清水理史の「イニシャルB」

近距離は有線並み、家中どこでも300Mbps! 「EasyMesh」対応で他社ルーターともメッシュでつながるLinksys「E9450」

 Linksysから登場したE9450は、Wi-Fi6に対応したデュアルバンドルーターだ。Wi-Fi Allianceが提唱するメッシュWi-Fiの相互接続性を確保する認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED EasyMesh」に対応しているのが特徴だ。その実力を検証してみた。

他社製品とも柔軟にメッシュWi-Fiが構成できる

 今回取り上げるLinksys E9450は、メッシュにも対応するデュアルバンドのWi-Fi 6対応ルーターだ。

LinksysのWi-Fi 6デュアルバンドルーター「E9450」

 同社のメッシュ対応製品と言えば、スタイリッシュな縦型デザインの「Velop」が思い浮かぶが、今回のEシリーズは、購入しやすい価格かつEasyMeshに対応したことで柔軟な構成が可能となっている。

 具体的には、トライバンド対応のVelopに対し、Eシリーズは5GHz×1+2.4GHz×1のデュアルバンド対応となり、その転送速度は5GHz帯が最大4804Mbps、2.4GHz帯が最大574Mbpsとなっている。

 この仕様によって、Velopに比べ入手しやすい価格設定になっていて、2021年4月20日時点でのAmazon.co.jpでの実売価格は、単品が1万8573円(税込)、2台セットが3万5800円(税込)。Velopが単体で2万7436円、2台セットが5万1195円なので、かなりリーズナブルになった印象だ。

2台セットの構成もラインナップ

 もちろん、最初からメッシュ構成での構築を考えているならトライバンド対応のVelopをお勧めしたいが、本製品は単体でも利用できつつ、必要に応じてメッシュ構成も選べるのが特徴だ。

 しかも、Wi-Fi Alliance「EasyMesh」に対応しているため、同じくEasyMeshに対応した製品であれば、他社製品とでもメッシュ構成で利用することが可能となっている。

 現状、EasyMeshに対応した製品は数があまり多くない。国内製品だとAtermシリーズの一部機種などが対応しているが、単体で導入後、後からWi-Fiエリアを拡張しようと思ったときに、必ずしも同じメーカーの製品にこだわらなくても済むのは魅力的だろう。

E9450
実売価格1万8573円
CPUトリプルコア、1.5GHz
メモリ512MB
Wi-Fiチップ(5GHz)-
Wi-Fi対応規格IEEE 802.11ax/ac/n/a/g/b
バンド数2
160MHz対応
最大速度(2.4GHz)574Mbps
最大速度(5GHz-1)4804Mbps
最大速度(5GHz-2)-
チャネル(2.4GHz)1~13
チャネル(5GHz-1)W52/W53/W56
チャネル(5GHz-2)-
新電波法(144ch)
ストリーム数4
アンテナ内蔵
WPA3
IPoE IPv6
DS-Lite-
MAP-E-
WAN1Gbps×1
LAN1Gbps×4
USBUSB 3.0×1
動作モードRT/BR
ファームウェア自動更新
サイズ(幅×奥行×高さ)156×60×222mm

90年代的(?)な個性を感じるデザイン

 それでは製品を見ていこう。

 デザインは、スマートな印象のVelopに比べると、角の立った無骨な印象のデザインとなっている。と言っても、ロゴの主張が強すぎるとか、独特な感性の模様が刻み込まれているといったネガティブな印象は一切なく、非常に清潔感があるシンプルな印象に仕上がっている。

正面
背面

 特徴的なのは前面パネルだ。スモークのパネル内部にLEDが光る仕組みで、独特の雰囲気がある。少しぼやけたように見える青い光は、どことなく90年代的な一種のレトロ感が漂う雰囲気であり、あえて言うなら「サイバー」という感じがピッタリくる。個人的には懐かしさも感じるデザインだ。

LEDの光り方に味がある

 インターフェースは背面に集中しており、上から、WPSボタン、USB 3.0ポート、1Gbps対応LANポート×4、1Gbps対応WANポート×1、電源ポート、電源スイッチ、リセットボタンが配置されている。

 最近では、ゲーミングモデルなどを中心に2.5Gbps対応のLANを搭載する製品も登場しつつあるが、本製品の有線ポートは1Gbpsまでの対応となる。

LAN、WANポートは全て1Gbps対応

メッシュWi-Fiの構成はWPSボタンで簡単!

 セットアップは、オーソドックスなウェブブラウザーを利用する方式となる。初期設定のSSID、もしくは有線LANでPCを接続して、ウェブブラウザーから設定画面を開くことで、初期設定ウィザードが実行される。

 ウィザードで変更が求められる管理者パスワードは、記号を含む10文字以上とかなり厳しい設定となっていて、設定する文字列に悩まされたが、インターネット接続も自動検出されるので、設定自体は簡単だ。

設定パスワードの条件が高い

 なお、IPv6は標準で有効化されるものの、MAP-EやDS-Liteを使ったIPv4 over IPv6接続には対応していない。こうした環境では、ルーター機能はISPからのレンタル品に任せ、本製品は「ブリッジ」モードで利用するといいだろう。

MAP-EやDS-Liteには対応しない

 1つ、個人的に気になった点を挙げるとすると、同梱の取扱説明書の文字が小さすぎて困った。まあ、記載は最低限の説明だけで、画面を見ながら設定を進めることになるので、あまり必要ないとは言えるが、「老眼」が進んだ筆者には、裸眼では読み取りがかなり厳しかった。

 では、肝心のメッシュの構成方法を見ていこう。

 今回は、2台セットモデルを使用したが、標準でメッシュが構成済みになっているわけではなく、ユーザーがセットアップを自ら実行する必要がある。

 とは言っても設定は簡単だ。1台目のセットアップ後(もしくは初期設定ウィザード時)に、メッシュセットアップの画面から「新しいノードを追加する」をクリックし、もう1台の背面に用意されている「WPS」ボタンを押せばいい。

メッシュ構成は1台目からノードの追加を開始し、WPSボタンで実行する

 これは、EasyMeshでは共通の方式となる。国内で発売済みのAtermシリーズでは、LANケーブルをつないだメッシュ構成方法が紹介されることが多いが、同様にWPSボタン(Atermは「らくらくスタートボタン」)を押すことでも、メッシュWi-Fiを構成できる。

 できれば、他社製品との相互接続性を確認してみたかったが、残念ながらAtermシリーズが手元になかったため、今回はE9450同士での接続となった。だが、EasyMeshに対応した製品であれば、この設定方法は共通だ。

 EasyMeshは、メーカー間の互換性を気にする必要がないのもメリットだが、このようにどの製品を使っても、同じ手順でメッシュWi-FIを構成できるというのも魅力の1つとなる。製品選びだけでなく、購入後の設定も迷わないというのは秀逸だ。

近距離は有線並み! メッシュで家中どこでも300Mbps

 気になる実力を見ていこう。

 以下のグラフは、木造3階建ての筆者宅にてiPerf3の値を計測した結果だ。1Fに1台のみ設置した場合と、1Fと3F踊り場の2台でメッシュを構成した場合の値を掲載する。

 なお、本製品は160MHz幅での通信に対応するが、標準では80MHz幅設定となっているため、手動で160MHz対応を有効にした状態で計測している。これにより、160MHz幅に対応するノートPCで、最大2402Mbpsでの通信が可能になる。

iPerf3テスト
1F2F3F入口3F窓際
1台構成上り94460214.811.6
下り90452379.311.7
2台メッシュ構成上り847295287286
下り842316305321

 まず、近距離だが、これは最大2402Mbpsの威力が生きている。有線ポートが1Gbpsなので、結果は上りが最大944Mbpsで頭打ちとなるが、電波が十分に届く範囲であれば、ギガビットの有線LAN並みの速度で通信可能だ。

 気になるのは、単体時の3Fでの結果だ。1Fや2Fがかなり速いのに、今回の結果では3Fの結果が悪い。

 これは、2.4GHz帯を使われてしまった結果だ。今回のテストでは、距離が遠くなるほど積極的に2.4GHz帯を使う状況が見られたが、筆者宅の周囲では2.4GHz帯の利用が多く、混雑によってパフォーマンスが上がりにくい。この状況をまともに受けた印象だ。

 こうした環境下では、SSIDを2.4GHz帯と5GHz帯で分け、意図的に5GHz帯へ接続するように運用するか、後述するメッシュ構成で利用することをお勧めする。

 単体時が3Fの結果があまり高くない一方で、2台を利用したメッシュ構成では、3Fの値が格段に良くなる。十数Mbpsだった速度が一気に向上し、どこで計測しても300Mbps前後の速度が安定して出るようになった。

 ただし、メッシュ構成時には、160MHz幅をオンにしていても80MHz幅でしか接続されなかった上、2F(1Fの1台目と3Fの2台目の中間)での計測で、2F→3F→1Fという中継がなされたようで、1台構成のときよりも低い値となってしまった。このあたりは「メッシュあるある」の現象なので、仕方がないと言える。

 要するに、近距離から中距離のあまり広くない環境では1台で160MHz幅の威力を生かした高速環境を堪能し、広い環境や2.4Hz帯の混雑が問題になる環境ではメッシュで300Mbps平均の速度環境を手に入れるという使い方が向いていると言えそうだ。

機能はシンプルながら、転送量やCPU/メモリ使用率をグラフ化できる統計機能が充実

 一方、機能面はシンプルだ。

 指定したMACアドレスの端末の接続時間を設定できるペアレンタルコントロール機能やUSBデバイスのデータを共有できる保存スペースサービス、VPNクライアント(L2TPクライアント)などは搭載するが、最近のWi-Fiルーターのような付加機能てんこ盛りというタイプではなく、必要な機能だけをシンプルに搭載し製品となっている。

機能はシンプル

 LANポートごとの転送量や、CPUやメモリの使用状況が詳細に表示可能で、「Interface RX」などのパラメーターを指定し、メーター形式のグラフを作成できる統計機能は充実しているが、全体的にはあまり凝った付加機能はない。

統計情報をカスタマイズできるのは、ほかにはない特徴だ

 あまり機能が豊富だと使い方に迷ってしまうので、Wi-Fiルーターとしてはこれで十分と言えるだろう。

「メッシュしようか……」と悩んでる人に

 以上、Linksysの「E9450」を実際に試してみたが、価格もさほど高くない上、パフォーマンスも悪くない製品だ。「機能てんこ盛りで、取扱説明書も分かりやすい」というタイプの製品ではなく、ある程度「分かっている」人が選ぶ製品とは言えそうだが、バランスはいい。

 何と言ってもEasyMeshに対応しているのがメリットだ。とりあえず単体で購入したり、他社製品をすでに所有したりしている人が、後からメッシュ構成へとネットワークを手軽に拡張できるメリットは大きい。

 「メッシュにしようか……、それとも単体で大丈夫か?」と悩んでいる人に適した製品と言えそうだ。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できる Windows 10 活用編」ほか多数の著書がある。