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栃木県日光市、「ワーケーション」宿泊費の半額を補助、宿泊施設の環境整備などでNTT東日本との連携も

(写真提供:NTT東日本)

 栃木県日光市と東日本電信電話株式会社(NTT東日本)栃木支店が、ワーケーションの実証実験を共同で開始した。現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、日本有数の観光都市・日光でも観光業が大きな影響を受けている。「新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークが浸透し、ワーケーションが注目されていく中、平日の誘客促進を図る」(日光市総合政策課)のが狙いだ。

 日光市では8月より、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用した予算規模500万円の「日光市ワーケーション実証事業」を実施している。ワーケーション対象施設に平日に2泊3日以上連泊する人の宿泊代の2分の1(1泊上限5000円)を企業に対して補助。利用者にアンケート調査を行い、ワーケーションの効果や課題などを検証するというものだ。

 その一方で、2者共同による実証実験ではまず、NTT東日本が同補助金を実際に活用し、ワーケーションのトライアルを8月27日・28日に中禅寺金谷ホテルで行った。トライアルには同社栃木支店の社員10人が参加し、ホテル館内のWi-Fi環境を利用して遠隔会議をはじめとしたテレワークを実施。また、NTT東日本本社の関係者や日光市、日光観光協会、一般社団法人DMO日光、栃木県の職員も加わって「日光市におけるワーケーション利用促進」をテーマとしたグループワークも実施し、今後のワーケーション利用促進に向けた課題抽出を行った。

中禅寺金谷ホテルで8月27日・28日に行われたNTT東日本栃木支店によるワーケーション実証実験のトライアルの様子(写真提供:NTT東日本)

 トライアルの参加者からは、「Wi-Fi環境があれば、思った以上に支障がなく集中して仕事や会議に取り組めた」「地元関係者や行政との議論を通じ、ワーケーションを多面的に考えることで、必要なICT環境やワークスペースなど、さまざまな気付きを得ることができた。その一方で、社員をワーケーションに行かせる側の企業の課題とメリットの整理が非常に重要なポイントだと感じた」といった声が挙げられた。

 さらに今後、トライアルを通じて抽出された課題などをもとに、日光市、NTT東日本、観光宿泊施設(観光協会)の3者が一体となってワーケーション推進に向けた課題解決の検討を進め、他の企業のワーケーション利用促進による地域活性化を目指す。NTT東日本では、日光市内の観光宿泊施設に対して、ワーケーションに必要な環境の検討・整備の面でもサポートしていく。

実証実験の今後の取り組みイメージ

 NTT東日本では、「ワーケーションに対する栃木県内の観光宿泊業界の関心は高く、具体的な対応を検討している施設も多いことが分かった。ただし、まだ解決すべき課題があると考える企業も多い」と指摘。「今後、通信環境の整備はもとより、さらなるワーケーション利用促進に向けた周辺業務に関しても携わる考えだが、関連企業・団体とも連携しながら課題解決をお手伝いしていく。観光宿泊施設からご意見を伺いながら、具体的なニーズを確認させていただく予定」としている。

 また、日光市総合政策課では「実証実験を通して、NTT東日本栃木支店の協力により、ワーケーションに対する企業ニーズや実際に体験された方々のご意見をいただき、日光市ならではの新たな『ワーケーション日光NTTモデル』の構築を目指す。そして、このモデルを企業の皆さまに広く発信することで、日光市のさらなる観光振興につなげていきたい」としている。