イベントレポート
CEATEC 2019
西新宿の将来像をARで。建設会社の未来を見据えた取り組み、その2
2019年10月17日 14:40
10月15日~18日に幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されている「CEATEC 2019」で、政府が推進する「Society 5.0」をテーマにしたエリアに多く出展している日本の大手建設会社のブース。Society 5.0の具現化の1つの目安となる2030年の社会をイメージした展示として、ここでは大成建設株式会社を中心に、清水建設株式会社と株式会社大林組のブースも紹介する。
大成建設
大成建設は、コンパクトシティや環境保全、SDGs(持続可能な開発目標)、労働力の確保といった難解なところもあるテーマについて、ARや遠隔操作体験を通じて一般人にとっても分かりやすく紹介しているのが印象的だ。
ブースの一画にあるグレー一色のジオラマ都市は、大成建設本社のある西新宿を模したもので、備え付けのiPadをかざして見ることで、グレーのジオラマに重なるようにしてカラフルな都市がCGで表示される「デジタル西新宿」になる。このデジタル西新宿では、「現在」と人の動き、風の流れ、熱の溜まり方などをシミュレーションしてグラフィカルに表示するため、それを元に「未来」でどのような改善策がとれるか検討がしやすくなるという仕掛けだ。
例えば「現在」の人の動きは混雑で滞りやすいポイントもあるが、「未来」ではその流れをもとに適切な場所に適切な案内表示を設置することで混雑の緩和につなげられることが分かる。「現在」は地表面が暑くなりやすく、冷房・空調でエネルギーコストがかかっている場所でも、新たに日陰を設けたり施設の素材・構造を工夫したりした「未来」では温度上昇を抑えることが可能だろう。あるいは、「現在」のビル風の流れを把握して、将来的にどこにどういった建物を建設すべきか、すべきでないかの判断にも役立てられるはずだ。
遠隔の建設現場における無人作業を可能にするシステムを模したロボットの展示では、遠隔操作の実体験が可能。触覚デバイスを搭載したロボットアームを操作することで、モニターに映るマニピュレーターを制御できるようになっている。このマニピュレーターは大成建設のブースから数十メートル離れたところにあり、ゼロコンマ数秒程度のわずかな遅延で操縦者の操作に合わせて正確に動作する。
思ったように動かすのには慣れが必要だが、砂場の上に置かれたゴムボールをつかむと、操縦者が握るロボットアームのつまみにも弾力のある触感が伝わり、しっかり保持できたことを実感できるのは感動もの。砂場にはいろいろな小物が用意されているので、つかんだり、落としたり、皿に入れたりと、難度の高い操作にもチャレンジしたくなる。
今回のブース展示では、あくまでもデモのためロボットアームとマニピュレーター間をLANで接続していたが、こうした建設現場における無人遠隔操作のシステムはすでに導入が進んでおり、現行の4Gはもちろんのこと、2019年から一部でサービス提供が開始される5Gにも対応し、より遅延の少ない遠隔操作が実現するという。
大林組
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