急遽テレワーク導入!の顛末記

「Chatworkと他のサービスを連携させて、通知の確認場所を1つにまとめてみた」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(169)

作業中に画面を横断しながら操作する手間を省いてみた

連携機能や自動化ツールを使って、UIや通知先を一つの画面に統合させる

 最近始まったプロジェクトで、チーム内での連絡に「Chatwork」というビジネスチャットサービスを使うようになった。その一方で進行管理は「Trello」で、ファイルの管理は「Dropbox」を使っているので、ツール間をまたいでの操作が手間になっている。

 ……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて221日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で今回はなるべく画面を行き来しながら作業をしなくて済むように、サービス連携の機能を活用してみた。

【今回のハイライト】
サービス連携機能を試してみると…
2つのサービスの操作が1画面で可能に
自動化ツールで通知を1画面に集約させる

12月8日(金):1つの作業で3つの画面を行ったり来たり……

 今日は「Chatwork」に取引先から問い合わせがあったので、「Trello」を使って進捗状況をチェックしつつ、コメント機能を使って社内の担当者にメッセージを送信。午後になると、その担当者から「必要なファイルをDropboxにアップした」と回答があったので、ファイルのリンクURLを発行し、「Chatwork」を使って取引先と共有した。

 ――ここまでの作業で、筆者は3つの画面を行き来しながら操作を行うことになった。その間は各ツールで更新通知がないかをチェックする必要もあるので、ブラウザーで各サービスの画面を表示しっぱなしに。おかげでタブを占有されるし、メモリの消費量も増えてしまう。

 操作が煩雑になったり、チェック箇所が複数にわたると、ヒューマンエラーの原因になりかねない。これらの操作はもっとシンプルにまとめたいところだ。

最近では「Chatwork」や「Trello」の画面が、ブラウザー上で常に表示されっぱなしになっている……

12月11日(月):「Chatwork」を「Box」と連携させてみた!

 現プロジェクトでは「Chatwork」が操作の基点になっているので、他のサービスと連携できないか調べてみたところ、どうやら「Box」と「Zoom」についてはデフォルトで連携機能を用意しているらしい。現在はファイルの管理に「Dropbox」を使っているが、特にこだわりはないので、「Box」に切り替えるのもアリだろう。

 さっそく、「Box」とのサービス連携を有効にすると、「Chatwork」のUI上に「Box」のディレクトリ構造を表示して、ファイルをアップロードしたり、そのファイルを共有したりすることが可能になった。これなら、いちいち画面を切り替えながら作業しなくて済む。というか、“「Chatwork」にファイル管理機能を追加した”といったぐらいに馴染んでいるので、操作が一気に楽になった。

ブラウザー上で「Chatwork」の「サービス連携」画面を開き、「Box」のスイッチを「有効」に切り替える
「Box」のアカウント認証が行われるので、「Chatwork」と連携させる
チャット画面の上にクリップ型のアイコンが表示されたので、クリックして「Boxのファイルを共有」を選択すると……
「Chatwork」の画面上で「Box」のディレクトリをたどってファイルをアップロードしたり……
新たにフォルダを作って、そこにファイルをアップロード。このファイルを「Chatwork」で共有することもできた

 「Chatwork」には標準で「ファイル管理」機能が用意されているのだが、これはチャット中にやり取りしたファイルを一覧で表示・検索するためのもので、「Box」や「Dropbox」のようにフォルダ構造でファイル整理することができない。そこで、ファイル管理ツールを別途導入することにしたのだが、今回のようにサービス間連携機能が埋め込まれていれば、操作性をかなり向上させることができそうだ。

「Chatwork」にもファイル管理機能が用意されているが、チャット経由でやり取りしたファイルを検索できても、それをフォルダ構造で管理することができない

12月12日(火):さらに、「Zoom」と連携させると……

 「Box」との連携機能がかなり便利だったので、引き続き「Zoom」についても「Chatwork」と連携させることにした。

 この連携を有効にすると、「Chatwork」の画面上で操作を行うことで、「Zoom」のミーティングが即時スタート。その招待URLがコメント欄に貼り付けられるようになる。これにより、いちいち「Zoom」のアプリ上でミーティングを設定する操作が省けるというわけだ。

今度は「Chatwork」を「Zoom」と連携させる
メッセージ入力欄の上にあるアイコンから、「Zoomミーティングを開始」が選べるようになった
先ほどのメニューをクリックすると、自動でZoomのミーティングが作成され、招待URLなどがメッセージとして届く

 なお、「Chatwork」にも標準でビデオ/音声通話機能が用意されているが、これはチャットの流れで、そのままメンバーと即時ビデオ会議を行うようなデザインになっている。具体的にはチャットのメンバー以外をビデオ会議に招待できないので、状況に応じて「Zoom」と使い分けると便利そうだ。

「Chatwork」のビデオ/音声通話機能は、チャットのメンバーから招待する相手を選ぶ形になっている
ビデオ/音声通話が始まると、画面に着信が届く。ここから通話に参加できるが、他のメンバーを後から招待することはできない

12月13日(水):「IFTTT」と「Chatwork」の連携に上司の承認が必要だった

 「Chatwork」では「サービス連携ガイド」というヘルプページを用意しており、「Box」と「Zoom」以外のサービスについても、連携方法を案内している。これによると、「IFTTT」や「Zapier」といった自動化ツールを使うことで、「Trello」との連携も可能らしい。

 ということで、「IFTTT」を使ってアプレットを作成しようとしたところ、「Chatwork」と連携させようとしたところで権限エラーが表示された。どうやら、「Chatwork」と「IFTTT」を連携させるには、「Chatwork」の管理権限を持つアカウントでの承認が必要らしい。

 さっそく画面上で申請操作を行い、アカウントを管理している役員に状況を共有しておいた。これで、「IFTTT」との連携がうまくいけばいいのだが。

「IFTTT」を「Chatwork」と連携させようとすると……
エラーメッセージが表示されてしまった
先の画面で「Chatworkを開く」をクリックすると、承認申請の画面が表示された

12月14日(木):権限はクリアされたはずなのに、連携が上手くいかない…

 朝のメールをチェックしていると、「Chatwork」のサポートデスクからメールが届いていた。どうやら、管理者アカウントの方で、申請を承認してくれたらしい。

 その後、無事に「Chatwork」と「IFTTT」を連携させることができたので、以下のようなアプレットを作成してみた。

If This「Trelloで<アポイント確定>リストにカードが追加されたら」

Then That「Chatworkにメッセージを送信する」
Trelloでは案件のごとにカードを、その進捗状況ごとにリストを作成。作業が進行したら、カードを次のリストに移動させている
「IFTTT」で“If This”に「Trello」の「Card added to list」を選択。“指定のリストにカードが移動されたら”というトリガーを指定する
“Then That”には「Chatwork」の「Post a message」を選択。“指定のメッセージを送信する”というアクションを指定した

 これで、「Trello」の「アポイント確定」リストにカードを移動させたら、「Chatwork」にメッセージが送られるはずなのだが……。いつまで待っても届かない。何故だ。

 そこで、「IFTTT」でアプレットのアクティビティを確認したところ、「Chatwork」との連携の部分でエラーが確認できた。「IFTTT」での設定については、「Chatwork」の公式サイトを参考にしたのだが、このページは2018年に作成されていたので、何らかの仕様変更があったのかもしれない。

アクティビティを確認したところ、「Chatwork」にメッセージを送信しようとしたところでエラーが表示されていた

12月15日(金):「Zapier」を使ったところ、無事に連携できた!

 あれから、「IFTTT」や「Chatwork」の設定を見直してみたのだが、各サービスの連携がどうにも上手くいかない。そこで、「IFTTT」の代わりに、「Zapier」を試してみたところ、無事に「Trello」と「Chatwork」を連携させることができた。

 「Zapier」は「IFTTT」と同じような機能を持つ自動化ツールで、トリガーとアクションを指定して作業をオートメーション化できる。今回もトリガー側に「Trello」を指定したが、選択できるイベントの種類が「IFTTT」よりも多かった。例えば、カードの内容が更新された時をトリガーに指定することもできるので、それに合わせて「Chatwork」でタスクを作成するなど、「IFTTT」よりもできることの幅が広がりそうだ。

「Zapier」では連携するサービスを手動で指定するほか、自動化したい内容を文章で入力することで、トリガーとアクションを自動で作ってもらうこともできる
まずは、「Trello」のアクションを指定。「IFTTT」よりも指定できるイベントの数が多い
「IFTTT」の時と同じように、「指定のリストにカードが登録されたら」というトリガーを作成。「Zapier」では「Any List」という形で全リストを指定したり、カードの識別も可能だった
「Chatwork」との連携にはAPIキーが必要だったので……
「Chatwork」の「サービス連携」画面で「APIトークン」をコピーして、先ほどの画面に貼り付け
「Chatworkにメッセージを送る」というアクションを作成すると……
「Trello」で指定のリストにカードを移動させた際に、「Chatwork」にメッセージが送られた

 これで、常に「Trello」の画面を開いていなくても、「Chatwork」だけチェックしていれば、両サービスの通知をまとめて確認できるようになった。他にも、「Chatwork」を起点に色々な操作ができるようになったので、今までよりも効率よく作業ができるようになるだろう。

とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。

飛田九十九