清水理史の「イニシャルB」

ChatGPTでの検索結果は適切か? ショッピングアシスタントでWi-Fiルーターのおすすめを聞いてみた
2026年1月19日 06:00
ChatGPTはどのWi-Fiルーターをおすすめしてくれるのか? 2025年末にリリースされたChatGPTのショッピングアシスタントを利用して、おすすめのWi-Fiルーターとしてどのような機種がリストアップされるのかを検証してみた。結果そのものにも興味があったが、はたして「何を根拠」に製品をピックアップするのか? 長年、Wi-Fiルーターの検証を続けてきた本連載が出典として使われるのかも気になっており、実際に試してみた。
若年層を中心とした検索行動の変化
いくつかの調査報告書でも指摘されているが、若年層を中心に検索に生成AI(主にChatGPT)を利用するケースが増えている。
確かに生成AIによる検索は簡単だ。「検索→ページ表示→内容チェック→別ページ表示」というステップを繰り返さずに済む上、複数ページを統合して端的に回答をまとめてくれる。
個人的な印象としても、古い情報や明らかな広告などを回避してくれる印象があり、利便性は高いと感じる。EdgeのCopilotモードも、当初は違和感しかなかったが、すっかり生成AIでの検索にも慣れてしまった。
6割は適切な商品をリストアップできるChatGPTのショッピングアシスタント
そんな状況の中、2025年11月からChatGPTの機能として「ショッピングアシスタント」が利用可能になった。ショッピング機能自体は、以前から提供されていたが、より使いやすく、進化した機能として改めて利用可能になった。
OpenAIの公式情報によると、ショッピング用途向けに強化学習で学習したGPT-5 Thinking-miniモデルを利用しており、「信頼できるサイトを読み取り、信頼性の高い情報源を参照しながら、複数の情報を統合して質の高い商品情報をまとめられるよう設計されています」と記載されている。
▼ショッピングアシスタントの説明
ChatGPTのショッピングアシスタント
OpenAIは、ChatGPTの検索エンジンを「サードパーティ製の検索エンジン」と記載しており、EnterpriseとEduに関してのみBingを利用していることを明らかにしているが、こうした既存の検索システムに、ショッピング向けに最適化されたモデルを組み合わせることで、ユーザーのリクエストに対して、高い精度の回答が得られるとしている。
▼ChatGPT Enterprise、Eduの検索エンジンに関する説明
ChatGPT Search for Enterprise and Edu
公式資料によると、テストケースにおいてモデルがおすすめとしてリストアップされた商品のうち、ユーザーの要件を満たしている商品の割合は、ChatGPT-Searchが37%、GPT-5-Thinkingモデルが56%であるのに対し、ミニモデルのショッピングアシスタント(Shopping Research)が64%となっている。
つまり、ショッピングアシスタントを利用すれば、欲しい商品と条件を指定すれば、6割ほどの確率で適切な商品がリストアップされるわけだ。逆に言えば、適切ではない商品も含まれる可能性があるということだが、それがどんな製品なのかも気になるところだ。
使い方は簡単で、ChatGPTへの質問時に「+」ボタンから「ショッピングアシスタント」を選択し、「Wi-Fiルーターのおすすめを教えて」のように質問する。
すると、ショッピングサイトやウェブ上のレビュー記事などの検索が開始される。この際、画面上に、予算や接続台数、利用環境(戸建てやマンション)などの質問が表示されるので、回答することで製品を絞り込むことができる。
また、質問の後半には、具体的な機種が例として次々に表示されるので、同じような機種を探してほしい場合は「More like this」、検索対象から外したい場合は「Not interested」を選択することで、より精度を高めることができる。
後述するテスト結果でも明らかだが、この質問は結構重要で、特に価格についてはかなり重要視される。質問に回答しなくても、おまかせで検索することはできるが、基本的には全てに回答することをおすすめする。回答が完了すると、しばらくして結果が表示される。
Wi-Fi 7ルーターのおすすめを聞いてみた
というわけで、ChatGPTのショッピングアシスタントを使って、おすすめのWi-Fiルーターをリストアップしてもらう実験をした。
この分野なら、回答結果が妥当かどうかを判断しやすいこともあるが、何より、OpenAIが言うところの「信頼性の高い情報源」がどこなのか? 果たしてINTERNET Watchや本連載が参照されるのかどうかが非常に気になるポイントだ。
テスト1:あいまいに聞く
まずは、「おすすめのWi-Fiルーターを教えて」と漠然と入力してみた。質問には、「2万円以下」「戸建て(3階以上)」などを選択し、モバイルルーターなど明らかに異なるジャンルの製品は除外している。
すると、もっともおすすめの製品(Best overall)として、TP-Linkの「Archer BE220」が推奨された。この製品は、エントリークラスの代表的な製品で、実売価格も1万円以下とリーズナブルだ(セールになるともっと安い)。2882Mbps+688Mbpsのデュアルバンドで有線も1Gbpsなので、1Gbps回線向けとなるが、確かに万人におすすめできる製品となっている。2万円以下の指定で、この製品がBestとして表示されるのは納得と言える。
加えて、有力モデルとして表示された4製品は以下になった。国内メーカー製品としては定番のバッファローの「WSR3600BE4P」の選出も納得だし、Archer BE220と価格では互角ながら2.5Gbps有線に対応しており高コスパなエレコムの「WRC-W701-B」にも納得だ。
唯一、疑問なのはAmazonの「eero 7」だ。この製品は、メッシュ対応の製品で1台でも利用可能だが、基本的には2台セットで使うことになる。1台なら予算内だが2台だと超えてしまう。おそらく、利用環境で「戸建て(3階以上)」を選択したので、メッシュ対応製品がリストアップされるのは妥当だが、価格が少し上になる。
結果、4製品のうち3製品は個人的にも納得なので、前述した6割を超え7割は適切という判断ができる。
そして、もっとも気になる「信頼性の高い情報源」だが、出典として「INTERNET Watch」が多用されている。他媒体の記事も引用されているが、採用率としては、本連載の記事が最も多い。
この回答から利用者がINTERNET Watchにアクセスしてくれるかどうかは別問題なので、サイトの運営元となるインプレスの判断は分かれる可能性があるが、筆者的にはChatGPTに「信頼性の高い情報源」と認定されたことは、素直にうれしい。
テスト2:詳細な条件を指定する
続いて、「10Gbps回線で使うWi-Fi 7ルーター。予算別おすすめ」と、もう少し詳細な条件を付けて質問した。
このケースのポイントは、プロンプトもそうだが、実行後に表示されたChatGPTからの質問で、「2万円まで」「4万円まで」「7万円まで」のようにあえて複数の価格帯を選択しているのがポイントとなる。
結果、選出された4製品は3万円台、4万円台、それ以上と、価格帯別で表示され、Best overallとしてアイ・オー・データ機器の「WN-7T94XR」が選出された。これはこれで参考になるが、各価格帯で複数製品を比較できないのが欠点となる。
実際、WN-7T94XRは、筆者も個人的に所有しているが、WAN側10Gbps対応、5765+2882+688Mbpsのトライバンドで、実売2万円台とコスパが高い、いい製品となっている。が、競合として、ほぼ同スペックのエレコム「WRC-W703-B」も存在する上、デュアルバンドながら10Gbps対応で実売2万円を切るTP-LinkのArcher BE450もリストから外れてしまっている。
価格帯別のという切り口は、ショッピングアシスタントでは各価格帯の候補が絞り込まれ過ぎるため、あまり適していない印象だ。ほかの質問もそうだが、基本的に価格を絞り込むのがこの機能をうまく使うコツかもしれない。
テスト3:利用シーンを指示する
ということで、3回目のテストでは、上記テスト2ではうまく行かなかった価格帯以外で、次のようにもっと詳細な指示をしてみた。
Wi‑Fi 7ルーターを用途ベースで選びたいです。
・Zoom会議が多い
・NASへの2.5GbEアクセスを重視
・スマートホーム機器を安全に使いたい
・難しい設定は避けたい
これらの条件に最適なWi‑Fi 7ルーターを提案してください。
結果は、TP-Linkの「Archer BE400」がBest overallに選出され、アイ・オー・データ機器の「WN-7D36QR」、エレコム「WRC-BE36QSD-B」、Xiaomi「BE3600 Pro」が選出された。
NAS接続を想定した2.5Gbpsの有線対応ということで、Archer BE400が選出されたのは妥当だが、価格を考えると+2000円ほどでWAN側10Gbps対応となるArcher BE450も買えるので、微妙な判断と言える。
また、WN-7D36QRとWRC-BE36QSD-BはWAN側のみ2.5Gbps対応となる。この点は、各機種のレビューの「トレードオフ」の項目で、「2.5GbEがWAN/LANでどのような使い分けになるかは設置環境次第」と触れられているので、ある意味、ユーザーに判断を任せる回答になっている。
このように、妥当な回答と思える部分もあるが、「そう来たか……」と思える選択肢もある上、よく読むと注意点があるケースもある。
テスト4:露出の少ない製品の検索
最後は、「小規模なオフィスで、専任管理者不在でも簡単に使える法人向けのWi-Fi 7アクセスポイント」として法人向け製品をリストアップしてもらった。
このケースのBest overallはNETGEARの「WBE750」となり、TP-Linkの「Omada EAP733」、エレコムの「WAB-BE187-M」、Zyxelの「WBE660S」、Arubaの「AP-735」がリストアップされた。
法人向けに関しては、全体的に海外の情報が参照されるケースが多かった。エレコムの製品は出典がINTERNET Watch、ArubaやMerakiは国内のSIerのサイトが出典となったが、ほかは海外のサイトが参照された。
これは、国内のメディアなどであまりレビューが掲載されていないことが要因と考えられる。YAMAHAやバッファローも候補として上がらなかったのも、同じようにメディアでの情報掲載が少なく、ChatGPTの検索から外れてしまっているからと推測される。
ウェブ検索がベースにあっているので当たり前とも言えるが、専門性が高く、ネット上に情報があまりない製品に関しては、ChatGPTのショッピングアシスタントが苦手とする分野と言えそうだ。
ニッチなサイトの価値が見直される
以上、ChatGPTのショッピングアシスタント機能を使って、生成AIによる検索の結果を検証してみたが、思ったよりも適切な結果が表示される印象だ。
もちろん、今回の結果のように、もっと適切な候補がほかにある回答が表示されることもあるが、完全に的外れという感じではなく、回答を読めば「なるほど、そう判断したのか」と納得できるケースになっている。
実際に、ChatGPTの回答から即購入というケースはあまりないと考えられるので、あくまでも一意見として参考にしつつ、参照元のリンクからショッピングサイトの口コミを見たり、出典となる記事を参照したりしながら、適切な製品を選ぶといいだろう。
それにしても、Wi-Fiルーターに関しては、INTERNET Watchの本連載が参照される確率が非常に高いのには驚いた。
本連載でも注力してきたが、出典としてよく登場する他媒体を見ても、ベンチマークテストなどで実際の検証をしていたり、横並びで競合比較をしていたりする記事ほど多く採用されている印象がある。今後は、ニッチな分野に特化し、地道な評価を掲載しているサイトが評価される時代になると言えるだろう。
その一方で、法人向けWi-Fiルーターのように、記事としてあまり取り上げられていない分野は、現状、ChatGPTの出典となる国内サイトが少ないため、今後、コンテンツとしての需要が高まると予想される。ウェブ媒体としての価値が見直される時代と言えそうだ。



















