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TeamViewer、ARスマートグラスでの「生産改革」を国内展開

建設や流通、製造、医療のワークフローをグラスに表示

スマートグラスの活用方法のイメージ。スマートグラスに、エンジンが分解された様子が表示される

 TeamViewerジャパン株式会社は、スマートグラスを用いたARソリューション「TeamViewerフロントライン」の販売を開始した。主なターゲットは、製造、建設・土木、流通、医療だ。故障箇所の案内やその修理方法、メンテナンス、ピッキング業務、遠隔支援などで利用される。

 TeamViewerフロントラインは、TeamViewerが8月に買収を完了したUbimaxと自社の技術を組み合わせた産業用のARソリューション。TeamViewerのソリューションは、これまで製造現場、建設、通信、医療、教育などさまざまな場面でリモート操作や共同作業を支援していた。

AIが障害を予測、作業員のスマートグラスが修理箇所と方法を指示する近い未来

 導入事例として、TeamViewerジャパンの小宮崇博氏(ビジネス開発部部長)は塗装工場を紹介した。導入前は、紙ベースの指示書に従い、塗装が必要な部品を数えてセットし、塗装装置に入力をしていた。TeamViewerフロントラインの導入後は、スマートグラスで書類のバーコードを読み取り指示を確認。セットした部品の数は音声認識でカウントし、塗装装置は自動的に設定される。

TeamViewerジャパン株式会社の小宮崇博氏(ビジネス開発部部長)
ドイツのメーカーの例。「TeamViewerフロントライン」の導入前は、指示書は紙だった
スマートグラスの活用方法のイメージ。スマートグラスにエンジンが分解された様子が表示される
塗装機への入力も指示書を見て行っていた
スマートグラスを用いた例
指示書は紙だが、バーコードをスキャンするとスマートグラスに必要な情報が映し出される
部品をセットする際、人間が声でカウントするとスマートグラスが認識する
塗装機への入力は不要。自動的に設定される

 将来的に目指すTeamViewerフロントラインのイメージがある。例えばプラントの監視だ。プラントで障害が発生する前にAIが通知。作業者がスマートグラスを装着すると、作業が必要な場所と作業の指示が映し出されるというものだ。

近い将来だとするプランでの「TeamViewerフロントライン」の利用例
AIが指定した修理箇所に向かう際、スマートグラスを装着する
スマートグラスには修理方法が映し出される
QRコードで補修箇所を確認
指示通りバルブを操作する

ARスマートグラスのメリットは「ハンズフリー」

 株式会社アウトソーシングテクノロジーの須永知幸氏(マネージング・ディレクター)は、「ARスマートグラスで“現場DX” ワークフロー機能搭載ARアプリケーション『TeamViewerフロントライン』の活用例」と題して、工場や倉庫などでの活用例を紹介した。アウトソーシングテクノロジーは、2020年2月から日本国内でTeamViewerフロントライン(Ubimax)を用いたソリューションを提供している。

株式会社アウトソーシングテクノロジーの須永知幸氏(マネージング・ディレクター)

 例えば、工事や工場などの現場では、指示書は紙媒体からスマートフォンやタブレットへ置き換わっているという。その先にあるのはスマートグラスで、「大きなメリットはハンズフリー」だとしている。

スマートグラスの利用の一例。雨が降っていても回路図がスマートグラスに映し出され、両手が使える
現場で利用されているデバイスの変遷。紙がスマートフォンやタブレットに変わり、スマートグラスに進化する

 「遠隔支援」では、作業に慣れた人が、作業員のスマートグラスに付けられたカメラの映像を見ながら指示を出すことで、作業員が作業技術を習得するのを支援できる。「業務内容の指示」では、スマートグラスに業務内容を映すことで、ピッキングが効率よく行える。また、これまではマニュアルや対面で伝承していた技術をスマートグラスのカメラで撮影。音声の解説を加えることで、作業が早く習得できる。

スマートグラスとARの活用シーン。作業に成熟した人が、新人に教えることにも使える
スマートグラスとARの活用シーン。製造工程、メンテナンス、ピッキング業務、遠隔支援を挙げている