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個人事業主の会計ソフト利用、「クラウド型」が2割を超える~MM総研調査

 株式会社MM総研は、個人事業主を対象に「クラウド会計ソフト」の利用状況について調査した結果を発表した。会計ソフトを利用している個人事業主のうち、PCインストール型は67.7%、クラウド型は21.3%だった。クラウド型は前回調査の2019年3月から2.8ポイント増加し、初めて20%を超えた。なお、PCにソフトをインストールしてデータをクラウド上に保存する方式のソフトは、クラウド型には含めていない。

 調査は、2019年分の確定申告を行った個人事業主を対象に4月20日~27日にウェブで行い、回答数は2万980事業者。これによると、会計ソフトの利用状況は、「会計ソフトを利用している」が33.9%、「会計ソフトを利用していない」が57.1%、「分からない」が9.0%だった。

個人事業主における会計ソフトの導入と、ソフトの形態

 「会計ソフトを利用している」と回答した個人事業主の「会計ソフトの利用形態」は、「クラウド会計ソフト」が2016年3月の9.2%から、2017年3月の13.2%、2018年3月の14.7%、2019年3月の18.5%、そして今回、21.3%へと順調にシェアを伸ばしている。

 一方、「PCインストール型会計ソフト」は、2019年3月の72.3%から、今回、67.7%に減少した。

 ただし、PCインストール型会計ソフトの中には、クラウドと連携しており、クラウド会計ソフトと同等の利便性を備えている製品もある。そのため、PCインストール型会計ソフトのユーザーは、クラウド会計ソフトにこだわらない層が増えている可能性もあるとMM総研では指摘している。

クラウド会計ソフトの利用率の推移。年々、上昇している

 クラウド会計ソフトの事業者別シェアは、「弥生」が56.7%、「freee」が21.1%、「マネーフォワード」が16.8%で、これら3社で94.6%を占めている。弥生が1位をキープする一方、2019年3月は「マネーフォワード」が21.5%で2位、「freee」が18.2%で3位だったのが、今回、順位が逆転した。

クラウド会計ソフトの事業者別シェア。依然として「弥生」が半数を超えるシェアで1位をキープ。「freee」と「マネーフォワード」は僅差だが、今回は「freee」が2位に入った

 MM総研では、個人事業主は「事業規模が小さいので会計ソフトを必要としていない」「会計ソフトに費用を掛けたくない」などの理由で、57.1%が会計ソフトを導入していないとしている。しかし、新型コロナウイルス感染症による働き方改革の1つとして、データのデジタル化が進む可能性があるとして、「取引先からデジタル対応を求められる機会などが増える」としている。

 また、行政手続きを原則、電子化する「情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)」が2019年に成立。政府は、2024年度中には社会保障や税務の行政手続きを9割電子化する方針を掲げている。確定申告においても、e-Taxによる電子申告や、電子帳簿保存に対応したソフトの導入により控除額が優遇される。このように会計をデジタル化することによるメリットが広く認知されると、「会計ソフト事業者にとってはさらなる利用者拡大に向けた大きな事業機会となり得るだろう」とMM総研では指摘している。