インボイス制度に備える
消費税の確定申告に使える仕様か、領収書を受け取ったときにはチェックしよう
受け取った側はインボイスを修正できない
2023年10月11日 06:00
この記事は、書籍『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』(酒井富士子 著/西原憲一 監修/株式会社インプレス 発行)より、内容の一部を抜粋・再構成してお届けするものです。
- インボイスの申請、いつまでにやればいい?(別記事)
- インボイス発行事業者になるための申請方法は主に2種類(別記事)
- インボイス発行事業者をやめて免税事業者に戻るには?(別記事)
- 消費税の確定申告に使える仕様か、領収書をチェックしよう(この記事)
受け取った側はインボイスを修正できない
経費の支払で領収書や請求書などを受け取った場合には、まず記載内容をチェックするようにしましょう。記載事項に漏れがある場合にはインボイスとして認められず、仕入税額控除が受けられなくなってしまうため、注意が必要です。
必要な記載事項は、下の画像の①~⑥。①は、「上様」などの表記は基本的に認められませんが、簡易インボイスを発行できる事業者が発行したインボイスの場合はOK。③は、税率の区分がわかるように記載する必要があり、「お品代として」などの記載は認められません。④は、税率ごとに区分して合計した対価の額に加えて、適用税率と消費税額等の両方を記載する必要があります。ただし、①と同じく、簡易インボイスを発行できる事業者の場合は片方の記載でも大丈夫です。
記載内容にミスがあった場合には、受け取った側で追記・修正することは禁止されています。速やかに、発行事業者にミスの箇所を伝え、修正と再発行をお願いする必要があります。手書きのインボイスの場合には、ミスが発生しやすいため、保存する前に必ず確認するようにしましょう。
インボイスを受け取ったら帳簿へ記載し保存すること。また、経費で利用する場合、1万円未満の少額なこともあるでしょう。その場合は、少額特例が適用となるので、帳簿の保存をするだけで、インボイスは必要ありません [*] 。
[*]編集部注…… 少額特例:小規模事業者の事務負担を軽減するため設けられた措置で、基準期間(前々年/前々年度)の課税売上が1億円以下または特定期間(前年/前年度の上半期)の課税売上高が5000万円以下の事業者が対象となる。適用期間は2029年9月30日まで。
10月1日からスタートした「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」によって、これまで免税事業者だったフリーランスや自営業者はどのような影響を受けるのか? そもそも、インボイス発行事業者(課税事業者)になるべきなのかどうか?
本書『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』では、インボイス制度および消費税の仕組みについての基礎を解説するとともに、インボイス発行事業者になるべきかどうかの判断について、職種・年収のケース別にアドバイス。さらにインボイス発行事業者になるための登録申請方法、請求書や納品書の発行・保存、経費精算、確定申告の仕方など、制度開始~開始後に必要となる知識を1冊にまとめています。
酒井 富士子
経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』『マンガと図解でよくわかる お金の基本 高校生から理解できる資産形成&金融知識』(以上、インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。