テレワークグッズ・ミニレビュー
第5回
在宅勤務中に始まった解体工事で絶望、ソニーの新製品ノイキャンイヤホン「WF-1000XM4」購入に至るまでの顛末
2021年7月16日 12:32
新型コロナの影響で、テレワークを余儀なくされている読者も多いだろう。かく言うINTERNET Watch編集部でもそれは同じ。それぞれの住環境の中で、テレワーク環境をより改善すべく日々工夫を凝らしている。そこでこの連載では、そんなスタッフが実際に使ってオススメできると思ったテレワークグッズのレビューをリレー形式で紹介していく。
始まってしまった解体工事
コロナ禍以降、会社からは原則リモートワークを命じられ、同時に全社フリーアドレス化のために、編集部に置いていた機材や資料、私物などは全て撤収することになった。
編集部のスタッフは在宅勤務のために機材を新調するなど、自宅の環境改善のために熱を上げている。その一方、自分の場合は無慈悲にも自宅の隣にあるマンションの解体工事が始まってしまったのだ。これが想像以上に大変なことになった。
すさまじい音を立てながら建物が解体されていくのだが、同時に地震のような大きな揺れが3~5秒の間隔で発生し、自宅がものすごく揺れる。そして、作業員の怒号も飛び交う。これが朝早く(ひどいときは朝5時台から)から夜まで、つまり、自宅で仕事の作業をしている間はずっと、この騒音と振動に悩まされることになってしまった(※区役所にも相談済みだが改善されていない)。
騒音は耳栓などを使ってもまともに防ぐことができず、途切れることのない揺れは体調を悪化させてしまい、作業員が撤収したあとや、自宅から離れた場所にいても身体が揺れるような感覚が残ってしまった。日曜日のみ解体作業は行わないことになっているが、それでも週6で行われるのはかなりつらい。
なるべく自宅での作業は避けたいが、オンライン会議などの作業を含め、安心して作業できるような場所が調べても近場にはない。自宅から遠すぎず、空いていて、作業に集中できる環境が整った場所はないか考えたとき、結果的に候補として残ったのが会社だった。
会社には事情を説明して許可を得たため、結局、交通機関が混雑する時間帯を避けたオフピーク通勤で毎日ではないが出社している状態だ。
オンライン会議用のイヤホンを見直し「WF-1000XM4」で通勤時間も楽しむことに
出社するとはいえ、従来と同じ働き方ができるかというとそんなことはない。他のスタッフが在宅勤務を行っている以上、オンライン会議が必須だし、出社していても従来とは勝手が異なる。加えてフリーアドレスになったので、持ち運びを前提に機材をそろえる必要がある。
そんな中、オンライン会議で使い続けていた2000円程度のマイク付きイヤホンに接触不良が起こりやすくなった。相手側によれば声が聞こえなくなったり、ノイズが聞こえるようになったりするとのこと。今後も記者説明会や編集部の打ち合わせでオンライン会議が頻繁に行われるので、これを機会に買い替えることを決定。
せっかくなら、オンライン会議では自分の声が相手に聞こえやすく、マスクを付けていてもコードが邪魔にならず、本体は持ち運びやすいものが望ましい。音楽鑑賞用に別の有線タイプのイヤホンを使っていたが、この際、仕事にも趣味にも耐えうるものにまとめることができればありがたい……。
そんなわがままな要望に応えてくれたのが、ソニーが6月25日に発売した完全ワイヤレスイヤホンの「WF-1000XM4」だ。
本製品は発売が発表された時点から多くのレビューが出回っているため、詳細な説明は省くが、結論から言えば、期待どおりのスペックを備えて登場してくれた。
元々、2019年7月に発売された前モデルの「WF-1000XM3」が人気だったこともあり、後継機が発売されることに注目が集まっていたが、WF-1000XM4では統合プロセッサー「V1」を搭載することで、ノイズキャンセリング機能や音質面などが強化されたほか、イヤホン本体は10%小型化、充電ケースも40%と大幅の小型化を実現。ソニーの完全ワイヤレスイヤホンとして、ハイレゾが楽しめるBluetoothの高音質コーデック「LDAC」に初めて対応するなど、順調に進化している。
マイク性能も向上しているため、オンライン会議の利用にも適している。ビームフォーミング技術により口元への指向性を高めたマイクと、骨振動センサーで通話の声もクリアに集音してくれる。実際、ノイズが乗る前のイヤホンを使っていたときよりも、自分の声が聞き取りやすくなったことや、周りの雑音を余計に拾わなくなったとの声もあったので、そこはしっかり機能しているようだ。もちろん、相手の声も問題なく聞き取ることができている。
音楽を再生していない状態でのノイズキャンセリング機能の効果については、電車内であれば隣で話している人の声や車内放送は聞こえてしまうが、空調音や窓が開いた状態でも走行音はしっかり消してくれた。社内では、あらゆる機材が発するノイズや外の騒音も消してくれるので、集中して作業したいときに活躍してくれる。
また、外音取り込み機能は非常に自然な聞こえ方になっていることに加えて、前モデルで要望の多かった風ノイズを低減する機能も搭載している。会社にいるときは、ノイズキャンセリング/外音取り込み機能を状況に合わせて使い分け、装着したまま過ごしている時間が多い。
専用アプリ「Sony | Headphones Connect」を使えば、本体に搭載されたタッチセンサーに割り当てる機能の変更や、場所に応じてノイズキャンセリング機能や外音取り込み機能を自動で切り替える「アダプティブサウンドコントロール」の設定、付属のイヤーピースの中から自分の耳に合ったサイズの判定を行うことができる。
圧縮音源をSBC/AAC/LDACのコーデックで再生する際、最大96kHz/24bitまで拡張してハイレゾ級の高音質で楽しめるという「DSEE Extreme」機能も同アプリから利用できる。LDACに対応していないiPhoneでも、ワイヤレスで高音質を楽しむことができるのも特徴だ。
前モデルにはなかった、IPX4相当の防滴性能も備えているので、梅雨で雨が降りやすく、暑くて汗もかきやすい今の時期には心強い。また、スマートフォンとのBluetooth接続については、今のところ屋内や街中で急に接続が途切れるようなことは起こっていない。
バッテリーの持続時間に関しては使用するコーデックや、ノイズキャンセリング機能、DSEE Extreme、イコライザーなどのオン/オフ状況によって変わってくるが、自分の場合は充電ケースを使わずとも勤務時間中はイヤホン本体のバッテリーのみで耐えることができており、バッテリー切れを気にせず使えている。
気になるのはイヤーピースのフィット感、頻繁に発生する「ボワッ」とした音
本製品の難点を上げるとすれば、イヤーピースのフィット感が気になったところだ。付属の「ノイズアイソレーションイヤーピース」は、ポリウレタンフォーム素材を使用しており、ノイズキャンセリング機能を使っていない状態でも高い遮音効果が得られたことは驚いたが、筐体が耳のくぼみに収まるデザインであることも関係しているのか、イヤピースのサイズを変えても使い始めたばかりのころは、3時間ほど装着していると耳の穴の周りが痛くなることがあった。
使い続けているうちに痛みを感じることがなぜか少なくなってきたが、人によっては悩む可能性があるかもしれない。
また、ノイズキャンセリング/外音取り込み機能を使っている場合、一瞬だけ効果が途切れる瞬間があるのか、「ボワッ」っと異音が発生することが頻繁にあった。もし、ソフトウェアのアップデートで解消されるのであれば、それを期待したい。また、予想通りではあるが、ノイズキャンセリング機能があっても解体工事中の騒音には敵わなかった。騒音問題を解決したとしても振動の問題が残っているので、自宅での作業は相変わらず厳しい。
価格は税込3万3000円程度となかなか高いこともあって、さすがに全体的にレベルの高い仕上がりになっている。自分の場合は解体工事が始まったことで大変な目にあったが、WF-1000XM4を使い倒すには絶好の機会だと前向きに考えたい。