第333回:BIGLOBE「ウェブリアルバム 共有フォトフレーム」
写真・動画の共有や受け渡しに便利なWebサービス
BIGLOBEから写真や動画を手軽に共有できる「ウェブリアルバム 共有フォトフレーム」のサービス提供が開始された。フォトフレーム感覚で写真を楽しめる上、写真や動画の受け渡しにも便利なサービスだ。
●定番のないWebサービス
私事で恐縮だが、先日、友人ら十数名で海外へと旅行をした。金曜夜出発で日曜朝帰国という強行軍だったのだが、買い物や食事を楽しんできた。そして帰国後、それぞれが撮影した写真を受け渡しすることになったのだが、この方法がなかなか興味深かった。
オンラインアルバムを使う人、ファイル転送サービスを使う人、Yahoo!などのブリーフケースを使う人、さすがに自宅のNASを公開する人はいなかったが、とにかく各人がそれぞれ違う方法でファイルの受け渡しを行っていたのだ。
こうしたサービスは、それこそ数え切れないほどインターネット上に存在する。しかし、現状は有名なサービスはあっても、誰もが必ず使うほど定番と呼べるサービスは存在せず、人によって使うサービスがバラバラという状況だ。
どれも似たり寄ったりで大きな差がない、もしくはこだわるほどの理由がないというのが多様なサービスが存在する理由なのかもしれないが、その中でも、ようやく特徴的な機能を持ったサービスが登場してきた。それが今回取り上げる、BIGLOBEの「ウェブリアルバム 共有フォトフレーム」だ。
●Adobe AIRベースのアルバムをデスクトップに表示
「ウェブリアルバム 共有フォトフレームサービス」は、デスクトップ上に表示されたフォトフレームを利用して写真を共有したり、受け渡しできるサービスだ。
Adobe AIRベースで開発されたウィジェットをデスクトップ上に配置することで、ネット上にアップロードされた写真を表示することができる。インターネット上の写真をフォトフレームのように表示できるサービスは、リコーの「quanp」をはじめとして他にも存在するが、「ウェブリアルバム 共有フォトフレーム」の特徴は、フォトフレームをネット上の複数ユーザーで手軽に共有できるだけでなく、ダウンロードや写真の追加、コメントの挿入なども可能な点だ。
BIGLOBEの「ウェブリアルバム 共有フォトフレームサービス」。デスクトップ上のフォトフレームで写真の共有や受け渡しができる |
オンラインアルバムというとブラウザからアップロードや表示、ダウンロードなどをするイメージがあるが、本サービスではこれをデスクトップ上のフォトフレームで行えることになる。
使い方は簡単だ。「ウェブリアルバム 共有フォトフレーム」のサイトにアクセスし、「フォトフレームを作る」というボタンをクリックする。
すると、Adobe AIRベース(AIRが未インストールの場合は、同時にインストールされる)のアプリケーションがインストールされ、デスクトップ上に「ここに写真をドラッグ&ドロップして追加」というフレームが表示される。
ここで指示通り、PCに保存した写真をドラッグすれば(初回はニックネームの登録が必要)、ドラッグした写真がネット上にアップロードされ、フレームに次々に表示されるようになる。たったこれだけで、デスクトップ上のフォトフレームとして楽しめるというわけだ。
サイトにアクセスし、フォトフレームの作成を実行すると、Adobe AIRとアプリケーションがインストールされる | 自動的にデスクトップに追加されたフォトフレームにフォルダから写真をドラッグすれば自動的にアップロードされる |
●フル機能の利用には無償のユーザー登録が必要
ただし、このままでは機能がかなり制限される。「ウェブリアルバム 共有フォトフレームサービス」は、サービスレベルが2段階に分かれており、単純にアプリケーションをダウンロードしてインストールしただけの段階では、作成したフォトフレームの期限は1日となり、アップロードできる容量も100MBまでになる。また、アップロードした写真は自分で表示できるのみとなり、作成したフォトフレームを共有設定することはできない。
これに対して、もう1つのレベルがユーザー登録をした場合の利用だ。ユーザー登録を行なうと、作成したフォトフレームの期限は1カ月(31日間)となり、容量も700MBに拡大される。そして、このサービスの最大の特徴とも言えるフォトフレームの共有機能が使えるようになる。
機能をフルに活用したいならユーザー登録した方が良いのは確かだが、ユーザー登録は無償となっているものの、BIGLOBEのコンテンツコースへの申し込みが必要で、この際にクレジットカードの登録が必須となっている。年齢などもそうだが、このクレジットカードの登録が利用にあたってのネックになる場合はありそうだ。
サービス利用は無償だが、共有機能などを利用するにはユーザー登録が必要。BIGLOBEのコンテンツコースに加入することになる | ユーザー登録が完了すればフォトフレームの管理画面にアクセス可能となり、フォトフレームの共有もできるようになる。URLをメールで転送し、相手にもアプリケーションをインストールしてもらうことで共有できる |
共有の招待を受けた側は、サイトからアプリケーションをダウンロードすることで、同様にデスクトップにフォトフレームを表示可能。この場合、ユーザー登録しなくても写真の表示、追加ができる |
というわけで、基本的にこの2つのレベルは、ユーザーの役割で整理して使い分けるとわかりやすい。つまり、仲間内で写真を共有したり、受け渡しをしたい場合、幹事となるユーザー1人がユーザー登録をしてフォトフレームを共有設定し、このフォトフレームを他のメンバーにメールで通知する。
一方、他のメンバーは、すでに作成された共有フォトフレームを使えれば良いだけなので、ユーザー登録は必要ない。メールに記載されたURLをクリックして、Adobe AIRとアプリケーションをインストールすれば、共有されたフォトフレームがデスクトップに表示される。
ユーザー登録をしなくても、すでに共有済みのフォトフレームの場合は、写真を見ることはもちろん、写真をダウンロードしたり、追加することもできる。つまり、他のメンバーがアップロードした写真をダウンロードできるし、自分が撮影した写真を他のメンバーのためにアップロードすることもできるというわけだ。
ユーザー登録が必要なのは、あくまでも作成したフォトアルバムを共有に設定したい場合のみで、いったん共有されたフォトアルバムは未登録のユーザーでも問題なく利用できる。オンライアルバムサービスによっては、写真を共有するのに全メンバーのユーザー登録が必要な場合などもあるが、本サービスの場合は、最低1人の登録ユーザーがいれば事足りることになる。
●細かな使い勝手が抜群に良い
本サービスを使ってみて感心したのは、細かな使い勝手が非常に良い点だ。
写真のアップロードがドラッグで完了するのも手軽だが、ダウンロード自体も実に簡単だ。フォトフレームに登録されている写真をすべてダウンロードしたいなら、フォトフレームのメニューから[全写真をダウンロード]を選択するだけで良い。
オンラインアルバムサービスの中には、ダウンロードする写真を選ぶ必要があったり、ひどい場合には1枚ずつメニューからダウンロードなどといったように、その都度操作しないと写真をダウンロードできない場合がある。逆に本サービスでは、サムネイルは表示できるものの、その画面でダウンロードする写真を選べないが、とにかくすべてダウンロードし、整理はPC上でやるという考え方の方が個人的には便利な印象だ(1枚ずつのダウンロードは可能)。
表示中の写真を1枚ずつダウンロードできるのはもちろん、すべての写真を一気にダウンロードすることもできる | 写真のサムネイル表示は可能だが、選択ダウンロードには対応していない |
写真だけでなく動画のアップロードも可能。上限の700MBまでのサイズであれば、大きなファイルも短時間にアップロードできる |
また、やり取りできるファイルにあまり制限がないのも便利だ。対応するファイルはJPG/GIF/PNGなどの画像ファイルに加えて、MP4/3GP/3G2のほか、AVI(MotionJPEG/XVid/DivXコーデック)/WMV/MPEGなどの動画もサポートされる。
しかも、1ファイルあたりのアップロード制限もない。このため、せっかく高解像度で撮影したデジタルカメラの写真が変換されてしまうことがないのだ。また、上限容量である700MB以下であれば、大きな動画ファイルも問題なくアップロードすることができる。
加えて、転送速度も非常に速い。試しに、FTTH回線を利用して約400MBのMPEG-2ファイルをアップロードしてみたが、約3分ほどでアップロードが完了した(なぜかフォトフレーム上の表示はアップロード中のままだったが、ファイル自体は短時間でアップロードが完了した)。
オンラインアルバム、オンラインストレージサービスによっては、保管できる総容量こそGB単位と大きいものの、1ファイルあたりは数十MBとわずかであったり、アップロードやダウンロードの速度が制限されている場合がある。
しかし、本サービスは、これとはまったく方向性が異なる。総容量は700MB、保存期間も1カ月しかないが、1ファイルあたりの制限はなく、速度も回線や経路上の問題以外はほぼ制限されない。
残念ながらZIPなど、対応以外のファイルはアップロードできないのだが、写真と一緒にデジタルカメラで撮影した動画も共有したいといった場合にとても便利だろう。
●写真のやり取りにおすすめ
このように、BIGLOBEの「ウェブリアルバム 共有フォトフレームサービス」は、複数のユーザー間での写真のやり取りに非常に便利なサービスだ。手軽に写真や動画をアップロード/ダウンロードすることができるため、旅行やイベントなどで各人が撮影した写真を集め、再配布するのに適している。
700MB、1カ月という制限が気になる人もいるかもしれないが、容量は確かにもう少し欲しいものの、期間についてはむしろ1カ月ぐらいがちょうど良い。写真を保管しておくなら話は別だが、他の人への受け渡しの場合、いつまでもネット上に写真が存在するよりは、一定期間で自動的に削除されてくれた方が都合が良いし、手間もかからないだろう。
問題はユーザー登録にクレジットカード登録が必要な点くらいだろうか。本人確認も兼ねているのかもしれないが、無償のサービスなのだから、もう少し登録を簡単にして欲しいところだ。
Adobe AIRを使ったオンラインサービスも徐々に増えつつあるが、見た目の派手や面白さだけでなく、実際の使い勝手もよく考えられたサービスと言えるだろう。
関連情報
2009/3/10 11:06
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