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都内の鉄道・バス・航空事業者が運行データなどAPI提供、活用アプリを募集
「東京公共交通オープンデータチャレンジ」コンテスト開催
2017年12月8日 06:00
公共交通オープンデータ協議会は7日、「東京公共交通オープンデータチャレンジ」の応募を開始し、都内で記者説明会を開催した。同協議会に参画する交通事業者が、それぞれの保有するデータを一般に公開して、そのデータを活用したさまざまなアプリやアイデアを募集する。応募期間は2017年12月7日から2018年3月15日まで。
交通事業者やITベンダー、大学の研究所などが参画する公共交通オープンデータ協議会は、オープンデータを核に、先進的な次世代公共交通情報サービスを実現するための標準プラットフォームの構築を目指しており、交通事業者が提供する公共交通データを集約し、標準化されたデータ形式でサービス開発者に提供する「公共交通オープンデータセンター」の設立を目指す。
同協議会が主催する今回のコンテストでは、都内の鉄道事業者やバス事業者、航空事業者がデータを提供する。路線情報や時刻表情報などの静的データだけでなく、電車やバスのリアルタイムな位置情報や運行情報などの動的データも提供される。
開発者はウェブサイトで登録することにより、データ提供を行うAPIを利用してスマートフォンアプリやウェブサービス、IoTガジェットなどを開発できる。公共交通データだけでなく、ほかのデータとのマッシュアップによる提案も募集する。個人、グループ、法人を問わず、誰でも応募可能だ。
また、開発スキルを持たない人に向けて、アプリケーション開発を伴わないアイデアの募集も行う。実際に稼働するアプリケーションに限らず、プロトタイプやビジネスプランの応募でも構わない。さらに、本イベントの後援組織やパートナーが公開するオープンデータを組み合わせた提案も募集する。
データ提供企業は、鉄道事業者としては東京地下鉄、東京都交通局、JR東日本、小田急電鉄、京王電鉄、京成電鉄、京浜急行電鉄、西武鉄道、東京急行電鉄、東京臨海高速鉄道、東武鉄道、ゆりかもめの12社・局。バス事業者としては東京都交通局、小田急バス、関東バス、京王電鉄バス、国際興業、JRバス関東、西武バス、東急バス、東武バス、西東京バスの9社・局。航空事業者としては全日本空輸、東京国際空港ターミナル、成田国際空港の3社がデータを提供する。
提供データは事業者ごとに異なるが、鉄道関連の静的データとしては駅および鉄道路線の情報、列車および駅の時刻表や運賃、乗降者数、施設情報、起業ロゴや駅ナンバリングなどの画像など、動的データとしては列車がどの駅間を走行しているかが分かる在線情報、遅延の有無などの運行情報などが提供される。
バス関連のデータとしては、バス停およびバス路線、バス停の時刻表、運賃などが提供される。また、都営バスが動的データとして、バスがどの地点を走行しているかが分かるバスロケーション情報を提供する。
航空関連データとしては、全日本空輸がフライト時刻表を提供するほか、成田国際空港および東京国際空港ターミナルが、当日のフライトステータスや離着陸の予定時刻と変更時刻、ゲート番号のデータなどさまざまなリアルタイム発着情報を提供する。
なお、応募規約によると、今回提供されるデータは、同コンテストへの応募作品の開発や執筆以外の目的では使用できず、また、営利目的でデータを利用することもできない。
公共交通オープンデータ協議会会長を務める坂村健氏(東洋大学情報連携学部INIAD学部長)は記者説明会において、「このコンテストは2020年を見据えたものであり、大規模なコンテストを実施することで、公共交通データを公開する上での問題点などをあぶり出すことが目的の1つです。1つの交通事業者に限らず、都内のさまざまな交通事業者のデータを提供するコンテストは初の試みであり、これをきっかけに、このような公共交通データが継続的に公開されるようになることを期待しています」と語った。
同イベントの結果発表および表彰式は2018年4月下旬を予定している。賞金は、最優秀賞として100万円、優秀賞として20万円×4本、審査員特別賞として5万円×4本が贈られる。