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自炊代行業の男性、著作権法違反容疑で逮捕、データの使い回しや古書店への転売も行っており「極めて悪質」

 権利者の許諾なく、書籍をデジタルデータ化してDVD-Rに複製して譲渡していた京都市の自営業(自炊代行業)の男性を、京都府警察本部生活経済課などが30日、著作権法違反の疑いで逮捕した。一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が同日、発表した。

 顧客2人から送付されたコミックをデジタルデータ化して自分のPC内に複製して複製権を侵害するとともに、DVD-Rに複製した上で顧客2人に合計5700円で譲渡して譲渡権を侵害した疑い。

 警察の調べにると、この男性は2011年ごろから自炊代行業を始め、これまでに約2万6000点(約17万ファイル)相当の自炊代行を請け負い、少なくとも約750万円の売り上げがあったものとみられている。

 男性の運営する自炊代行のホームページを京都府警の捜査員が発見したことで発覚。「坂本ですが?」「未来日記」「進撃の巨人」「暗殺教室」「るろうに剣心」「アフォガード」の各コミックを発行するKADOKAWA、講談社、集英社、スクウェア・エニックスおよび各作品の著作権者が告訴した。

 男性は、顧客から書籍を送付させ、自らスキャナーでデジタルデータ化し、そのデータをDVDやストレージサーバーを通じて顧客へ提供していた。また、単にデジタルデータ化を有償で請け負っていただけでなく、顧客から書籍の送付を受けることなく、顧客の求めに応じてデジタルデータをDVD-Rに複製して販売していたという。

 このようにデジタルデータを使い回して複数の顧客に提供していたこと、また、顧客から送付された書籍が重複した場合、裁断せずに古書店に売却し利益を得ていたことも判明しており、出版各社は「極めて悪質な行為」だとして刑事告訴に踏み切ったと説明。「著作者が心血を注いで作り上げた作品を正しい形で読者のみなさまにお届けするという出版社の役割を果たすため、今後も悪質な著作権侵害行為に対しては厳正に対処していく」としている。

 なお、京都府警によれば、少なくとも自炊代行業者に対する差止請求等の民事裁判が2016年3月に終結して以降、こうした自炊行為そのものに対して刑事摘発がなされるのは初めてだという。