清水理史の「イニシャルB」

Windows 8.1のサポートが1月10日に終了。もし、今使おうとしたらどうなる?

サポートが終了したWindows 8.1。独特のスタート画面がなつかしい

 2023年1月10日、Windows 8.1の延長サポートが終了した。2013年10月の登場から、約10年でのサポート終了となる。

 ところで、サポートが終了したWindows 8.1は、現状、どのような状態なのだろうか? 何が使えて、何が使えないのかを試してみた。

 当然ながら、Windows 8.1は今でも動作するが、利用は推奨されない。本稿をご覧の皆さんにおいては、興味本位で試してみるようなことはせず、利用を継続している/しようとしている人からの相談などがあったときに、参考にしていただければと思う。

サポート終了により攻撃に対して無防備な状態に

 Windows 8.1のサポートが終了したことで、今後、テクニカルサポート、および更新プログラムの提供が停止することになる。具体的には以下の3点が停止する。

  • 全ての問題に関するテクニカルサポート
  • ソフトウェア更新プログラム
  • セキュリティ更新プログラムまたは修正プログラム

 Windowsは、新たに発見された脆弱性や不具合を修正するために、定期的に更新プログラムが配布されている。サポートが終了すると、こうしたWindows Updateを通じて提供される更新プログラムが提供されないことになる。

 サポート終了を迎えた過去のOSの例では、例外的にサポート終了後も緊急の更新プログラムが特別に提供されたケースもあった。しかし、基本的には、OSに脆弱性や不具合が発見されたとしても修正されないことになる。

 このため、サポート終了後もWindows 8.1を使い続けることは、悪意のある者からの攻撃に対して無防備になる危険がある。動作はしていても、継続利用が推奨されないのは、そのためだ。

2023年1月10日以降のWindows 8.1に何が起きているか?

 では、2023年1月10日以降、Windows 8.1はどのような状態になっているのだろうか? 主な変化を確認してみよう。

起動時にサポート終了の通知が表示される

 サポート終了後、最初の起動時に「このWindows 8.1 PCはサポートされなくなりました」という警告画面が表示される。前述した内容と同様、更新プログラムが提供されなくなることが表示され、[詳細情報]をクリックするとWindows 8.1のサポート終了に関するウェブページへと誘導される。

 この警告は、タスクスケジューラーによって繰り返し表示されるようになっており、左下の[リマインダーを3カ月間一時停止する]によって、一定期間、停止することもできる。

警告が表示される

Windows ストアが使えなくなる

 上で紹介した画面にも記載されているが、サポート終了後、「Windows ストア(現Microsoft Store)」からアプリのダウンロードができなくなる。アプリの一覧は表示されるが、ダウンロードしようとすると「このアイテムは利用できなくなりました」と表示される

アプリをダウンロードすることはできない

 この表記だと、アプリ側に問題があると誤解されそうだが、Windows ストア自体が利用停止となっており、全てのアプリをダウンロードできなくなっている。

 これは、過去に購入・ダウンロードしたアプリも同様だ。つまり、アンインストールしたら、二度とインストールできないので、どうしても使う必要があるアプリはアンインストールしない方がいいだろう。

 なお、インストール済みのアプリに関しては2023年6月まで更新されるとされているが、一部のアプリは、すでに使えなくなっているものもあり、もはや利用は厳しいと言える。

アプリの中にはすでにコンテンツが利用できなくなっているものもある

IE 11はそのまま利用できるが、Edgeは毎回通知が表示される

 今回テストした環境では、Internet Explorer 11とEdgeの両方がインストールされていた。IE 11に関しては、特定のサイトを表示できなくなってはいるものの、ウェブブラウザーとしては特にサポート終了の表示もなく、そのまま利用できた。

IE 11は特にサポート終了に関する表示はなし

 一方、Edgeに関しては、起動すると、毎回、必ず「Microsoft Edgeは、このバージョンのWindowsではサポートされなくなりました……」と表示されるようになる(非表示にする方法があるかどうかは不明)。

 なお、Edgeに関しては、Windows 8.1のサポート終了に合わせてリリースされたバージョン109(検証環境では109.0.1518.55)が最後のバージョンだ。今後は、Edgeに関しても新機能やセキュリティアップデートは適用されないことになる。

Edgeはサポートされなくなったことが毎回表示される。また更新も今後は提供されない

Office 2013/2016のサポートはまだ終了していない

 Officeアプリに関しては、利用形態やバージョンによって対応が異なるが、PCにプリインストールされている製品を利用するケースが多いだろう。この場合は、基本的に固定ライフサイクルポリシーに従うことになる。

 Windows 8.1が最新だった時期に発売されたOffice 2013および2016の、固定ライフサイクルポリシーにおける延長サポートが終了になるのは、Office 2013が2023年4月11日、Office 2016が2025年10月14日。そのため、現在でもOfficeの更新プログラムは利用できる。

プリインストール版の場合であれば固定ライフサイクルポリシーが適用されるため、Office 2013やOffice 2016でも更新可能
Windows 8.1+Office 2016のテスト環境。アプリの利用や更新は可能だが、更新履歴のページなどはリンク切れになってしまった

 このため、しばらくの間はWindows 8.1でOfficeアプリを利用することは可能だが、OSそのものの更新が停止してしまうため、安全な状態で使えるとは言い難いところだ。

OneDriveは2022年3月から同期されなくなっている

 現在のWindows 8.1でもっとも困るのは、OneDriveがすでに停止してしまっていることだ。

OneDriveの同期は、今回のサポート終了より前、2022年3月で終了している。せめてメッセージは「PC設定を開いてWindowsを更新する必要があります」ではなく、「OneDriveの同期は終了ました」と表示してほしい

 Windows 8.1では、個人向けのOneDriveクライアントの同期が1年近く前の2022年3月1日から停止しており(法人向けは同期可能)、今回のOSサポート終了以前から、すでにクラウド上のデータとの整合性が取れない状況となっている。

 マイクロソフトサイトでも、Windows 8.1からほかのOS環境への移行にOneDriveの利用を推奨しているのだが、実は同期できないとなると、いささか使い勝手が悪い。

 もちろん、ウェブブラウザーを起動してOneDriveにアクセスすれば、クラウド上のデータを参照できるうえ、ドラッグでファイルをアップロードすることもできる。このため、普段の利用や移行に利用することも不可能ではない。

OneDriveにファイルをアップロードするにはウェブブラウザーを開いてドラッグする。エクスプローラーから[オンラインで利用]などを選択しても、OneDriveの同期が終了していることは分かりにくい

 しかしながら、自動的に同期しないとなると、初心者はデータの移行に手間取ることになる。

 反対に「移行のためにWindows 8.1のサポート終了後もOneDriveとの同期は特別にサポートします」というなら高く評価できたが、「サポートが終了するさらに前から同期が止まっていました」というのは、なかなか酷な話だ。

手間はかかりそうだが新PCに移行を

 以上、サポートが終了したWindows 8.1がどうなったのかを検証してみた。PCとして使えなくはないが、セキュリティだけでなく機能面でも問題があり、事実上は厳しい印象だ。

 Windows 8.1からWindows 11への直接アップグレードはできないうえ、ハードウェアの性能や耐久性を考えると、新PCへの買い替えを推奨したいところだが、OneDriveの同期ができなくなっているため、データの移行が大変だ。USBストレージなどを使って移行するしかないだろう。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 11」ほか多数の著書がある。