「アメブロを中心になう、ピグの連携進める」Ameba開発者が講演


 「OGC 2010(Online Game & Community Service Conference)」で17日、サイバーエージェント新規事業局局長/アメーバ事業本部ゼネラルマネージャーの長瀬慶重氏による講演が行われた。「ブログ、ピグ、なう。Amebaが築くコミュニティ戦略」と題し、Amebaを中心としたサービス拡大の方針を語った。

Amebaなうの月間投稿数は約500万件。ブログ利用者もいまだ増加中

サイバーエージェントの長瀬慶重氏

 サイバーエージェントのブログサービス「Ameba(アメブロ)」は2004年9月にスタートし、今年で6年目を迎える。会員数は728万人、検索エンジンなどを通じてAmebaブログのPC向けページを閲覧したユーザー数は月間2118万人を数える。月間の記事投稿数は約2100万件。

 サービス開始から年月が経過したため、ブログ市場はすでに飽和したとの見方が社内でも一時出ていたという。しかし長瀬氏は「現段階でも月次7~8%程度のペースでアクティブユーザーが増加していて、PV(ページビュー)、訪問者数とも順調に伸びている。他のサービスの開発を急いだ時期もあったが、ブログの成長力はまだまだある」との見通しを示す。

 アメブロの特徴として挙げられるのが、芸能人・著名人によるブログ開設事例の多さだ。現在は約6000名が利用。今でも毎月200件前後の著名人ブログが誕生しているという。

 2009年12月には、Twitter風のミニブログサービス「Amebaなう」もスタートした。芸能人利用者は、数回発言した程度のケースも含めて1400名程度。長瀬氏は「芸能人の方々にミニブログの面白さをわかってもらえるよう、教育している段階にある」と説明している。なお、一般ユーザーも含めた全体での月間投稿件数は約500万件となっている。


アメブロ会員数と閲覧者数2009年12月スタートの「Amebaなう」利用状況。長瀬氏によれば、具体的数値の対外発表は本講演がおそらく初とのこと

アメブロを“集客プラットフォーム”に

ブログとアバターチャットを連携させ、ブログ記事をプロフィール代わりにする用途も

 Ameba関連サービスとして、現在注力しているのが2009年2月に提供開始された「アメーバピグ」だ。アバターや仮想空間を使ったリアルタイムチャットのサービスで、アイテム課金が行われている。利用者数は191万人、アクティブユーザーの平均月間滞在時間は約600分。なお、最大同時接続数は1万5000を記録。2009年9~12月期の課金流通額も約4億1400万円としている。

 アメーバピグの推進にあたっては、従来からの基本戦略である「ブログネットワークの活用」を念頭に置いている。アバターとともにブログのURLを表示する仕様もその1つだ。素性の知らないユーザー同士がいきなりチャットをすることは難しいが、プロフィール代わりのブログを見てもらうことによって、心理的な敷居を少しでも下げようという狙いがある。

 アバターを“記念撮影”し、簡単な手順でその画像をブログにアップロードできる仕組みも用意した。こちらはユーザー同士の共通体験を、記録として残すためのもの。長瀬氏は「基本的なことではあるが、すでに構築されているブログを有効活用するための良い手段」と話す。

 サービス開始からわずか1年のアメーバピグをビジネスとして立ち上げるには、バナー広告の出稿、SEO対策などに頼る形で集客を行う必要がある。しかしアメーバピグでは、外部サイトから流入するユーザーの約52%が、アメブロ各サイトを経由しているという。つまり、従来からある定番のブログサービスそのものが、集客プラットフォームとしても機能するという副次的な効果をもたらしたという流れだ。

“会員登録不要”の強みも活かして

 このように、サイバーエージェントでは会員数700万人を超えるアメブロの規模を活かし、集客プラットーム、あるいは一般ユーザー自身が運営する情報発信メディアとして機能させながら、関連サービスとの連携を強化していくのが基本的な方針だ。

 そして、ユーザーたちに受け入れてもらえるような形でのブログ機能強化も目指す。長瀬氏が将来的な可能性の一例として挙げたのが、アメブロとAmebaなうのより積極的な連動だ。ブログ更新が行えない間は、比較的手軽なAmebaなうでつぶやいてもらう。これらをブログ上に1つの時系列で表示することにより、「記事更新が遅い」という一般閲覧ユーザーの不満を緩和させる効果が狙えるという。ただし短文中心のAmebaなうが増加してしまうと、相対的には手間の多いブログへの記事投稿数が減ってしまう懸念もあるため、慎重に検討する必要性があると長瀬氏も語る。

 また、情報発信力の高い芸能人ブログも有効活用していく。1人の芸能人の投稿に対し、数多くのファンが注目する「ピラミッド型」のコミュニティは、身近な友人同士の関係とは異質な影響力を持ちうるため、さまざまな応用が考えられる。

 最後に長瀬氏は「近年はモバイル向けSNSの盛り上がりが伝えられるが、アメブロには会員登録不要で気軽に見てもらえる“オープンメディア”としての特性もある。今後も議論を重ねて、日本のインターネットユーザー全員に使ってもらえるような、わかりやすく、押しつけがましくないサービスを目指していきたい」と講演をまとめてた。

Amebaブログを中心に、他のサービスとの連携を進める芸能人ブログならではの「ピラミッド型」コミュニティも活かしていく

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(森田 秀一)

2010/2/17 19:48