イベントレポート

第3回ウェアラブルEXPO

“視力4.0”実現、見えるものも見えないものも拡張するメガネスーパーのウェアラブル端末「b.g.」

メガネ型ウェアラブル端末「b.g.」

 東京ビッグサイト(東京都江東区)で1月18~20日の3日間、ウェアラブルの技術展示会「第3回ウェアラブルEXPO」が開催されている。株式会社メガネスーパーのブースでは、メガネ型ウェアラブル端末「b.g.」のプロトタイプ実機とデモを見ることができる。

 b.g.はノンシースルー型の有機ELディスプレイを2つ搭載した両眼視設計となっており、かけ心地を追求したという。ディスプレイの位置は調整可能なほか、メガネ部分からデバイス部を脱着することもできる。ディスプレイは目の下側に位置するように利用することで、わずかな視線移動で長時間の作業や着用でも目が疲れにくくなるとしている。

 スマートフォンをメインデバイスとして使用することを想定しており、専用ケースを用いてスマートフォンのカメラや無線LAN、Bluetoothなどの機能と連携させる。ブースではiPhoneと接続するための専用ケースの試作機が展示されていた。HDMI×2ポートを備えており、b.gとは別に映像を出力することも可能だ。

スマートフォンとb.g.を接続するための専用ケース

ロボットの遠隔操作や農業のIoT活用などBtoBサービスと連携

 主にBtoB向けのサービスとして、倉庫・物流、教育、インバウンド、エンターテインメント、農業、畜産など各領域に精通した専門家と連携して業種業態を拡大していく予定。現在は量産化に向けた実証実験を行っており、2017年秋より量産を開始、2018年春から量産納品を開始する。量産後当初は10億円規模の事業を見込んでいるそうだ。

 b.g.は「視覚拡張」をコンセプトとしており、望遠カメラのように「見えるものを拡張」すること、AR(拡張現実)のように「見えないものを拡張」することを実現するという。会場のブースでは各協力パートナー企業のサービスとb.g.を組み合わせたデモを披露していた。

 アスラテック株式会社ではPepperを遠隔操作するシステム「VRcon for Pepper」と連携し、離れた場所でもロボットを通じて接客・コミュニケーションが取れるサービスを提案。これにより、複数拠点を1人のオペレーターで対応する使い方などができるという。

b.g.にPepper視点の映像を表示させながら動作をコントロールすることもできる

 聴覚障がい者向けのサービスとして、Palabra株式会社がスマートフォン/タブレットアプリとして提供する字幕表示サービス「UDCast」と連携することができる。具体的には、映画館で上映される映像と同時にb.g.に字幕を表示できる。これにより、スマートフォンを開くことなく、少ない視線移動で映画を鑑賞できる。

 また、手話や筆談が必要な場面において、UDCastで拾った音声をリアルタイムでテキスト化してb.g.に表示することで円滑なコミュニケーションが図れるとしている。

映画館で上映される映像と同時に字幕を表示。視線移動も少ないため、長時間の視聴でも疲れにくいという

 PSソリューションズ株式会社のIoT農業センサー「e-kakashi」は、畑に設置することで土壌状態や気温などの環境データをクラウド上に集積し、分析することができる。これらのデータを両手が塞がった状態でもb.g.によりハンズフリーで確認できることを利点として挙げる。e-kakashiは環境データ以外にも栽培暦やノウハウをレシピ化してまとめることができるため、効率的な営農指導などにも活用できるそうだ。

IoT農業センサー「e-kakashi」

 このほか、望遠カメラで遠くにあるものをb.g.に表示することで“視力4.0”を実現するという使用例や、ARを組み合わせ、ディスプレイに部品の組み立て手順を表示するデモも行われた。

遠くに置いてある人形を望遠カメラで撮影。“視力4.0”を実現するという
ARで表示された作業手順をb.g.に表示