急遽テレワーク導入!の顛末記

「ポータブルSSDで仕事環境を丸ごと持ち歩いてみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(156)

メール環境の持ち歩きや自動バックアップなど

SSD装着をトリガーにファイルコピーを自動化

 M.2 SSDをポータブルデバイス化することで、大容量ファイルも素早くコピーして持ち歩けるようになった(関連記事:「大容量ファイルの持ち運び用にM.2 SSDをUSBメモリ化してみた!」)。ネット経由で受け渡すより、手間も時間もかからないので重宝している。

 ……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されて110日が過ぎた。

 私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で、今回はポータブルSSDを使って、自宅の作業環境を丸ごと持ち歩いてみた。

【今回のハイライト】
メーラー環境をポータブル化し…
ブラウザー環境もポータブルに!
ファイルコピーも自動化させる

8月28日(月):“ポータブルSSDの装着”でファイルを自動でバックアップ

M.2 SSDを外付けケースに取り付けて、爆速ポータブルデバイスとして利用中…

 ここ数日はファイルの持ち歩きにM.2 SSDを使うようになったが、そこで怖いのがファイルのコピーミス。外付けSSDはUSBメモリと違ってゴミ箱が使えるので、削除ミスはリカバリーできるが、誤って古いファイルで上書きするとデータが元に戻らない。

 そこで、自宅PCとポータブルSSDとのファイルのやり取りについては、フリーソフトを使って自動化することにした。ただ、いつも使っている「BunBackup」では、時刻をトリガーにした同期しかできないので、今回は「exeUSB」というフリーソフトを利用してみた。

 「exeUSB」はUSBデバイスの管理に特化したユーティリティソフト。常駐させておくとUSBデバイスの接続を認識して、「指定ファイルの実行」「指定場所のクリック」といった操作を自動で実行してくれる。

 今回は自宅PCに「exeUSB」を常駐させて、ポータブルSSDが接続されたら、PC内で作業データを保存しているフォルダを丸ごとコピーさせることにした。この時に

  • コピー元のフォルダのファイルがコピー先より新しい場合のみコピー
  • サブフォルダのファイルもコピー

 のオプションを有効にしておけば、「PC内のフォルダのうち、更新日時が新しいものだけをポータブルSSDにコピー」させることが可能となる。

「exeUSB」は基本常駐させて利用するので、設定画面を開いて、ツールバーにある「フォルダコピーを追加」アイコンをクリック
コピー先とコピー元のフォルダを指定して、オプションのチェックボックスを指定。「OK」ボタンをクリックして設定を保存する
その後は、ポータブルSSDをPCに装着すると、自動で指定のフォルダが同期されるように。更新されたファイルのみ上書きすることもできる

 「exeUSB」をインストールすることで、出社前にポータブルSSDをPCに繋げば、作業データが自動でコピーされるようになった。それも、最新版のファイルだけをコピーしてくれるので、作業時間も短縮できるし、手作業でのコピーミスを防げるのもありがたい。

8月29日(火):メーラーはポータブル版導入&プロファイルを自動同期

 「exeUSB」を使って自宅の作業データを丸ごと持ち歩くことにしたが、それでもまだポータブルSSDには空き容量がある。そこで、自宅のメール環境についても、「exeUSB」を使って持ち歩くことにした。

 筆者はメーラーに「Thunderbird」を使っているので、「Profiles」フォルダの中身を持ち歩けば、受信メールやその既読/未読状態などを再現できる。ただ、ポータブルSSDに保存した「Profiles」フォルダを、会社のPCに書き戻すのも手間なので、ポータブル版の「Thunderbird」を利用することにした。

「PortableApps.com」から「Thunderbird, Portable Edition」の日本語版を入手
インストール先にポータブルSSDを指定して…
コピー元の「Profiles」フォルダの位置を、「ヘルプ」→「他のトラブルシューティング情報」から確認
ポータブル版「Thunderbird」の「Data」→「profile」フォルダに、先に確認した「Profiles」フォルダの中身をコピー。すでにファイルがある場合には、あらかじめ削除しておく
自宅PCの「Thunderbird」の環境を、ポータブル版「Thunderbird」で再現できた

 ポータブル版の「Thunderbird」をSSDに保存しておけば、それを接続したPCで起動することが可能に。その「Profiles」フォルダを、「exeUSB」を使って同期させておけば、自宅PCと同じメール環境を、あらゆるPCで再現できるというわけだ。

 ただ、ポータブル版の「Thunderbird」から送ったメール(送信済みメール)は、「Profiles」フォルダを上書きすると消えてしまう。なので、「Profiles」フォルダを自宅PCに書き戻すか、重要なメールはBCCで自分にも送っておいた方が良いかもしれない。

「exeUSB」で「Profiles」フォルダを自動同期するように設定

 これまで、たまに出勤して会社のPCを起動すると、溜まっていたメールが一気にダウンロードされて、その整理に手間がかかっていた。しかし、メール環境を持ち歩けば、自宅での確認が終わっていないメールだけチェックすれば済む。まだしばらくはテレワークが中心になりそうなので、会社PCのメーラーには手を付けないでおいた方が、メールの整理に手間をかけずに済みそうだ。

8月30日(水):ブラウザーもポータブル版を導入してみた

 仕事用のアプリケーションといえば、メールと並んでよく使うのがブラウザー。筆者は「Google Chrome」を使っているので、同期機能を使ってブックマークや履歴を同期できるが……、自宅では私物のPCをBYODとして使っているので、プライベートな情報を会社のPCと同期させるのはためらわれる。

 そこで、「Google Chrome」についても、SSDを使ってポータブル版を持ち歩くことにした。これに私用のアカウントを使ってログイン&同期を行えば、会社PCにデータを残すことなく、自宅のChrome環境を会社で再現することが可能だ。

「PortableApps.com」から「Google Chrome Portable」を入手
こちらもポータブルSSDにインストールして…
自宅PCのGoogle Chromeで同期する内容を指定
ポータブル版のGoogle Chromeを起動したら、自宅PCのGoogle Chromeと同じアカウントでログイン
同期内容を指定してしばらくすると、ブックマークや履歴が自動で同期された

 先日は久々にオフィスで全員そろっての部内ミーティングを行ったが、共有しておきたいサイトを自宅PCにブックマークしていたので、その情報を取り出すのに苦労した。Google Chromeの環境を持ち歩いていれば、そんなミスも防ぐことができるだろう。

8月31日(木):ポータブルアプリの起動にランチャーを利用

 今日はオフィスで一日仕事をすることに。作業データは全てSSDに入っているので、会社のPCに接続。まずは、ポータブル版の「Thunderbird」と「Google Chrome」を起動することにした。

 ただ、これらのフリーソフトを起動するには、SSDのディレクトリをたどって、EXEファイルを実行することになる。頻繁に利用するソフトなだけに、もっと簡単に起動できるようにしておきたい。

 こういう時に利用したいのがUSBデバイスに特化したランチャーソフト。今回は「Portable Start Menu」を利用して、SSDで持ち歩くポータブルソフトを一覧表示させ、クリックで起動できるようにした。

 なお、以前はUSBをPCに接続すると自動で起動させる機能が用意されていたのだが、現バージョンでは使えなくなっていたので、代わりに「exeUSB」に「Portable Start Menu」を起動させることにする。ポータブル版の「Thunderbird」と「Google Chrome」の使い方に慣れてきたら、「exeUSB」を使って直接両アプリを自動起動させても良いかもしれない。

「Portable Start Menu」をポータブルSSDにインストール。オプションで「portable application」を指定する
「Portable Start Menu」を起動したら、「Applicatons」タブの「New application」から、ポータブル版の「Thunderbird」などの実行ファイルを指定
さらに、「exeUSB」の「ファイルの実行」で、「Portable Start Menu」の実行ファイルを指定しておくと…
ポータブルSSDをPCに接続した際に、ランチャーが開き、ポータブルアプリを素早く起動できるようになった

 「exeUSB」やポータブルソフトを使うことで、SSDを自宅PCに繋げれば、最新の作業データがすぐ持ち運べるようになった。最近ではオフィスに出社する日も増えているが、高速にデータをコピーできるSSDを駆使することで、ストレスなく作業できる環境を整えたい。

飛田九十九