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個人事業主の会計ソフト利用者、“クラウド型”にこだわらない層が増加している可能性も?

 株式会社MM総研は11日、個人事業主を対象とした会計ソフトの利用状況の調査結果を発表した。会計ソフトを利用していたのは回答者全体の32.5%だった。このうち“クラウド会計ソフト”は18.5%で、前年調査の14.7%から3.8ポイント増加したが、“PCインストール型”が72.3%と依然として多数を占めている。

会計ソフト利用率とその利用形態

 調査は、2018年分の確定申告を行った個人事業主を対象に3月19日から27日までウェブアンケートで実施。1万3172事業者から回答を得た。この調査では、クラウド会計ソフトの定義として「インターネット経由で会計ソフトの機能を利用するもの」としている。一方、PCにソフトをインストールして「会計データのみをクラウド上で保管するもの」については、クラウド会計ソフトではなく、PCインストール型に含めている。

 MM総研では、「個人事業主向けの市場において、クラウド会計ソフトは着実に利用者を増やしているが、まだ市場は小さく、さらに開拓できる余地は残っている。ただ、市場の70%以上を占めるPCインストール型の会計ソフトの中には、クラウド連携し、クラウド会計ソフトと同等の利便性を備えているものもある。そのため、PCインストール型の会計ソフト利用者の中には、クラウド会計ソフトにこだわらない利用者層が増えている可能性もある」と指摘している。

 なお、クラウド会計ソフトの事業者シェアは、「弥生」57.0%、「マネーフォワード」21.5%、「freee」18.2%などだった。2016年から継続して行われているこの調査では、この3つの事業者のシェアは、ほぼ変わらない状況だ。

クラウド会計ソフトの事業者シェア

 一方、「会計ソフトを利用していない」と答えた個人事業主は、回答者全体の62.5%にも上る。会計ソフトを利用しない理由としては、「事業規模が小さいためソフトは必要ない」「会計ソフトに費用をかけたくない」といった回答が得られたという。会計ソフトの代わりに利用しているものとしては、「市販の出納帳/帳簿、ノートなどへの手書き」の42.0%、「Excelなどの表計算ソフトに入力」の35.9%、「税理士や会計事務所への外部委託」の14.8%など。

 MM総研では、会計ソフトを導入していない個人事業主はまだ多いため、「会計ソフト事業者にとってこうした層をいかに開拓していくかが、継続的な事業課題となっている」としている。

 なお、2020年分(2020年1月~12月)の確定申告から、青色申告特別控除が65万円から55万円に減額される。しかし、確定申告書をインターネットで提出する(e-Tax)か、電子帳簿保存に対応したソフトを導入すれば、これまでと同じく65万円になる。MM総研では、「こうした税制改正による影響が広く認知されれば、この機会に会計ソフトの導入を検討する個人事業主も増える可能性がある」と指摘している。