インボイス制度に備える
インボイス発行事業者をやめて免税事業者に戻るには? 取引先にインボイスを求められなかった……
令和5(2023)年中の登録なら2年縛りなし!
2023年10月6日 06:00
この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』(酒井富士子 著/西原憲一 監修/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。
- インボイスの申請、いつまでにやればいい?(別記事)
- インボイス発行事業者になるための申請方法は主に2種類(別記事)
- インボイス発行事業者をやめて免税事業者に戻るには?(この記事)
- 消費税の確定申告に使える仕様か、領収書をチェックしよう(別記事)
このほか、同書の著者と監修者の税理士がインボイス制度について噛み砕いて解説する対談記事も掲載しています。あわせてご参照ください。
令和5(2023)年中の登録なら2年縛りなし!
適格請求書発行事業者として登録してはみたものの、いざインボイス制度がスタートしてみると、取引先からインボイスを求められなかったというケースもあろうかと思います。例えば、取引先の多くが免税業者や一般消費者であったり、簡易課税制度を選択している事業者だったりする場合は、インボイスの発行は必要ないからです。
そのため、インボイス発行事業者から免税事業者に戻ろうと考えたとき、令和5(2023)年12月31日までにインボイス登録した場合は、翌課税期間の初日から15日前までに「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出すれば翌課税期間から免税事業者に戻れます。極端な例ですが、2023年中にインボイス登録した事業者の場合、希望すれば制度スタートの2カ月後には免税事業者に戻れるということです。これは制度導入にあたって設けられた特別なルールで、令和6(2024)年1月1日以降にインボイス登録した場合は事情が異なります。その場合は、いったん課税事業者になると2年間は免税事業者に戻れないという、「2年縛り」ルールが適用されます。
また、免税事業者に戻るには先の届出書のほか「消費税課税事業者選択不適用届出書」の提出も本来必要ですが、令和11(2029)年12月31日(個人事業主の場合)までに登録した場合は不要。これも経過措置の特例であり、負担軽減策のひとつです。
10月1日からスタートした「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」によって、これまで免税事業者だったフリーランスや自営業者はどのような影響を受けるのか? そもそも、インボイス発行事業者(課税事業者)になるべきなのかどうか?
本書『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』では、インボイス制度および消費税の仕組みについての基礎を解説するとともに、インボイス発行事業者になるべきかどうかの判断について、職種・年収のケース別にアドバイス。さらにインボイス発行事業者になるための登録申請方法、請求書や納品書の発行・保存、経費精算、確定申告の仕方など、制度開始~開始後に必要となる知識を1冊にまとめています。
酒井 富士子
経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(以上、インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。