急遽テレワーク導入!の顛末記
「大容量ファイルの持ち運び用にM.2 SSDをUSBメモリ化してみた!」――急遽テレワークを導入した中小企業の顛末記(155)
USB 3.1 Gen2のリミット一杯でデータ転送してみた
2023年8月28日 07:00
最近では打合せなどでオフィスに出社する日が増えている。その度に作業中のデータを持って出勤することになるが、案件によってはファイル容量が大きすぎて、コピーに時間がかかったり、コピーする外付けドライブの容量が足りなくて困ることがある。
……この記事を書いている時点で、新型コロナが5類に移行されてから103日が過ぎた。
私が勤めている新宿にある中小企業では現在、各スタッフが可能な範囲でリモートによる業務を行っている。その中で今回は自宅で余っていたM.2 SSDを、USBメモリ代わりに持ち歩いてみた。
8月21日(月):動画の持ち歩き用に大容量&高速外付けドライブがほしい!
今日はオフィスに出勤して、動画制作チームと打ち合わせ。後日、加工前の元素材を自宅でチェックすることになったのだが、そのファイル容量があまりに膨大だった。ひとまず会社のNASに保存してもらうことにしたが、VPN経由でコピーすると、かなり時間がかかるだろう。
動画制作チームはポータブルSSDを使って素材を持ち出しているようだが、筆者の手持ちでは、そこまで大容量かつハイスピードなポータブルデバイスがない。何か使えそうな機材は無かっただろうか?
8月23日(水):M.2 SSDを外付けケースに装着!転送速度は?
あれから自宅を探していた所、昨年末に壊れた自作PC用にM.2 SSDを購入していたのを思い出した。結局、取り付けないまま宙に浮いていたので、これをポータブルデバイスに転用すれば、大容量な動画ファイルも快適に持ち運べそうだ。
ということで、オンラインショップでM.2 SSDの外付けケースを購入。それが今日届いたので、さっそくM.2 SSDを組み込んでみたい。
今回購入したのはROSONWAYというブランドの、USB 3.1 Gen2(10Gbps)に対応したM.2 SSD ケース。ネット通販で3000円弱と、比較的にリーズナブルだった。ただ、後日通販サイトをチェックすると、大手メーカーの製品が特価品になっていたので、セールの時期を狙って購入するのもアリかもしれない。また、“20Gbpsに対応したUSB 3.2 Gen2コネクタ仕様の外付けケース”を購入するかも悩んだのだが、……高価な製品が多かったので今回は見送ることにした。
ちなみに、いくつかの製品を見比べてみると、その構造にはほとんど差が無いようだ。取り付けはコネクタにM.2 SSDを挿し込むだけと簡単で、アルミ製のボディがヒートシンクの代わりになっている。固定方法はいくつかパターンがあるようだが、この製品はツメで固定するだけと、工具不要をウリにしていた。
ということで、SSDの取り付け作業は数分で完了。これをPCのUSB 3.2 Gen2コネクタに接続した上で、「CrystalDiskMark」というフリーソフトでベンチマークを取った結果が以下の通りだ。
USB 3.1 Gen2コネクタは最大10Gbps=1.25GB/sなので、読み込み/書き込みともに、理論値の上限に近い速度が出ている。ただ、繰り返しベンチマークを行っていると、アルミ製のボディが手に持つのをためらわれるぐらい熱くなってきた。
そこで、SSDの温度を確認したところ、初回計測時には60℃、その後に計3回の計測を行っている間に、最大で66℃まで上昇していた。NVMe M.2 SSD をPCに装着する場合は、サーマルパッドとヒートシンクを取り付けているだけに、ケース内にむき出しのまま装着したSSDが、きちんと放熱できているか気になってくる。
後付けでサーマルパッドを取り付けてもいいのだが、それが引っかかってケースから取り出せなくなる可能性もありそうだ。ネットで見つけたM.2 SSDの外付けケースの中には、サーマルパッドを取り付けられるものもあったので、そちらを購入しても良かったかもしれない。
ちなみに、購入したばかりのSSDをPCで使うには、ディスクの初期化が必要となるが、その後にプロパティを確認すると、取り外しポリシーが「クイック取り外し」になっていた。どうやら外付けケースに装着した状態で初期化を行ったため、キャッシュが無効になったようだ。
8月24日(木):安価なポータブルSSDよりも速度は速い
昨日のテストの後で、念のために同SSDをPCのM.2コネクタに装着。ベンチマークを行ったところ、スペック通りの速度が出ることを確認できた。やはり、USB 3.1 Gen2コネクタ経由では、このSSD本来の実力は発揮できていなかったらしい。
ただ、以前に購入して、そのまま会社の備品になってしまったUSBメモリ型のSSDと比べると、転送速度は今回の方が圧倒的に速い。最大読み込み/書き込みが1.25GB/s程度のSSDを購入して、外付けケースに装着して使った方が、より高速な外付けドライブを安価に入手できるかもしれない。
なお、PCのM.2コネクタに装着した状態でベンチマーク中のSSDの温度を計測したところ、60℃台後半まで上昇していた。昨日の計測ではSSDの性能を最大まで引き出していなかったとはいえ、外付けケースに装着した状態でも、PC装着用にヒートシンクを取り付けた際と同じぐらいの冷却効果は得られていたらしい。ただ、ケース自体がヒートシンクの役割を果たしているので、利用時は“なるべく熱のこもらない場所に置く”などの配慮は行った方がよさそうだ。
外付けケースを購入することで、USB 3.1 Gen2コネクタ接続では最高速度のポータブルデバイスが手に入った。こうした高速通信をウリにしているポータブルSSDは高価な製品が多いので、コスパを追求するなら外付けケースを利用するのもアリかもしれない。