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バッファロー、最安9千円でWi-Fi 6対応「WSR-1800AX4」などルーター3製品

160MHz幅対応で1万6千円の「WSR-5400AX6」と2万8千円の準ハイエンド「WXR-5700AX7S」

 株式会社バッファローは、Wi-Fi 6ことIEEE 802.11axに対応するWi-Fiルーター3製品を発売する。価格(税込)は「WXR-5700AX7S」が2万8000円で8月下旬発売。「WSR-5400AX6」が1万6500円で、「WSR-1800AX4」が9000円で7月上旬の発売となる。

 Wi-Fi 6の今後の普及についても「テレワークや在宅学習の拡大で普及が早まるとみており、今後1年以内に販売するWi-Fiルーター製品の過半数をWi-Fi 6とし、年間で100万台を販売できるよう注力したい」(株式会社バッファロー事業本部コンシューママーケティング部BBSマーケティング課課長の下村洋平氏)とのことだ。

 株式会社バッファロー事業本部ネットワーク開発部部長の田村信弘氏は、「最近はテレワークで自宅での仕事がほとんどとなっているが、リビングでは子どもや妻の声が入ってしまうので、寝室で仕事をすることが多い。そうすると、どうしても通信が途切れてしまう」とのだという。

 「寝室までの距離が遠く、電波が十分に届かず安定しなかったり、家族の同時通信で速度が十分に確保できないこともある」とした。

株式会社バッファロー事業本部ネットワーク開発部部長の田村信弘氏

 株式会社バッファロー事業本部コンシューママーケティング部BBSマーケティング課課長の下村洋平氏は、NTTコミュニケーションズが公開しているインターネットトラフィックのデータを紹介。「5月は4月との比較で平日昼に1.4倍にトラフィックが増加していて、やはりテレワークやオンライン学習が主な要因と考えられる」とした。

株式会社バッファロー事業本部コンシューママーケティング部BBSマーケティング課課長の下村洋平氏

 さらに、BCNのデータを基にした調査結果から、この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を機に、初めてテレワークを行なった人が8割を占め、時期としては緊急事態宣言発令と同時期の4月に一気に増えていることを示した。

 こうした動きを受け、Wi-Fiルーター市場は4月から139%と急速に伸びており、より高速な4×4の製品が選ばれることも増えている。これについては「利用頻度も上がっていて不満度も上がっている」(下村氏)との見方を示した。

 バッファローでは2019年10月、すでにWi-Fi 6に対応するフラッグシップモデルのWi-Fiルーター「WXR-5950AX12」を発売しており、これまでに累計1.4万台を販売したという。

 田村氏は新規格であるWi-Fi 6には大きく高速化・安定化・省電力と3つの特徴があるとした。高速化は11acと比較し理論値で約2.7倍となっており、その主たる要因を160MHz幅通信への対応とした。

 安定化は主に複数台の同時接続が可能となるOFDMAの機能によるもので、省電力を担う「TWT」でスマートフォンを主なターゲットとするもので、「アクセスポイント側から電力を使う必要がない信号を通知して子機側のバッテリーを長持ちさせるもの」と位置付けた。

 こうしたWi-Fi 6に対応した機器の普及状況は、2019年10月時点の数機種から、2020年6月の時点で、対応スマートフォンはiPhone SEや11など8社から11シリーズ、PC・タブレットが11社から24シリーズが登場済みであり、新たなスタンダードとして今後も広範な普及が期待されるとした。

 WXR-5700AX7Sはハイパフォーマンスモデルに位置付けられ、既発売でWi-Fi 6に対応するフラッグシップモデル「WXR-5950AX12」と同様のデザインの筐体を採用した製品。

 160MHz幅での通信に対応しており、Wi-Fiの最大転送速度は5GHz帯がWXR-5950AX12と同じく4ストリームの対応で4803Mbpsとなる。2.4GHz帯は3ストリームまでで860Mbpsと、やや見劣る。

 また、上位のWXR-5950AX12はWAN×1とLAN×1の2ポートが10GBASE-Tに対応するが、こちらはWAN×1のみが10GBASE-T対応となる。

「WXR-5700AX7S」のカラーはブラックのみ

 特定方向に電波を強化できる大型の「3軸回転外付けダイポールアンテナ」を4本装備するのも特長。「マンションなら横、一戸建てなら縦などに、電波の飛ぶ方向をカスタマイズできる」(田村氏)という。また、筐体を二重構造としつつ熱源を分離することで熱対策も万全とのことだ。

WXR-5700AX7Sの右側面、AOSSボタンや動作モードの切り替えスイッチを装備
WXR-5700AX7Sの左側面。WAN×1、LAN×4、USB 3.0×1の各ポートなどがある
WXR-5700AX7Sの背面。壁面取り付け用の穴が用意されている
天面には排熱用のスリットを用意、熱対策のため横置きには非対応

 WSR-5400AX6はプレミアムモデルに位置付けられ、最大転送速度は4803Mbps(5GHz帯接続時)または573Mbps(2.4GHz帯接続時)。160MHz幅の通信に対応し、アンテナは内蔵タイプとなる。

「WSR-5400AX6」のカラーはシャンパンゴールドとマットブラックをラインアップ
WSR-5400AX6の背面。LAN×1、LAN×4の各ポートや、動作モードの切り替えスイッチを装備

 スマートな見た目ながら4ストリームと160MHz幅の通信に対応し、PCやタブレットでも高速通信が可能となるなど、コストパフォーマンスの高い製品。4ストリームへの対応により、アクセスポイントから離れた際に速度を維持しやすいという。

 上位モデルと比較してコンパクトな筐体も特徴で、アンテナは内蔵タイプながら、配置にはかなりこだわっているという。また、筐体に合わせて専用に設計した大型ヒートシンクも採用している。

 なお、電波は球体状に飛ぶ構造で、縦置きや壁掛けにも対応するため、家の中心への設置を推奨しているとのことだ。

 WSR-1800AX4はエントリーモデルに位置付けられ、最大転送速度は1201Mbps(5GHz帯接続時)または573Mbps(2.4GHz帯接続時)。80MHz幅までの対応となる。アンテナは内蔵で、ギガビット対応のWAN×1、LAN×4を装備する。

「WSR-1800AX4」のカラーはホワイトとブラックをラインアップ
WSR-1800AX4の背面。LAN×1、LAN×4の各ポートや、動作モードの切り替えスイッチを装備

 「PCやタブレットの160MHzには対応しないが、こちらも同心円状にむらなく電波が飛ぶので、家の至るところでスマートフォンでの高速な通信ができる」(田村氏)製品となる。

 なお、3製品ともIPoE IPv6の各方式と、強固なWi-Fi暗号化のWPA3に対応する。また、3モデルともWi-Fi 6 CERTIFIEDを取得予定とのことだ。

 3製品の通信速度比較デモでは、WXR-5700AX7S、WSR-5400AX6、WSR-1800AX4の3モデルとも、同等クラスのWi-Fi 5対応ルーターとの比較で大きな差を示した。

 田村氏は「実際mWi-Fi 6はiPhoneで近距離でも速度差が出ていた。宅内のブロードバンド回線は7割程度あり、100Mbps以上がほとんどで、こうした環境であれば必ず差は出てくるもの考えている」とした。

WXR-5700AX7SとWi-Fi 5対応の「WXR-2533DHP2」との比較
WSR-5400AX6とWi-Fi 5対応の「WXR-2533DHP3」との比較
WSR-1800AX4とWi-Fi 5対応の「WSR-1166DHP4」との比較

 また、3階建て一戸建てのモデルルームで、ビデオ会議、オンライン授業、データダウンロードを同時に実行した際のデモも実施された。

  株式会社バッファロー取締役の石丸正弥氏は、発売から20周年を迎え、累計販売台数は5000万台を大きく超えた「Airstation」シリーズを振り返り「四角い横置きのボックスタイプが主流だったルーター製品の中、キャリアモデムと並べて置きやすい縦型の製品として、ADSLが出始めたころに最初に発売された」と述べた。

株式会社バッファロー取締役の石丸正弥氏

 これに伴い、それまでPC周辺機器メーカーであったバッファローは、コーポレートステートメントを「パソコンをもっと使いやすく」から「インターネット、もっと使いやすく」へ変更したという。

 「この製品は、そのくらい戦略的な商品だった」とした石丸氏は、「11bから11g、Wi-Fi 4から5、そしてWi-Fi 6の第1号機を2019年10月に発売したが、無線の新規格は目的ではなく、使いやすいWi-Fiの提案が一番の目的であり、新規格はあくまで手段」だとした。

 そしてルーターの開発においては、「徹底して実環境での設定にこだわっている」とした。無線メーカーとして持つ電波暗室を保有しており、「そうしたクリーンでつながりやすい開発環境でしっかり製品をチューニングした上で、壁や家具があり電波も混信するケースの多い実環境で使ってみて、安定した性能を提案できるよう、3階建て一戸建てのモデルルームを2軒を借り上げ、徹底して製品を作りこんでいる」そうだ。

 モデルルームのうち1つは、実際にテレビや家具、IoT家電を設置した『Wi-Fiコネクテッドホーム』として1年前にオープン。現在では、Wi-Fi子機が開設当時の4~50台から70台超へ増加しているという。そして「こうした環境でしっかり使えることを重視している」と述べた。

 「Wi-Fiの使いやすさは使い方で大きく変わる。ここ数年で純粋に台数が増え、今では一般的な家庭でも平均して10台程度となっている。また、動画ストリーミングやテレワークでのビデオ会議、在宅学習など、動画を扱うような通信負荷の高いケースが増え、安定した通信が必須となっている」とした。

 こうした環境で、「よりたくさんの端末が安定してつながるために適しているのがWi-Fi 6」とした。そして「Wi-Fiは電気・水道・ガスに並ぶ第4のインフラとなり、すでに安定して使えて当たり前、簡単で当たり前になった」と語る。

 Wi-Fi 6の市場での普及については、販売開始した2012年6月からの8カ月で1%をようやく超えた11acを例に、昨年10月のWi-Fi 6対応製品発売以来、5月までに5%を超えていることから、「普及が早く、裏を返すと、無線の使い方に応じて、よりいいものを求める傾向が出ている」とし、「今後はさらに10%、20%へ普及を広げていき、よりいい製品をお客様に提案していきたい」と述べた。

【お詫びと訂正 6月5日 18:24】
 記事初出時、製品の価格と発売時期に関する記載に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

 誤:価格(税込)は「WXR-5700AX7S」が2万8000円で7月下旬発売。「WSR-5400AX6」が1万6500円で、「WSR-1800AX4」が9000円で8月下旬の発売となる。

 正:価格(税別)「WXR-5700AX7S」が2万8000円で8月下旬発売。「WSR-5400AX6」が1万6500円で、「WSR-1800AX4」が9000円で7月上旬の発売となる。