清水理史の「イニシャルB」
「LTE使い放題」もYAMADA SIMでついでにチェック LTE対応の8インチWindowsタブ「EveryPad Pro」
(2014/11/10 06:00)
国内初とされるLTE対応の8インチタブレット「EveryPad Pro」がヤマダ電器から発売された。デルと共同開発された製品で、デルからすでに発売されているVenue 8 Pro 3GからCPUとWWAN機能が強化されているのが特徴だ。期間限定で購入者にプレゼントされるYAMADA SIM(u-mobile)を利用したLTE使い放題とともに、その使用感をお届けする。
見た目は控えめに中身をしっかり強化
見た目で判断できる違いは、背面のロゴくらいだろうか。
ヤマダ電器とデルが共同開発したEveryPad Proは、デルが昨年末に発売したVenue 8 Proがベースとなっており、並べてみると、両者を見分けるのが困難なほど、その見た目はそっくりだ。
せっかくの量販店スペシャルモデルなのだから、販売する側とすれば、もう少しデザインを工夫したくなりそうなものだが、その違いを意識させるような見た目の違いはロゴ以外になく、その唯一の違いですら、保護カバーを装着するなりすれば(ステッカーは背面が滑り止めで凹凸があるため難しい)、まったくわからなくなってしまう。
普段持ち歩くことを考えると、大きなロゴなり、奇抜なデザインは、あまり歓迎すべきところではないので、消費者としては、デザイン的な実用性がさほど犠牲になっていないことは評価したいところだ。
見た目が控えめな一方、中身はしっかりと最新モデルらしく仕上げられている。以下は、両者のスペックを比較した表だ。
Venue 8 Pro 3G | EveryPad Pro | |
価格 | 47,498円 | 59,184円 |
CPU | Atom Z3745D(1.33/1.83GHz) | Atom Z3775D(1.49/2.41GHz) |
RAM | 2GB | 2GB |
ストレージ | 64GB eMMC | 64GB eMMC |
液晶 | 1280×800 8型 IPS | 1280×800 8型 IPS |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n | IEEE802.11a/b/g/n |
WWAN | DW5570e HSPA+ | DW5810e 4G LTE※ |
バッテリー | 4830mAh | 4830mAh |
サイズ(厚さ×幅×長さ) | 9×130×216mm | 9×130×216mm |
重量 | 395g | 405g |
OS | Windows 8.1 with Bing | Windows 8.1 with Bing |
Office | Office Home and Business 2013 | Office Home and Business 2013 |
保障 | 1年間引き取り | 2年間引き取り |
- ※:LTE バンド帯 1~5/8/13/18/19/20、WCDMA Band 1/2/4/5/8、2G 850/900/1800/1900
こちらも、一見、同じように見えるが、CPUがAtom 3745D(通常時1.33GHz/ブースト時1.83GHz)から、Atom 3775D(通常時1.49GHz/ブースト時2.41GHz)へとアップグレードされているうえ、モバイルブロードバンド接続用のモジュールが従来の3G対応からLTE対応へと変更されている。
AndroidやiOS搭載のタブレットには、通信機能を内蔵した製品が多く存在するが、Windowsタブレット、それもモバイル用途の8インチ製品には、これまで通信機能を内蔵する製品があまり存在しなかった。
このため3G対応ながらも、DELLのVenue 8 proが登場したときは8インチWindowsタブの本命と言われたものだが、これがようやくLTE対応となったわけだ。
CPUの高速化に関しては、正直、さほど実感できるシーンは多くないが、通信速度の高速化は、Webの閲覧や各種サービスの利用時に大きく影響する。実際、同じ環境で3G版とLTE版を使い比べてみると、確実にLTE版の方が軽快に動作する。
例えば、Webページを表示した際など、3G版は読み込みを開始するまでに若干もたつく印象があるが、LTE版ではサッと読み込んで、サッとページを表示できる。もちろん、LTEの方が実行速度も高いため、大容量ファイルのダウンロードなども高速化されるが、全体的なレスポンスが格段にいい印象だ。
また、筆者が所有しているVenue 8 Proは、3G通信が安定しない傾向があり、Webページを表示して、しばらくそのページを読んでいると、その間に通信が切断されてしまったり、スリープからの復帰で通信できないことがあったり、デバイスマネージャー上で通信モジュールが見失われたり、OS上でなぜかスリープが無効になってしまうことがあった。
しかし、EveryPad Proでは、通信モジュールが変更された影響か、数日使ってみた限り、突然の通信が切断されるようなこともなく、スリープからの復帰後も問題なく通信できている。3Gモデルの不具合は個体差によるものかもしれないが、全体的な安定性も改善しているのもEveryPad Proのメリットと言えそうだ。
Venue 8 Proにしろ、EveryPad Proにしろ、本製品を選ぶのは、単体で通信できるWindows端末を持ち歩きたいという欲求が大きい。そういった意味では、通信速度だけでなく、安定性も向上したEveryPad Proは、魅力的なハードウェアと言えそうだ。
u-mobileの「LTE使い放題プラン」も選べるYAMADA SIMが付属
本製品で注目されるのは、ハードウェアだけではない。期間限定となるものの、購入者にYAMADA SIM(別途契約が必要)、Windowsギフトカード2000円分、専用タッチペン、専用液晶保護フィルムがプレゼントされるのだが、このうちのYAMADA SIMがU-mobileのサービスを利用したものとなっているのだ。
詳しくはこちらのニュース記事を参照していただきたいが、同サービスでは、11月1日から月間の通信容量に制限がなく、通信速度の制限もない「LTE使い放題プラン」を月額2678円(税込み、税別2480円)で提供開始している。
EveryPad ProでプレゼントされるYAMADA SIMでも、このプランを選択可能となっており、通信容量や速度を意識せずにタブレットを利用することができるようになっている。
残念ながら提供されるSIMは、SMSなしのものだったが、SIMのパッケージに記載されている設定用のWebページにアクセスし、電話番号と製造番号を入力後、プラン選択で「LTE使い放題プラン」を選択することで、無事に上記サービスでSIMを有効化することができた。
注目の品質だが、残念ながらあまり期待できない。今回のテストは限られた環境でのみ実施したものとなるため、あくまで一例にすぎないが、以下のように、ほぼ同じ時間帯に同じ場所、同じ機器から速度を計測した場合に、もっとも遅い結果になってしまった。
先のニュース記事にも記載されているように、U-NEXTは、新サービスに備えて回線の増強工事を実施しているうえ、今後もサービス向上に取り組む方針を示しているが、いろいろな時間帯に計測しても、下りは500kbps前後となった。
スペック上の通信速度は下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsとされているが、現段階では、その実力を十分に発揮できているとは言えそうにない。
nasneのリモート視聴などの登場で、2~3Mbps前後の速度でかまわないので、容量を気にせず使えるサービスの登場が求められているだけに、今回のサービスは注目度も高かったが、今回の結果は少々残念だ。
もちろん、筆者の計測は限られた結果なので、計測場所や時間によっては、まったく別の結果となることも考えられる。利用を検討している場合は、他のレビュー記事での結果や今後の回線増強予定など、もう少し、様子を見てから契約することをおすすめする。
納得できる+12000円の価格差
以上、ヤマダ電機とDELLが共同開発したEveryPad Pro、およびYAMADA SIMによる「LTE使い放題」プランを検証してみたが、8インチのWindowsタブとしては良い選択だと言える。
Venue 8 Pro 3Gの47498円から、12000円ほど高くなり、価格は6万円近いの59184円となったが、LTEに対応したことは大きな進歩で、回線さえ選べば、外出先で使う上でのストレスは大幅に軽減する。地味ながら保証期間も2年(Venue 8 Proは1年)となっている点も評価できる。
PCと同じブラウジング環境、Office環境を外出先でも利用したいと考えているユーザーの選択肢の1つにはなりそうだ。
【お詫びと訂正】
初出時、EveryPad Proの価格を税別価格で記載しておりました。お詫びして訂正いたします。