急遽テレワーク導入!の顛末記
「テレワークの前後で使っていた2台のPCでメール環境を統合したい!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(163)
Thunderbirdでメールやアドレス帳、振り分けルールをマージしたい
2023年11月6日 12:00
テレワーク以降に使っていたノートPCを、会社の据え置きマシンとして使うことになった。そこで、以前に会社で使っていたデスクトップPCから、Thunderbirdに保存されたメールやアドレス帳、メッセージの振り分けルールなどを、どうやって移行するか悩んでいる。
……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて179日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で今回は2つのPCで同じ時期に稼働していたThunderbirdについて、あらゆるデータを統合してみた。
10月30日(月):Thunderbirdで2台のPCにあるメールを統合したい!
テレワーク用に支給されていたノートPCを、会社の据え置きマシンとして使うことになった。それに伴い、かつて会社で使っていたデスクトップPCから各種ファイルをコピーしていたのだが、メールのデータをコピーしようとしたところで、作業の手が止まってしまう。
というのも、このノートPCが支給された時は、急遽テレワークが決まってバタバタしていたので、会社のデスクトップPCからメール関係のデータをエクスポートしていなかった。結果としてテレワーク以前/以降のメールが、2つのPCに分散して保存されることに。筆者はThunderbirdを使っているので、これまでメール環境を移行する際は、profileフォルダを丸ごとコピーしていたのだが、今回は同じ方法が使えなさそうだ。
各PCにおける受信トレイの状況
- デスクトップPC
テレワーク以前のメールは整理した上で、受信トレイに保存されている。テレワーク以降はときどきしかPCを起動していなかったので受信していないメールもあり、メッセージフィルターの管理もしていなかったので、受信トレイには不要なメールも多い。 - ノートPC
テレワーク以降のメールはメッセージフィルターで整理した上で保存されている。テレワーク以前のメールは受信していない。
というわけで、まずはデスクトップPCの受信トレイで、テレワーク以前に受信したメールを、別のフォルダに分けることにした。これが全部で1万5000件以上あったので、作業には時間がかかった……が、空き時間を見つけてなんとか作業が完了。後は、以前にも使った「ImportExportTools NG」というアドオンで、このフォルダのメールをエクスポートすれば、デスクトップPC側での作業は完了だ。
10月31日(火):ノートPCにメールを移行、重複データの削除も忘れずに
昨日エクスポートしておいたメールデータをノートPCにコピーしたので、今日はこのファイルをインポートしていきたい。とはいえ、こちらも「ImportExportTools NG」を利用するので操作自体は簡単だが、メールの数が多いだけに作業には結構な時間がかかった。
なお、インポートしたメールは、受信トレイ内に作成されたサブフォルダに保存されるので、このまま置いておくのもよし。サブフォルダ内のメールを全選択して、受信トレイに移動させることもできる。
ちなみに、ノートPCにはテレワーク以前のメールもいくつか保存されていたので、最後に「Remove Duplicate Messages」というアドオンをインストール。重複したメールを削除しておく。これでようやく2つのPCに保存されていたメールを統合することができた。
11月1日(水):メッセージフィルターはテキストベースで移行
メールの統合が無事に終わったので、次はデスクトップPCで運用していたメッセージフィルターのルールを引っ越しすることに。とはいえ、メッセージフィルターのインポート/エクスポートは「ImportExportTools NG」でも対応していないので、ルールを保存している「msgFilterRules.dat」というファイルをテキストエディタで開き、その中身を丸ごとコピー&ペーストすることにした。
作業が終わったところで、Thunderbirdを起動してみたところ、メッセージフィルターにルールが追加されたのを確認できたのだが……。メールを受信しはじめると、エラーメッセージが表示されてしまった。内容を見る限り、どうやら「メールを移動させる」というルールにおいて、移動先のフォルダ指定がうまくいっていないらしい。
そこで、「msgFilterRules.dat」ファイルを確認したところ、その冒頭にある
version="9"
logging="no"
という2行を誤ってコピーしていたらしい。追加した文字列の中から、この2行を削除すると、無事にメッセージフィルターが機能し始めた。
ちなみに、Thunderbirdでは同じ名前のルールを作成することはできないのだが、この方法では移行先に同名のルールがあっても、無事に移行させることができた。重複が気になる場合には、後でルール名を変更しておけば良いだろう。
11月2日(木):新旧のアドレス帳を統合、重複を削除する
メールまわりの環境が整ったので、最後にアドレス帳を移行することにした。アドレス帳に登録した連絡先は、Thunderbirdの標準機能でCSV形式でのインポート/エクスポートができる。ただ、重複した連絡先はそのままダブって登録されてしまうので、エクスポートしたファイルをエクセルで開いて、重複した行を削除することにした。
なお、Thunderbirdには一度メールのやり取りをした相手の連絡先を自動で登録する「記録用アドレス帳」と、ユーザーが手作業で連絡先を登録する「個人用アドレス帳」の2種類が用意されている。「記録用アドレス帳」にアドレスが登録されていると、宛先や検索キーワードを指定する際に入力候補として表示されるようになるので、普段あまり連絡していない相手でも移行しておいた方が良いだろう。
これで、Thunderbirdで利用していたデータを、一通り移行することができた。profileフォルダのコピーができなかったので、作業に数日かかってしまったが、これなら過去のメールなどが必要になってもトラブルなく仕事ができそうだ。
とある中小企業に勤める会社員、飛田氏による体当たりレポート「急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記」。バックナンバーもぜひお楽しみください。