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新生「Dreamweaver CC」が正式版へ、UIデザインの「Adobe XD」はレイヤーに対応

「Adobe Creative Cloud」次期大型アップデートの概要発表

アップデート概要

 アドビシステムズ株式会社は2日、定額制メンバーシップサービス「Adobe Creative Cloud(CC)」における、対象ソフトウェアの次期アップデート概要を発表した。ウェブ制作ソフト「Dreamweaver CC」の新版が正式提供されるほか、ユーザーインターフェース(UI)デザインの「Adobe Experience Design CC(Adobe XD)」、画像レタッチソフト「Photoshop CC」、グラフィックデザインソフト「Illustrator CC」などの機能が強化される。

Dreamweaver CC

 Dreamweaver CCは従来版からの刷新を目指し、6月のベータ版公開以降、開発が続けられていたが、クリエイター向けイベント「Adobe MAX 2016」での発表を経て、正式版に昇格する。

「Dreamweaver CC」のメイン画面

 ユーザーインターフェースを中心に各種の改良を実施。モダンなウェブデザインの潮流を反映し、メインウィンドウの色味が黒を基調としたものになった(色は変更可能)。また、画面左側のツールバーのアイコン並び順などをカスタマイズできる。

 プログラマーの利用を想定し、「ワークスペース」の表示方法に「デベロッパー」が追加された。これまでのDreamweaver CCは、ソースコードとウェブプレビューを同時表示するのが一般的だったが、「デベロッパー」モードではウェブのプレビューを非表示にし、コード入力画面の広さ、入力の軽快性を優先させる。

 コードエディターそのものも、オープンソースで開発が進められている「Brackets」ベースに変更された。複数行同時編集を可能とする「マルチカーソル」、関連する記述内容をカーソル移動させることなく呼び出す「クイック編集」、ベジェ曲線グラフを使ったアニメーションスピード調整などの機能が利用できる。

 「リアルタイムプレビュー」機能は、開発中のサイトの見栄えを確認するための機能。専用ボタンから立ち上げると、そのサイトを見るためのURLもしくはQRコードが表示され、実際の閲覧環境から入力することで素早く実機表示を確認できる。また、ソースコードで編集した内容が即座に反映されるため、いちいちファイル保存やページ再読込を行う必要がないという。

ツールバーのカスタマイズに対応
ワークスペースを「デベロッパー」に切り換えた状態
「クイック編集」
プレビュー機能も充実させた

Adobe XD

 アプリやウェブサイトにおけるユーザーインターフェース(UI)デザインを行うためのAdobe XDについては、これまでのプレビュー版がベータ版へと改められ、CCメンバーに提供される。大きく分けて3つの新機能が用意される。

「Adobe XD」のメイン画面
レイヤーに対応

 1つめは「レイヤー」機能。Photoshop CCなどで使われる定番機能だが、XDでは「アートボード」と呼ばれるデザインをUIの数だけ同時に保持する構造のため、単にレイヤー機能を付加するだけでは管理の手間が膨大になってしまう懸念があったという。ベータ版ではこれを「作業中のアートボードのレイヤーだけをパネルに表示する」仕様とし、使いやすさに配慮した。

 2つめの「シンボル」機能は、一度作成したベクトルシェイプなどを複数のアートボード間で共有する機能。また、シンボルを編集する際には、そのシンボルが適用されているすべてのアートボードにも内容が反映されるため、微調整などが行いやすい。

 3つめの「コメント」機能は、作成したデザイン案を関係者間でウェブ共有する際、コメントをアートボード単位で付けられるというもの。意見のすり合わせを効率化できるとしている。

「シンボル」機能で、一度作ったデザインの流用が簡単に
複数人がレビューする際に便利な「コメント」機能

 なお、さらに長期の開発方針もすでに明らかにされており、2017年上半期には複数人による同時編集、バージョン管理をサポートする予定。2016年内にはWindows 10のUWPアプリもリリースする。

Spark

 ソーシャルメディア向けの画像、フォトストーリー、アニメーションビデオを作成するためのサービス「Spark」(英語版)については、これまで無料で提供されていたが、CCメンバー向けにサービスを拡充する。

 具体的には、これまで成果物の最後にアドビのクレジットが自動挿入されていたが、CCメンバーには適用されなくなる。その他の機能の追加も計画中。

「Spark」の機能強化

Photoshop CC

 PhotoShop CCでは、入門者を意識した機能追加が多数行われる。「新規」メニューを実行した際、どんなものを作りたいかを分かりやすく提案してくれるようになったほか、「テンプレート」機能を新たにサポート。テンプレートはオンラインの素材マーケット「Adobe Stock」からダウンロードできるようになっており、例えば一般的な写真に「ビンテージフォト」のテンプレートをレイヤーとして適用するだけで、アンティーク調に色味を変えられる。

「Photoshop CC」

 「ユニバーサルサーチ」は画面右上から呼び出せるメニューとなっており、搭載機能をフリーワードで検索できる。この際、トレーニングに役立つ資料もあわせて提示される。

「テンプレート」の利用例。こちらは「ビンテージフォト」
写真に重ねるだけで、このようなエフェクトがかかる

Illustrator CC

 Illustrator CCでは、Photoshop CCと同様に新規メニューが分かりやすくなり、テンプレート機能が利用できるようになった。また、ピクセルをスナップするための機能「ピクセルパーフェクト」が追加されたことにより、ウェブサイト向け描画を行う際の滲みが抑えられるようになった。

 フォント周りでは、メニューに一覧表示されたフォント名称の上にマウスカーソルを重ねるだけで、メインデザイン画面に表示されたフォントが随時更新されるため、トライ&エラーの効率が上がるとしている。この他、欧文フォント限定の機能としては、キーワードによる絞り込み、「お気に入りフォント」の指定などができる。

「Illustrator CC」でピクセルのスナップが可能に
フォント名にマウスカーソルを合わせるだけで、デザインに適用したフォントが差し替わる

モバイルアプリ関連・その他

 このほか、DTPソフト「InDesign」や、動画編集・制作ソフトにおいても新機能のベータ版提供などが発表されている。

 また、モバイルアプリのラインアップも拡充。「Photoshop Sketch」「Comp」「Photoshop Fix」のAndroid版の提供が間もなくスタートする。

動画系アプリのアップデート内容
Android向けアプリのラインアップを充実させる