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国交省が歩行者向けナビアプリ実験、東京駅の地下街ダンジョンや新宿駅周辺・成田空港など屋内外をシームレスに

「ジャパンスマートナビ」

 国土交通省は、歩行者に屋内・屋外を問わずシームレスなナビゲーションサービスを提供するスマートフォンアプリ「ジャパンスマートナビ」の実証実験を開始した。11月30日からAndroid版アプリがダウンロード可能となり、同日、記者発表会と東京駅地下街でのデモンストレーションが行われた。2017年1月中旬からは、iOS版アプリも提供開始となる予定。実証実験期間は2月28日まで。

 ジャパンスマートナビは、「高精度測位社会プロジェクト」の一環として提供されるもの。同プロジェクトでは、2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向け、高精度な測位環境を活用したさまざまなサービスを実現できる環境作りのための実証実験などを行っており、屋内の電子地図や測位環境などの空間情報インフラの整備を推進し、民間サービスの創出を促進することを目的としている。現在、屋内における高精度測位の課題として、「屋内で人の位置を測位する環境がない」「屋内の電子地図がない」「測位環境や電子地図を継続的にメンテナンスしていく仕組みが必要」といった点が挙げられるためだ。

 プロジェクトでは、外国人や車椅子利用者がスムーズに目的地まで移動できる環境を目指すとともに、地上でも地下でも災害発生時に適切な情報を受け取ることができ、自分の位置に応じた適切な避難場所に避難できるようにする。ナビアプリの試作のほか、民間アプリ事業者によるサービス実証を実施するほか、今年11月には日産スタジアムを舞台にアイデアソン/ハッカソンも開催している。

 すでに国土交通省は今年2月、ジャパンスマートナビの「トライアル版」をAndroid向けに提供し、3月6日まで実証実験を行った。このときは利用可能エリアが東京駅周辺に限られていたが、今回は東京駅周辺に加えて成田空港、日産スタジアム、新宿駅周辺でも利用可能となり、アプリにはこれらの施設の屋内地図が収録されている。なお、11月30日時点では東京駅周辺、成田空港、日産スタジアムの3カ所での利用開始となり、新宿駅については12月21日からの利用開始となる。

実証実験実施エリア案(国土交通省の11月25日付報道発表資料より)
アプリ起動画面
東京駅の地図
成田空港の地図
日産スタジアムの地図

 今回の実証実験では、屋内の各所にBLEビーコンを設置することで屋内測位を可能にするとともに、目的地までのルート検索およびナビゲーションサービスを提供する。設置するビーコンの数は、東京駅周辺については前回の300個からさらに約20個増やした。また、成田空港には約500個、日産スタジアムには約130個、新宿駅には百数十個設置する。ビーコンの規格は、東京駅周辺のみ前回と同様のUcode方式で、そのほかの3カ所ではiBeacon規格となる。

東京駅周辺の地下に設置されたビーコン

 アプリの機能で今回新たに搭載されたのは、車椅子やベビーカーの利用者に対応したナビゲーション機能だ。車椅子でもスムーズに通れる段差の少ないルート案内を行うためには、一般歩行者とは異なるネットワークデータを整備する必要があるが、これには日本電信電話株式会社(NTT)が開発したバリアフリー情報収集技術「MaPiece」が使われている。MaPieceは、タブレット用の独自アプリを使って、詳しい知識がなくても手軽にバリアフリーに関する現地調査が行えるツールで、スマートフォンのセンサーによる路面状況の抽出技術も搭載されている。今回はこのアプリを使って、新宿駅周辺ではボランティアによる調査を行い、ほかの3カ所においても開発スタッフによる調査が行われた。

車椅子利用者によるデモンストレーションが行われた
段差や勾配、扉などさまざまな条件を設定してルート検索可能
調査用ツール「MaPiece」
ネットワークデータを編集
ルート検索結果

 もう1つ大きく変わったのが、屋内地図に店舗名称が掲載されたことだ。前回は店舗の名称が表示されなかったため、白地図のようで分かりにくかったが、今回のアプリでは具体的な店舗名称が掲載され、現在地を把握しやすくなった。さらに、Google マップのように画面を2本指でスワイプすることで斜めからの視点に切り替えられるようになったほか、NTTが開発した「2.5D地図表現技術」による映像も見られるようになった。2.5Dとは、平面の地図に階層表示を加えることで、より直観的に目的地への経路を把握できるようにしたもので、成田空港のみで利用可能となっている。

店舗名称が表示可能に
斜めからの視点に切り替え可能
2.5D地図の画面

 アプリにはこのほか、屋内外シームレスな現在地表示や対象エリア内の目的地検索、目的地までの最短ルート検索など、ナビゲーションアプリとしての基本機能を搭載しており、日本語と英語の2カ国語に対応している。

 プロジェクトでは今後、アプリ利用者へのアンケートや、プロジェクト検討会構成員およびモニターなどへのヒアリング、施設管理者などへのヒアリングを行いながら検証を進める。検証結果は、屋内電子地図の整備・維持・更新に必要な体制に関する検討や、測位機器の設置に関するガイドラインの作成に活用する予定だ。