週刊Slack情報局

SalesforceとSlackをよく知る人物が「Slack+Salesforce連携」について語る

 Slackの導入事例を紹介するオンラインセミナー「Why Slack? 導入事例セッション」を、Slack Japan株式会社が8月24日に開催した。今回のテーマは「Slack+Salesforce連携」。2020年12月にSalesforceによるSlackの買収が最終合意に達したため、今後、この2つのサービスのさらなる連携が期待される。

Slackの3つの利用方法とは?

 Slack Japanの伊藤哲志氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング グループマネージャー)は、2020年5月にSalesforceから転職したという、SlackとSalesforceをよく知る人物だ。転職した時期がコロナ禍ということもあり、「1回も会社に出社したことがない」「上司には1回しか会っていない」というほどだ。そのため、「Slackのリモートワーク環境下での有用性を自身で体験中」という。

Slack Japan株式会社の伊藤哲志氏(マーケティング本部 プロダクトマーケティング グループマネージャー)

 伊藤氏は「Slackはチャットアプリだと思っていないでしょうか?」として、Slackの3つの利用方法を示した。1つめは従業員同士がつながる「メンバーとつながる」、2つめは同じプロジェクトに参加している他社とつながる「パートナーとつながる」、3つめは「システム間がつながる」だ。今回のセミナーは、Slackと、システムであるSalesforceがつながることがテーマだ。

Slackの概念。まずコミュニケーションのつながりとして自社の「メンバー」があり、他社の「パートナー」がある。また、メンバーは「システム」と連携することで、さまざまな自社のシステムやクラウドサービスに接続できる

クラウドサービス/アプリが連携していないと、1日に30分以上の無駄が発生

 現在、コロナ禍によるテレワークで多くのクラウドサービスが利用されている。また、オンプレミスからクラウドへの移行も進んでいる。

 しかし、これらログイン情報のやり取りが不十分のため、複数のクラウドサービスを利用する際に手間がかかる。伊藤氏が示した調査結果によると、「現在ツールの切り替えに1日30分以上、無駄にしていると回答したナレッジワーカーの割合」は、64%にも上るという(出所:「The State of Work」、Slack、およびGlobalWebindex、2019年)。このような課題を解決するのがSlackだ。

さまざまなクラウドサービスを利用しているが、ほかのサービスとの連携は考慮されていないことが多い
このようにクラウドサービスやアプリが連携していないため、1日で30分以上の無駄が発生しているという調査結果がある

 Slackには、機能を拡張したりほかのサービスと連携できたりする「アプリ」が用意されている。SlackのAPIは公開されているため、誰でもアプリが開発できる。社内だけで利用するアプリも開発できるが、「Slack App ディレクトリ」には2500以上のアプリが公開されているため、すぐにSlackに機能が追加できる。そのため伊藤氏は「Slackはアプリケーションの連携プラットフォーム」としている。

 アプリの導入は簡単で、アプリの「Slackで開く」のボタンを押して、アプリにログインすると連携が完了だ。その後は、あたかもSlackの機能の一部として動作する。

 Slack App ディレクトリには、Microsoft 365、Google Workspace、Zoomなど利用者が多いサービスと連携するアプリが公開されている。Salesforceと連携するアプリもあり、今回のテーマとなっている。

Slackはアプリによって、Microsoft 365、Google Workspace、Zoom、Salesforce、Amazon Web Serviceなど、メジャナーなクラウドサービスと接続できる
デモ画面ではSlackにサインインしていないため「サインインしてインストールする」と表示されるが、実際には「Slackに追加」のボタンを押すと接続先のアプリのIDとパワードを入力することでSlackのアプリとして利用できる

SlackとSalesforceが連携すると「必要な情報がSlackに集約できる」

 SlackとSalesforceが連携すると、SalesforceのイベントをSlackに通知したり、SalesforceのレコードをSlackに送信したりできる。また、Salesforceを開かなくてもSlackでレコードの変更が可能だ。このようにSlackとSalesforceを連携させることで、「必要な情報がSlackに集約できる」としている。

Slack上からSalesforceのレコードの検索やプレビューが行える
Salesforce上からSlackにレコードが送信できる

 SlackとSalesforceの連携だが「現時点は、まだ限られている」という状態だ。「生産性の高い、コラボレーションが行える」と期待しており、連携に力を入れていくとしている。

一般企業でも利用が広がっているビジネスコミュニケーションツール「Slack」。Slack Technologiesの日本法人であるSlack Japanはこのツールのことを“ビジネスコラボレーションハブ”と表現しており、あらゆるコミュニケーションやツールを一元化するものと位置付けている。本連載「週刊Slack情報局」では、その新機能やアップデート内容、企業における導入事例、イベントレポートなど、Slackに関する情報をお届けする。