

 「インボイス制度について、率直にどのようにお考えですか?」との質問では、「インボイス制度を中止して欲しい」が69.9%、「景気が上向き売上が上がるまで延期してほしい」が10.8%、「このまま進めて問題ない」が6.5%、「わからない/関心がない」が8.8%、その他が4.3%だった。

「インボイス制度について、率直にどのようにお考えですか?」

 また、「インボイス制度を中止して欲しい」と回答した人の具体的な意見として、「免税事業者なのに、インボイス制度の導入で消費税分が増税になるのは納得がいかない」「インボイスを行うのに、この国はまだ早いと思う。せめて、行政の自動化、デジタル化を進め、可能な限り透明性があり納得感がある税の使い方を行ってからにすべき」「誰にもわかりやすいのが税の基本なのに、複雑すぎて対応も難しい。小さな事業をやってる人たちが廃業すれば、消えてしまう文化も技術もたくさんあると思う」が挙げられている。

 その一方で、「このまま進めて問題ない」と回答した人からは、「自身も仕入れ先も全て消費税納税事業者なので、何も変化はない」「制度の施行は良いので、具体的に業務フローをレクチャーするセミナーなり、相談所を設けるべき。国の説明不足を感じる」との意見が聞かれた。

インボイス発行事業者、登録申請済みは33.8%

 「インボイス発行事業者としての登録状況を教えてください」との質問では、「登録申請済み」は33.8%で、残りの7割近くは未申請という結果だ。未申請の理由としては、「登録申請をするつもりはない」が33.6%、「2023年10月の施行後、業務に影響があるなら登録申請する」が12.6%、「登録申請するかまだ決めていない」が11.7%、「取引先から要請があれば登録申請する」が2.7%。

「インボイス登録事業者としての登録状況を教えてください」

 「登録申請した、または登録を予定している理由をお教えください」との質問(複数回答)では、「登録しないと仕事が減りそうなため」が37.4%、「消費税の課税事業者である/これから課税事業者となる予定だから」が31.3%、「取引先から登録を求められたため」が14.0%、「取引先から消費税分の値引き交渉などをされたため」が5.3%、その他が12%だった。

「登録申請した、または登録を予定している理由をお教えください」

 「登録申請するかどうか決めていない、または登録申請しないのはなぜですか?」との質問(複数回答)では、「課税売上高が1000万円以下だから」が81.1%、「消費税納税の負担が生じるため」が49.8%、「手続きやその後の事務作業が困難だから/費用がかかるから」が35.8%、「登録するメリットがわからないから」が28.9%――などと続いている。

「登録申請した、または登録を予定している理由をお教えください」

 「インボイス制度の導入後、今後についてどのようにお考えですか?」との質問では、「免税事業者のまま、事業を続ける」が53.0%、「取引先からの対応等により、インボイスを導入するか検討する」が16.0%、「インボイス制度導入後に、廃業する・廃業を検討している」が5.0%、「経過措置終了後に廃業を検討している」が2.0%、「わからない/決めていない」が23.0%、その他が1.0%だった。

「インボイス制度の導入後、今後についてどのようにお考えですか?」

取引先からインボイス登録を「求められなかった」6割以上

 「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録状況について確認はありましたか?」と聞くと、「あった」が64.2%、「なかった」が31.3%、「わからない」が4.5%だった。

「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録状況について確認はありましたか?」

 「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録を求められましたか?」では、「求められなかった」が64.0%、「求められた」が27.0%、「わからない」が9.0%だった。

「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者の登録を求められましたか?」

 「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者登録をしない場合の契約条件や価格に関する交渉はありましたか?」との質問には、「あった」が17.1%、「なかった」が74.6%、「わからない」8.3%がった。

「取引先(請求書を受け取る側=買い手)から、インボイス発行事業者登録をしない場合の契約条件や価格に関する交渉はありましたか?」

 「仕入先(請求書を発行する側=売り手)へ、インボイス発行事業者の登録状況について確認はしましたか」との質問には、「していない」が52.0%、「しない予定」が11.9%、「した」が17.6%、「する予定」が7.5%、「わからない/決めていない」が11.0%。

「仕入先(請求書を発行する側=売り手)へ、インボイス発行事業者の登録状況について確認はしましたか」

 「インボイス制度施行後、仕入先がインボイス発行事業者でない場合、どのように対応する予定ですか?」では、「わからない/決めていない」が41.7%、「インボイスに登録しないので対応はしない」が27.9%、「免税事業者でも、値引きすることなく取引を継続する」が11.5%、「免税事業者でも、値引きに応じてもらえば取引を継続する」が4.5%、「経過措置の間は取引を続ける」が3.6%――と続いている。

「インボイス制度施行後、仕入先がインボイス発行事業者でない場合、どのように対応する予定ですか?」

 税理士ドットコムでは、これらの結果について「約7割が制度導入を中止して欲しいと考えているなど、インボイス制度の導入には否定的な意見が多いことが判明」したという。

 また、2023年12月末には改正電子帳簿保存法の猶予期間が終了する。インボイス制度の開始も重なり、「個人事業主やフリーランスなどの小規模事業者の不安解消を進め、新たな制度へのスムーズな移行の後押しをしていくことが求められる」としている。

【お詫びと訂正 13:00】
 記事初出時、アンケート調査が行われたサービスの名称に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

誤:弁護士ドットコム
正:税理士ドットコム